「近畿建築行政会議 建築基準法 共通取扱い集」

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滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山の行政と指定確認検査機関によって構成されている近畿建築行政会議の建築基準法の共通取扱い集の初版が発売された。

「住宅用エアコン等の室外機を設置した開放廊下、バルコニーの床面積」「飾り柱等がある場合のバルコニーの床面積」「敷地内に2棟ある場合及びドライエリアからの採光」「住宅等における納戸」「小規模な鋼製の置型倉庫(物置)」・・・

日本建築行政会議の「建築確認のための  基準総則・集団規定の適用事例」より一歩踏み込んだ内容が網羅されているが、まだ共通取扱い項目が少ない。今後協議を継続して共通取扱い項目が増えてくれると実務上大いに助かる。

東京、関東もこういう共通取扱い集ができてくれると助かるのだが・・・。

JAPAN NIGHT ・MOVE WITH THE MUSIC OF JAPAN

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「さよなら国立。音楽日本代表、集合」と銘打った「JAPAN NIGHT ・MOVE WITH THE MUSIC OF JAPAN」が5/29開催された。

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入場してからの写真撮影は、開演前でもNG、携帯電話の写真撮影もNGということだったので国立競技場の建物の撮影は数枚のみ。

アリーナ席だったが、ステージに対して長辺方向に幅広い構成だったので、若干ステージとか映像画面は見づらかった。

入場者数は6万人 スゲェ

狼青年のMAN WHH A MISSIONに始まり、鬱々としたSEKAI  NO  OWARI、そしてクールでテクノなPerfume、コンサートの大とりはL’Arc-en-Ciel。

コンサートは盛り上がっていた。

入場者一人一人に貸与されたLEDスティックライトは、音楽とシンクロして会場全体が一斉に色が変わり一体感を創出していた。

L’Arc-en-Cielのコンサートに来たのは2年ぶり。

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コンサート終了後は、周辺は歩道も車道も大渋滞。最寄駅からのアクセス方法。JR千駄ヶ谷駅等の最寄り駅の施設の見直し。周辺環境整備も相当知恵を絞らないといけないところ。

コンサートの模様は下記サイトで

http://www.barks.jp/news/?id=1000103978

新国立競技場の基本設計が発表された。

 

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5/28 新国立競技場の基本設計が発表された。

国際コンペの時よりコストの見直しがされ、規模も縮小されたようだ。基本設計の詳細は下記のサイトに公表されている。

http://www.jpnsport.go.jp/newstadium//tabid/411/Default.aspx

このところ新国立競技場のニュースが飛び交っていた。

5月12日には、建築家の伊東豊雄氏が、国立競技場の建て替え計画に異を唱え、現競技場の改修案を発表した。

【スタンドを複層化、伊東豊雄氏が国立の改修案 】

http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/building/news/20140516/663049/

又、JIA・日本建築家協会が国立競技場解体延期の要望を出している。

【国立競技場の解体延期を要望、JIA 】

http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/building/news/20140523/664070/?rt=nocnt

等、多方面から解体延期、改築ではなく増築・改修の要望が出ていた。

そんなところ5/31のファイナルディを前に基本設計が発表されたわけだが、基本設計を見て個人的にはがっかりした。

なんだか ずいぶんとずんぐりむっくりして 躍動感がない。

自転車競技用のヘルメットから工事現場用ヘルメットになったような・・・。

この基本設計だと、歩行者の視線ではボリューム感だけが強調されるような気がする。やはり8万人収容にこだわるとこうなっちゃうのかなぁ~。

個人的意見は、もともと56年ぐらいで建物を壊して改築してしまうのには賛成できないし、オリンピックのスタジアム基準は6万人だから、増築等をすれば良いと思っていた。

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一方、ザハ・ハディド・アーキテクトの設計なら完成を見てみたいという気持ちもあったけど、最初から予算額の倍になりそうなデザインだから・・・

