不動産から見る京町屋の活用法@住宅医スクール2014

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「不動産から見る京町屋の活用法」と題した、京都の(株)八清(ハチセ) 代表取締役社長 西村孝平氏の話を聞いてきた。

一般社団法人住宅医協会の住宅医スクール2014の一講座

「築年数30年以上の建物評価のない建物をリノベーションする事で、再びストックとしてよみがえる住宅の総称である」と定義づげした「リ・ストック住宅®」を展開しているが、中でもヒットしたのは「リ・ストック住宅 京町屋」だそうだ。

私の亡父が京都市街の出身なので、おのずと訪れる機会も多いなかで京都市内に空き家が多いのは知っていた。道幅が狭い、駐車場がとれない、接道していないので再建築不可、何よりも夏暑くて冬寒いのが京町屋。アジア太平洋戦争での戦災が少なかったせいで、戦前からの建物。建築基準法(昭和25年)以前の建物がゴロゴロしている。

西村氏の講義によると、(株)八清の京町屋は新しくても築64年とか。(株)八清では、これまでの不動産業界の常識であった築年数で評価するのをやめた「経年美は古くないと評価できない」と語った。

様々な京町屋改修事例、危険家屋再生を見せていただいたが、その一つ一つが老朽家屋の再生、京都市内で増えている賃貸住宅の空き家の活用、それらがまちづくりに結び付いている。

(株)八清のビジネスは、「リ・ストック住宅 京町屋」から、町屋の貸切宿泊施設「京宿屋」と広がっている。

「京宿屋」は観光客の多い京都らしいビジネスモデル。町屋の保存再生、景観維持・保全に貢献しているし、伝統建築である町屋の居住体験を提供している。オーナーとして「京宿屋」を所有して、自分もセカンドハウスして使うこともできるという。賃貸するより収益性の高いビジネスモデル。

私もネットで7月8月の幾つかの「京宿屋」の予約状況を見てみたが、中々稼働率は高そうだった。

それから京町屋のシェアハウス「京だんらん」というのも展開している。大店(おおだな)の京町屋は、面積が大きくてリ・ストックして貸家や売却するには不適格なケースがある。

随分と共用部が多いシェアハウスで、レンタブル比というドグマ(教条)に浸かっている頭では理解しがたいビジネスモデル。「京都だからできるんだよ、東京では無理、無理」と即座に断定されそうだ。

とにかく(株)八清は次から次と 新しいビジネスモデルを展開している。

町屋を改修すると同時に隣接する道を石畳に整備して地域のポテンシャルアップにつなげる「石畳プロジェクト」。「京町屋証券化と京町屋管理信託」「京町屋ファイナンス」・・・

ちょつと目を離せない会社の一つになった。

「株式会社 八清」(ハチセ)

http://www.hachise.jp/

 

 

「温熱環境の基礎~断熱と日射熱取得~」自立循環型住宅関東ゼミ2014

自立循環型住宅研究会・関東ゼミ2014の「温熱環境の基礎~断熱と日射熱取得~」に参加してきた。

講師は、岐阜県立森林文化アカデミーの辻充孝準教授。

H25年改正省エネ基準の断熱性能と日射熱取得の計算について具体的な計算方法を学び、結果分析から実務に活かす力を身に着けるのが目的というので、3時間勉強してきた。

講習会や本ではよくわからなかった事が、辻先生の実務者サイドに立った話を聞くことで整理することができ、一層理解が深まった。

とりわけ、H25年省エネ改正の躯体性能基準である外皮平均熱還流率の詳細計算法と簡略計算法による結果の比較は、とても参考になった。

エクセルやプログラムを導入すると早急に結果は導き出されるが、理解を深めるには手計算をしてみるのが一番早い。

申請は簡略計算法(従前の仕様規定にかわるもの)で行っても、設計実務は詳細計算法(性能規定)を行い検討した方が良い。簡略計算法では1割程度安全側になる。

審査側と設計実務者と両方の立場を経験してみると、それぞれの法に対する理解の深さが異なることがよくわかる。

与条件と結果だけでプロセスはブラックボックスとなっている天空率、日影、避難検証法等と同様に省エネ法も性能規定に振れてきた。審査機関側の審査体制づくりも中々大変だろう。

