【覚書】避難安全検証法でできないこと

【避難安全検証法で適用除外できると勘違いされやすい項目】

■面積区画

面積区画は、施行令第112条第1項に規定され、1500m2以下(自動消火設備設置で3000m2以下)で区画しなければならない。

全館避難検証法では、高層区画、竪穴区画及び異種用途区画は除外できるが、面積区画は適用できないため1500m2または3000m2ごとの区画は確保しないといけない。

面積区画を拡大するには防火区画検証による。

■重複距離

重複距離は施行令第121条第3項に規定され、施行令第120条の歩行距離の数値の1/2を超えないことになっている。この規定は避難安全検証法では除外できない。

■特別避難階段の付室

階避難安全検証法では施行令第123条第3項第一号の規定が除外できる。

この規定は付室の排煙設備の設置に関するものなので、付室の設置については避難安全検証法では除外できない。

■非常用エレベータ乗降ロビーの排煙

非常用エレベータ乗降ロビーの排煙は施行令第129条の13の3第3項第二号に規定されているため避難安全検証法では除外できない。

したがって乗降ロビー兼用付室の場合の排煙設備は、仕様規定に準処しなければならない。

■避難階段の幅員

避難階段の幅員は施行令23条、施行令24条に規定されているため避難安全検証法では除外できない。

ただし、物販店舗の合計幅員については全館避難安全検証法で適用除外が可能となる。

■防煙区画面積

階避難安全検証法では、防煙区画面積は1500m2まで拡大できる。

■排煙口までの距離

30mを超えた位置にある排煙開口の排煙は有効開口部の排煙には加えない。

ルートCでは30mを超える事が可能な場合もある。

防火フィルム

避難安全検証法を用いた場合、避難経路等に面するガラス等を用いた間仕切壁は防火設備としての性能が必要となる場合がある。 防火設備となると価格の高い耐熱ガラスや意匠性を損なう網入りガラスしか選択できないのが現状だ。 そこで、単板ガラスに張ることで防火性能を満足するフイルムを探した。 ネット検索でヒットしたのは、下記の清水建設の2011年ニュースリリースで、大臣認定を取得済みで2011年秋には外販を始めると書いてある。それに安価なようだし、もう時間が経過しているから外販しているはずと思い、記載してある栃木県の製造会社を探したが見つからない。 img129 https://www.shimz.co.jp/news_release/2011/826.html

そこで清水建設本社→清水建設技術研究所→三生技研→SVC(愛知県)へと電話をかけ、ようやく製造販売している会社にたどり着きカタログと見本を送ってもらった。 img127

商品名はファイヤーブロック

img128

製造会社に聞くところによると、中々量産化が難しかったらしい。製造ラインは幅1.5m×長3mらしいが、現在商品化しているのは1m角との事。

ところで、この材料は建築基準法第64条(外壁の開口部の防火戸)で施行令第136条の2の3(準遮炎性能に関する技術的基準)で告示例示がない為大臣認定が必要。準遮炎性能20分で屋内に面するものに限られている。

防火性能のある安価で透明なフイルムは、中々難しいのかもしれない。

坂の上の雲ミュージアム -2

DSCF5769-r

この吹き抜け空間を実現するために、

全館避難安全検証法(ルートC)が採用され

竪穴区画の規定を適用除外している。

DSCF5780-r

3階から5階までスロープでつながる

吹き抜けの展示エリアは避難経路でもある。

DSCF5781-r

各階の避難安全を確保するため

要所にガラススクリーンや防煙用スクリーンシャツターを設け

煙拡散防止を行っている。

DSCF5782-r

また、階段室に煙が流入しないように階段室加圧防煙システムを採用している。

25752179-400x205

http://www.sakanouenokumomuseum.jp/

設計 : 安藤忠雄建築研究所

所在地  : 松山市一番町三丁目20番地

敷地面積 :  3384.64m²

建築面積 :  936.80m²

延床面積 : 3122.83m²

構造規模 : 鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)造 地下1階/地上4階

 

 

倉庫・・・避難安全検証法

倉庫は、建築基準法施行令第126条の2で排煙設備は適用外となっている。

自己用の倉庫や冷凍倉庫等が純然たる倉庫にあたり、貸し倉庫・倉庫業を営む倉庫・物流センター等で物品の仕分け作業をする為に常時在室者がいる場合は、居室として排煙設備を設置するか、避難安全検証を行う。

この常時在室者がいる場合の、倉庫の在館者密度は告示第1441号に示されていない。

そこで在館者密度の設定には 幾つかの方法がある。

“倉庫・・・避難安全検証法” の続きを読む