それでも新しい未来を切り開いていくような躍動的なデザインにはしびれた。

もともとこのコンペは、応募要領でデザインコンペで設計コンペではないとあったけど、ザハ・ハディド・アーキテクトはデザイン監修という立場になり、基本設計は、日建設計・梓設計・日本設計・アラップ設計共同体。

http://www.jpnsport.go.jp/corp/chotatu/tabid/117/Default.aspx

お上が決めたことには逆らえない風潮が日本にはあるが、市民は発言しないと。

 

奈良県立・万葉文化館 -4

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万葉文化館内にあるパンカフェ・Sizin

水出し珈琲の香りに誘われて入った

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シンプルな内装

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室生天然酵母パンと、
飛鳥で採れた新鮮なお野菜を合わせたランチメニュー(Aランチ)

これに水出し珈琲がつく

とてもレベルの高い食事に出会えた。

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「室生天然酵母パン」

http://sizin.jp/

奈良県立・万葉文化館 -3

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この万葉文化館建設にあたり約9500m2の調査区域を設定して平成10年(1998)に調査を開始すると、7世紀後半の石組み方形池遺構や石敷き井戸跡のほか、金・銀・銅・鉄・ガラス工房と思われる遺構やるつぼ、金属製品などの遺物、7500点以上の木簡、大量の土器類が出土した。と資料に書かれている。

この万葉文化館の中庭は工房遺跡の復元レプリカで本当の遺跡は、この下に眠っているらしい。

33枚の富本銭が出土している。

今で言うと大蔵省造幣局+職人・芸術家コロニー的な工房遺跡があったようだが、その遺跡は ほんの少ししか残っていないようだ。

「文化財保護」か「開発」か難しいところ

飛鳥は、どこを掘っても遺跡があると言われているし

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内部

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展望ロビー

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展望ロビーからの飛鳥の風景

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 この万葉文化会館の展示は、中々面白い。

万葉集の世界が堪能できることは間違いない。

それと、資料室やミュージアムショップが充実していた。

【奈良県立・万葉文化館】

http://www.manyo.jp/

 

奈良県立・万葉文化館 -2

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ポーチ屋根の下

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飛鳥寺へも歩いて行ける。

飛鳥寺は、蘇我馬子が596年に建立した日本初の本格的寺院

法興寺、元興寺とも呼ばれる

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今は、江戸時代に再建された小さな伽藍がある

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再び、万葉文化館のポーチ

朝10時開館の前に駐車場に着いていたので、うろうろしていた。

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陽がさし 風にたなびく竹林

万葉文化館の駐車場周辺の風景

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飛鳥にも桜咲く頃(この写真は4月上旬)

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さようなら 国立競技場

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1964年の東京オリンピック開催のために、前身である「明治神宮外苑競技場」から生まれ変わり、1958年に完成した国立競技場。

今、2020年の東京オリンピック開催に向けて、56年の生涯に幕を閉じようとしている。

個人的にも思い出深い施設です。

同世代の、同じような年月を生きてきた建物が壊されるのは、ちょつとつらい。

「新国立競技場」建設に向けて、2014年7月から解体工事がはじまります。

すでに体育館・トレーニングセンター・室内水泳場は3/31で営業が終わっており、スタジアムツアーも都合がつかず行けずにいた。5/31(土)のファイナルイベントもチケット入手出来ず。

そんな中、5/29のチケットを手に入れた。

国立競技場の葬式 ? 単に音楽を楽しむだけかも・・・

http://www.jpnsport.go.jp/kokuritu/home/tabid/36/Default.aspx

連続的空間領域における採光について -1

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無印良品の新シリーズ・縦の家をながめていた

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中央にシースルーの階段を配置し、最上部にトップライトを設置して採光をとっている。