モデルの外壁断熱材を変更したときの外皮平均熱還流率(UA値)、熱損失係数(Q値)、外皮平均日射熱取得率(ηA値)、夏季日射取得係数(μ値)を計算して提出(MAIL)すると、辻先生の作成したサポートツールがもらえるという、異例の宿題があるゼミなのだが、そこがかえって良いことだと思った。

鬼平江戸処・東北自動車道羽生PA上り線 -2

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内部は、通路を挟んで店舗が配置され、天井には空が書かれ照明によって雰囲気を変えるといった従来型の演出。

通路幅が狭かったかも。

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メディアコーナー

店舗の中を歩いていると後ろの方から

「かっこいい 何これ」

「鬼平って何?」「俺 鉄平なら知ってるぞ」と色んな声が聞こえた。

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鬼平犯科帳にしばしば出てくる「軍鶏鍋の五鉄」

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試しに「一本饂飩」を食べてみたのだが、鬼平犯科帳の中の一本饂飩とはちょつと違うように思える。

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テーマパーク型の複合店舗の場合、リピーターの関心を集めるような自己更新が必要だと思うが、ここでは「食」かな・・・

 

鬼平江戸処・東北自動車道羽生PA上り線 -1

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東北自動車羽生PA上り線が昨年暮れにリニューアルされ鬼平江戸処としてオープンしたのはニュースで聞いていたが、外観も江戸の町並みにしていたのは、駐車場について初めて知った。

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左側は喫煙コーナー

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案内板

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メイン出入り口

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土曜日の夕方という時間だったからか、PAは大変混雑していた。

 

アルテミス宇都宮クリニック

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北関東自動車道・宇都宮上三川ICで降り、宇都宮市郊外のインターパークというショッピングエリアのロードサイドにある産科クリニック

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幹線道路からアプローチ

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中庭に面して産科クリニック・アクア&フィットネススタジオ・ブック&カフェが配置されていて、複合施設となっている。

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駐車場から

設計・施工 :  竹中工務店

【アルテミス宇都宮クリニック】

住所 : 栃木県宇都宮市インターパーク5丁目1−9

http://www.auc.med-apple.co.jp/index.html

【設計データー】

http://www.takenaka.co.jp/majorworks/24927252004.html

詩仙堂 丈山寺 -1

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弊社CEOが先週末東京に帰る日の朝のうちに寄ったという詩仙堂・丈山寺

山門

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詩仙堂の四季には、それぞれ趣があり とりわけ五月下旬の「さつき」十一月下旬の紅葉が有名らしいが、この6月・水無月の青葉もなかなかのものだったと言っていた。

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老梅関

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嘯月楼

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上賀茂神社・水無月

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弊社CEOが先週末 京都出張の際、訪れた上賀茂神社

CEOは、上賀茂神社が大好きで京都出張の折には、時間を見つけて上賀茂神社に参拝している。

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花菖蒲が庭に彩(いろどり)を加えている。

装置としての旬の「花」

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昨秋訪れた時、紅葉が美しかった青もみじ

お願いしていた神馬堂の焼もちを土産に買ってきてもらった。

 

名勝大乗院庭園文化館の土塀

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名勝大乗院庭園文化館の入口の塀は、楽人長屋の土塀のデザイン

塀の雰囲気が素敵だった

古い朝鮮の民家のような・・・

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名勝大乗院庭園文化館は、元興寺を中心とする「ならまち」と高畑界隈の中間に位置し、市民・観光客が名勝旧大乗院庭園や大乗院の資料展示を見ながら気軽に休憩し、また展示室、茶室、和室、会議室などを利用できる施設。

だけど、中には入らなかった。

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聖ラファエル教会

DSCF8652_R 奈良ホテル近くにある教会。

軽井沢の聖パウロカトリック教会に似ているなと思っていたら、A・レーモンドゆかりのレーモンド設計事務所の設計だった。 奈良ホテルの附属教会として、結婚式などが行われている。

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DSCF8660_R 【建物データー】

聖ラファエル教会 1997(平成9)年

設計 : レーモンド設計事務所

施工 : 不明

住所  :        奈良市高畑町1096

完了検査済証の交付率

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H26年建築基準法改正にともなう国交省の資料を見ていたら、「検査済み証交付率の推移」というデーターがあった。

H10年には、完了検査済証の交付率が40%を切っていことがわかる。現在では、90%ぐらいまでになつてきているが、指定確認検査機関ができたからというより、世の中の法令遵守への気風が高まったからだと思っている。