三階建ての住宅としては、さほど新鮮味のある平面計画ではない。今までも多くの設計者が採用しているのではないだろうか。

まあ 1階の寝室は右側窓から採光(法的な)をとるのは難しいそうだ。敷地条件によっては2階のダイニングキッチンも採光(法的な)はOUTになるかもしれない。

このベースプラン(3.64m×8.19m)の場合、各階の床面積は

1階:23.18m2 / 2階:29.81m2 / 3階:29.81m2 / 計:82.80m2となっている。

現行法では、階をまたいでは採光をとることができないが、このように三層吹き抜けで階段部に間仕切りがない連続的な空間が構成されている場合で、階段最上部あるいは階段壁面部に採光に有効な開口部があるときは隣地境界線側に採光に有効な開口部を設けなくても実際のところ採光が得られるのではないだろうか。

試算してみると

1階必要採光面積(概略) 23.18m2×1/7=3.32m2

2階必要採光面積(概略) (29.81m2-13.24m2)×1/7=2.37m2

3階必要採光面積(概略) (29.81m2-13.24m2)×1/7=2.37m2

・2階リビング、3階サンルーム水回りを3.64m×3.64m=13.24m2として、道路側であろう開口部より採光が確保されるものと仮定した。

階段最上部のトップライトは、どの程度の開口面積があれば三層の有効採光を確保できるであろうか。

3階 2.37m2÷低減率=無 =必要採光面積 2.37m2

2階 2.37m2÷低減率=0.8 =必要採光面積 2.97m2

1階 3.32m2÷低減率=0.7     =必要採光面積 4.75m2

合計 10.09m2÷3(トップライト) = 必要採光面積 3.37m2

1間角強のトップライト面積が必要となるが、少し大きすぎるというか、暑くてたまらないかなぁ・・・ 階層による低減は必要ないのかもしれない。

低減無だと、

合計 8.06m2÷3=2.69m2

これで1.6m角程度だから低減しなくてもよいかもしれない

是非、無印良品さんにはモデルハウス等で実際の照度計測をしてもらいたいものだ。

【無印良品・縦の家】画像は下記のサイトから拝借しました。

http://www.muji.net/ie/tatenoie/

 

「法隆寺建築の設計技術」溝口明則著

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2014年日本建築学会賞・論文賞を受賞した名城大学の溝口教授の著作である。

法隆寺の造形尺度や寸法計画について、伊藤忠太の柱間比例決定説や関野貞の柱間完数制説などの既往の研究を詳細に分析検討しその問題を指摘しつつ、建物全体の規模計画に注目している。

まさに労作であり、学会賞受賞にふさわしい著作だと思う。

私は、日本建築史の専攻ではないが、学生時代には法隆寺の再建・非再建論争には関心があって 幾つかの論文を読んだ記憶がある。

法隆寺非再建論を主張した関野貞の論拠の一つが、法隆寺は「高麗尺」によって設計されたというものであった。

以来、建築学会の中では「唐尺」か「高麗尺」かという議論があったが古代史研究の中では、新井宏氏が「まぼろしの古代尺・高麗尺はなかった」(吉川弘文館刊)の中で「古韓尺」という尺度を日韓の数多くの遺跡、寺院の資料から提示されている。

この「古韓尺」は尺=26.7cmである。

尚、一般的には大宝律令の大尺(高麗尺に由来)は、35.6cm

小尺(唐尺に由来)は、29.6cm

現尺は、30.303cmである

溝口先生は、唐尺を現尺の0.987程としているから29.91cmとしているようだ。

法隆寺の設計尺度として高麗尺では説明しきれなかったし、私の中では「古韓尺」がもっともすっきりしていた。ここにきて溝口先生が「唐尺」という説を出されて「百年の議論を終結」と言われても・・・

今、この本に記載されている法隆寺の寸法を時間を見て自分なりに検証してみている。

それにしても法隆寺は、ため息がでるほど美しいのだ。

私は法隆寺の五重塔が、日本で一番美しい五重塔だと思っている。

美しい建物や仏像は、学徒を虜にする。

 