ところでも再三指摘しているが、建築ストックの活用にとって、この工事完了検査済証未了・無しの建物を増築、用途変更する時、どうするかとというのは避けて通れない問題である。

国交省のデーターでは、H10年の完了検査済証の無い建物が60%強あるということだが、木造住宅や特殊建築物等、法第6条の各号ごとの交付率は公表されていない。

弊社のデーター(サンプル数500件)による特殊建築物の検査済証未了は30%強だから、木造住宅を始めとしたその他の建物の未交付率は、もっと多いのだろうと推察する。

先日、木造住宅のリフォームの話を担当設計者から聞いた。

建築確認済証はあるが、出来ている建物は全く違う建物で、建蔽率が5%ほどオーバーしているという違反建築物のリフォーム工事の経過だった。

リフォームだから建築確認申請は不要だが、建蔽率がオーバーしているので役所に相談に行ったら、ムニャムニャで終わってしまったらしい。

情けない話だ。

役所は違反建築物を放置しているとしか思えない。

設計者も申請は不要でも建築基準法に適合させる必要があるのだから減築は助言すべきだが、そんなことを言っていたら施主から「固いやつだ」と言われて仕事がなくなってしまうのかもしれない。

工事完了検査済証がない建物でも、用途変更や増築の際に法適合調査を行い法適合が証明できれば確認申請は提出できるが、その調査・診断・評価方法は定まっていない。

全ての構造方法に対応した建築病理学(ビルディング パッソロジー)の構築が必要なのかもしれない。

 

 

狭小空間点検ロボット「moogle(モーグル)」

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大和ハウス工業が開発した床下等の狭小空間点検ロボット・moogle(モーグル)

住宅の床下点検を主な用途として開発されたロボット。
暗所、閉所の作業は点検員の負担が大きい。空間が狭く作業効率が悪い。埃や粉塵がある場所での作業は、人体へ悪影響がある。
外部からは作業内容を確認できない。様々な障害物で確認できない箇所がある。最近は床下が少なく、もぐって点検できない。デブにはとっても無理。

ということで幾らするのと聞いたら、1年保証付で200万円。5年保証付で230万円とか。

リースもあるらしいが月5万円ぐらいにはなりそうで、高嶺の花

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【写真は大和ハウス工業サイトから】

やっぱり 調査は汗をかかないといけないようだ。

http://www.daiwahouse.co.jp/robot/moogle/index.html

 

東京大学弥生講堂アネックス/セイホクギャラリー -3

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セイホクギャラリー1階

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屋根面

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2階から

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屋根

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セイホクギャラリー2階

【設計データー】

設計 河野泰治アトリエ
構造 東京大学大学院農学生命科学研究科/木質材料学研究室
施行 (株)エンゼルハウス
建築面積 359.21m2
延床面積 497.48m2 (1階 327.51m2 / 2階 151.97m2)
階数 地上2階
構造 木質構造
竣工 2008年8月

http://www.a.u-tokyo.ac.jp/yayoi/plan_annex.html

東京大学弥生講堂アネックス/セイホクギャラリー -2

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エントランスに入ると木の香りが、ぷーんとする

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エントランス右手のエンゼル研究棟講義室

こちらは、檜材105×105のラーメン構造

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エントランスをみる

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シェル構造のセイホクギャラリー2階への階段

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掘り込み式の手摺

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東京大学弥生講堂アネックス/セイホクギャラリー -1

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東大農学部の正門左側にある建物が東京大学(農学部)弥生講堂アネックス/セイホクギャラリー

道路から見える姿が、きれいで見てみたいと思っていた。

写真は農学部の門

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DSCF9430_R深い緑の世界に木材を多用した建物、さすが農学部

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雨が降っていたのでより艶がある(色気)感じが出ていた。

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LVLの木質シェル構造のセイホクギャラリーとエンゼル研究棟の幾何学的建物が一つになっているのだが、違和感がない。

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1階は講義室で、直接2階に上がれる階段があったから、2階は研究室になっているようだ。

「建築・新しい仕事のかたち~箱の産業から場の産業へ」

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一般社団法人住宅医協会設立記念講演会「建築・新しい仕事のかたち~箱の産業から場の産業へ」東京大学大学院工学系研究科建築学専攻教授の松村秀一先生の講演を聞いてきた。