「制度的・技術的側面からみた建築ストック活用促進のための研究」@建築研究所

H25年度・(社)建築研究所の講演会「制度的・技術的側面からみた建築ストック活用促進のための研究」のテキストを読んだ。

材料研究グループの濱崎主任研究員の研究成果で、これを読んでストック活用の問題点は徐々に整理され、実務的研究が進んできているという感想を持った。

「あと施工アンカーの長期性状」「耐久性を確保するためのかぶり厚さの確保」(ポリマーセメントモルタル)「建築ストック活用手続きのための建物調査・確認」の三項目は、実践的課題だ。

「建物調査・確認」については建築研究所で、マニュアル案を取りまとめ中とあるが、完了検査済証未取得建物の調査・確認にも触れているのが心強い。

ストック活用のためには完了検査済未取得建物の問題は、避けて通れない。

調査方法や確認方法、評価方法は件数が増えていくに連れて徐々に収斂され確立していくだろうが、現在大きな問題としては、基礎・杭の確認方法と評価をどうするかという問題を抱えている。

掘削できれば基礎の根切深さ、配筋探傷、コア抜きができるし、杭頭を明らかにすることぐらいはできるだろう

掘削できないような密集市街地では、基礎の確認と評価をどうするか?

頭が痛くなる・・・

http://www.kenken.go.jp/japanese/research/lecture/h25/index.html

 

今井町・今西家

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今西家住宅・昭和32年重要文化財指定

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今井町の惣年寄の筆頭をつとめていた家で

今井町を代表する建物

城郭のような構造で別名「八つ棟造り」と呼ばれている

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ところで、ここ今井町はNHK連続ドラマ「ごちそうさん」(朝ドラ)の大阪天満周辺の街並みとしてロケが行われた。

この今西家の前もドラマの中でヒロインが季節の挨拶回りをするシーンの背景になっている。

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余剰空間

よ‐じょう【余剰】 必要分を除いた残り。剰余。余り。「人員に―が出る」「―価値」「―米」 大辞泉

建築基準法の取扱いで出てくる「余剰空間」は、例えば小屋裏物置等の取扱いについて見られる。 img060   上記のように床下・天井裏・屋根裏などの、もともと作ろうと意図したところの「形」の中で機能性を持たなかった部分として捉えられているようだ。

ようするに余剰空間という意味は、計画当初の機能を持つことが出来ない空間や、機能が明確に想定されない空間のことであり、不本意に余ってしまった対象と言える。

このような機能配置の計画外に残されてしまう余剰空間は、使用上の寸法や動線や機能などの様々な問題によって多かれ少なかれ発生するものであり、その余剰空間をどう扱うかは建築計画論的にも法的にも課題の一つであるように思う。

余剰空間は、上記の図のような建築基準法の概念として活用されているが、現代の建築空間は切妻や片流れような固定的形態だけでなく、様々な形態として現われる。従来の固定的「形」では判断さえつきずらくなっている。

都心では道路斜線・高度斜線・日影規制などの集団規制の制限を受け、そこに天空率や高さの緩和、平均地盤の調整等を駆使し複雑な、ときに異様な突出した建築が現われる。

前面道路が法第42条第2項(4m未満の道)等の細街路で、木造二階建てが地域の街並みを形成する建物のボリュームのところに、突如4階建てと錯覚するような木造3階建てが建築され、周囲があわてることもある。これは元々総合設計制度という大規模建築に適用されていた天空率という手法を、すべてに適用した為だ。

敷地には、幾つも建築基準法の規制による建築可能な空間領域があり、その見えない空間領域が、建築可能な形態の制限となる。

ある一定以上の面積や道路幅員をもつ場合は、その建築可能な空間領域を余剰空間として捉えることができないであろうか。

これは 仮説的提案である。

追記

上記記述は、若干 論旨不明確でした。

前面道路が法42条2項道路等の細街路には天空率の適用は止めるべきで、そうでない場合は、法的可能な空間領域内は余剰空間として突出型のロフト・小屋裏収納等は認めていいのではないかというものです。