東京大学(農学部)弥生講堂アネックス/セイホクギャラリーという木造シェル構造でできている建物が会場だった。

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松村先生の話は刺激的だった。

日本の産業構造が「ハコの産業」から「場の産業」=「より望ましい生活を展開する『場』を構成するあるいは提供する産業」に一大転換している時代と位置づけられた。

「新しい仕事のかたち・七つの要素」として

  1. 生活する場から発想する
  2. 空間資源を発見する
  3. 空間資源の短所を補い長所を伸ばす
  4. 空間資源を「場」化する
  5. 人と場を出会わせる
  6. 経済活動の中に埋め込む
  7. 生活の場として評価する

をあげられ、具体的事例を紹介されていた。

私達が目指している仕事の方向が、あながち間違ってはいないのだなぁと思った。

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刺激的な空間で刺激的な話を聞けれて脳が活性化した一日だった。

豊島区東池袋五丁目地区第一種市街地再開発事業等の都市計画(案)に対する意見

近頃、豊島区都市整備部都市計画課から「東池袋五丁目地区第一種市街地再開発事業等の都市計画(案)に対する意見書の募集」が配布された。

都電荒川線に沿って補助81号線という都市計画道路が計画され、現状は拡幅部分の立ち退きはほぼ完了しフェンスに囲まれた更地が続く。

池袋サンシャイン、造幣局の南側地域には、「東池袋4・5丁目地区地区計画」がH20年6月に決定されていたが、今回その地区計画を変更した上で、地区内にある第一種市街地再開発事業に関わる部分も変更したいという趣旨。

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計画地は、メトロ有楽町線東池袋駅から徒歩数分。池袋サンシャインや池袋東口や移転する豊島区役所にも近く再開発ラッシュが続く。池袋は官民で再開発計画が目白押し。

この地域は、住んでいて便利な面と不便な面がある。

交通の便(JR、メトロ、都電、バス)と意外と選択肢が多い。池袋東口、大塚へと映画、図書館、日常的な買い物も便利。

再開発により人口が急激に減って住民が入れ替わっている。特に単身者が増えている。その影響で町内会の統合が検討され地域コミュニティはだんだんとりずらくなっている。既存商店街はほぼ壊滅的な状態。病院が少ない、診療所の経営が成り立たなくなっている。近くのスーパーでは生鮮食料品(野菜・魚)の品質が満足できなく郊外に買い物に行く人が多い。確かに老人は多いが、家を空けたときには近所の人が見ててくれる。冬場は路地裏を回り、夜回りをして自分たちで防犯・防火につとめている。

この地域に住んで10年ほどになるが以上のような感想を持っている。

現在の補助81号線沿いの都市計画は、容積率400%、建蔽率80%、高度地区無、防火地区なのだが、この東池袋5丁目市街地再開発敷地の一部は、第三種高度地区、準防火にかかっている。このあたりが開発設計にあたり邪魔くさかった部分なのではないか推測する。

木造密集エリアを一部整理して道幅を広くし、猫の額ぐらいの公園を移設させましょうと一見地域に貢献していそうだが、なにしろ木造2,3階建ての地域に地上21階約70m、延べ面積13,420m2という巨大なマンションが計画されたのだから、住民の不安、反対は多い。

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まあそんなこんなで、下記の意見書(若干変更)を豊島区に提出した。

市街地再開発事業地区のみ都市計画変更することには賛成できません。補助81号線に沿って全体的な都市計画でなければ地域貢献ではなく、一部地権者と開発者のものとなりかねません。

都総合設計基準の歩道状空地、広場面積では不充分でプラスアルファが無ければ地域貢献しているとは言えないと思います。

又災害時開放の集会施設、防災倉庫の規模は明示されていません。再開発建物の為の容積率緩和対象となる規模では不充分で、地域貢献できる規模、周辺の初期防火に役立つ防火水槽の容量確保を希望します。

高層ビルから発生するビル風は特に冬場に強大で、すでにアウルタワー等で地域住民は体感済みです。単体の高層ビルでは延焼遮断帯になるどころか、風はビルの隙間に流れるのですから逆に、周辺の木密住宅の延焼促進建物になってしまう可能性がありますが、本計画にはその配慮は見られません。建築計画の再考を求めます。