「花筏(はないかだ)」

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「花筏(はないかだ)」

桜の花が散り

花びらが水に

帯状に浮かんで流れるさまを

「筏」

に見立てていうことばである。

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江戸川橋がかかる神田川の今日の情景

陽ざしが強かったが、風もそれなりにあり

散歩日和だった

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建物は椿山荘

告示H12第1436号・一部改正(2015.03.18)

先頃、平成12年建設省告示第1436号の一部が改正された。

第四号中「ニ」が「ホ」に、「ハ」が「ニ」なった。

詳細は官報参照20150318h064940005

新規追加された「ロ」について記載する

ロ 避難階又は避難階の直上階で、次に掲げる基準に適合する部分
【当該基準に適合する当該階の部分(以下「適合部分」という。)以外の建築物の部分のすべてが令第126条の2第1項第1号から第3号までのいずれかに該当する場合 又は適合部分と適合部分以外の建築物の部分とが準耐火構造の床若しくは壁若しくは同条第2項に規定する防火設備で区画されている場合に限る。】

(1) 建築基準法別表第1(い)欄に掲げる用途以外の用途 又は児童福祉施設等(入所する者の使用するものを除く。)、 博物、 美術館 若しくは図書館の用途に供するものであること。

(2) (1)に規定する用途に供する部分における主たる用途に供する各居室に屋外への出口等(屋外への出口、バルコニー又は屋外への出口に近接した出口をいう。以下同じ。) (当該各居室の各部分から当該屋外への出口等まで及び当該屋外への出口等から道までの避難上支障がないものに限る。) その他の当該各居室に存する者が容易に道に避難することができる出口が設けられていること。

これは、「子ども・子育て支援法等施行に伴う幼保連携型認定こども園」の建築基準法の取扱いを定めたことによる関連改正。

公布即日から施行されたので、設計図書への記載方法が変わる。

従来 H12告示第1436号四-ハー■ → H12告示第1436号四 – ニ-■となる。

 

沖縄県×防衛省@行政不服審査法

報道によると、沖縄県の翁長雄志知事が名護市辺野古の米軍新基地作業を停止するよう求め、従わない場合は岩礁破砕許可を取り消すことがあるとした指示(3月23日付)に対して、防衛省沖縄防衛局は24日、林芳正農水相に行政不服審査法に基づく審査請求書と執行停止申立書を提出した。

これを聞いて、役所対役所で行政不服審査法に基づく審査請求や執行停止申立をするのか?

そもそも行政不服審査法の目的は、行政庁の違法、不当な処分など公権力の行使について「国民に対して広く行政庁に対する不服申立てのみちを開くこと」で「国民の権利利益の救済を図る」(第1条)とある。

行政間での話し合いができないのかと思った。

今の政府は、沖縄の民意を代表する翁長雄志知事と面談しなかつたりと、名護市辺野古基地問題での強権的な対応が目に余る。

通常、行政不服審査法に基づく審査請求は、国や地方自治体といった行政機関による処分に不服がある個人や組織が、処分取り消しを求めるために行うもので、行政間の審査請求などあるのかと驚いた。

さて、農水省の審査委員会は、どう対応するのだろうか。政府の圧力が加わるから裁決までのスピードも速いのだろうな。

建築審査請求では、昨年東京都内の特別区建築審査会で建築審査請求が棄却された案件に対して近隣住民が2014年11月に国土交通省に再審査請求と工事の執行停止をもとめているが、4カ月余りたっても何の進展もみられないと聞く。

建築基準法第94条第2項には、「建築審査請求を受理した場合は、1月以内に裁決しなければならない」あるが、これは訓示規定だからと、まったく無視されている。

民間人が審査請求するとチンタラしているとしか思えない審査請求。さてどうなるのか興味津々。

「建築物省エネ法(案)」が閣議決定された

報道によると、本日3/24大規模な建築物に省エネルギー基準への適合を義務付けることなどを盛り込んだ「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)」案が閣議決定された。今国会での成立を目指すとのこと。

http://www.mlit.go.jp/report/press/house04_hh_000584.html

大規模な非住宅建築物(特定建築物=2000㎡以上)について、新築時等における省エネ基準への適合義務及び適合性判定義務を課し、これを建築確認で担保することとなる。今国会で成立すれば2017年施行となり、その後2020年までには段階的に対象建物を増やしていく計画との事。

数年前から噂されていたように、いよいよ省エネ(特定建築物のみ)も建築基準法の関係規定となるわけで、指定確認検査機関の多くが建築物エネルギー消費性能適合性判定機関として登録することになろう。書類上の審査は、数値の適合さえチェックしていくだけでよいのだから容易だが、性能基準で計算するのは中々大変。

長年の建築設計業務から指定確認検査機関に行き、又建築設計の立場に戻った身になった経験から審査と設計とは、まったく異なるもの。

性能基準での省エネ計算には、建築の知識、環境設計の知識、設備の知識が必要で、ちまたでは省エネ技術者が不足していると聞く。

H25年基準が施行された昨年度から省エネコンサルタントの業務がパンク気味で、納期がかかっているようだ。人材不足もあるけど、従来の仕様(例えばH11基準)で設計したものを設計図書が完成してから、あるいは工事契約が終わってから省エネ届を提出してくれといわれても外皮性能も一次消費エネルギーも適合しないことがほとんどだ。

検討→不適合→断熱仕様の見直し・予算の検討等→断熱仕様の仮決定→再検討→適合・省エネ届という繰り返しが時間を費やしている。これからは基本設計段階で省エネの検討を並行して進めなければならないという頭に切り替わっていない。

弊社も昨年来 これまでお付き合いのある会社の省エネ計算・届出の業務が増えていたが、年度末になってH11基準の駆け込みや、基本設計段階のH25基準での省エネ検討が重なり、頭がゴチャゴチャになっている。

H11年基準とH25年基準 外皮性能は従来の設計仕様では、ほとんど不適合だということを認識してもらいたい。

【覚書】避難安全検証法でできないこと

【避難安全検証法で適用除外できると勘違いされやすい項目】

■面積区画

面積区画は、施行令第112条第1項に規定され、1500m2以下(自動消火設備設置で3000m2以下)で区画しなければならない。

全館避難検証法では、高層区画、竪穴区画及び異種用途区画は除外できるが、面積区画は適用できないため1500m2または3000m2ごとの区画は確保しないといけない。

面積区画を拡大するには防火区画検証による。

■重複距離

重複距離は施行令第121条第3項に規定され、施行令第120条の歩行距離の数値の1/2を超えないことになっている。この規定は避難安全検証法では除外できない。

■特別避難階段の付室

階避難安全検証法では施行令第123条第3項第一号の規定が除外できる。

この規定は付室の排煙設備の設置に関するものなので、付室の設置については避難安全検証法では除外できない。

■非常用エレベータ乗降ロビーの排煙

非常用エレベータ乗降ロビーの排煙は施行令第129条の13の3第3項第二号に規定されているため避難安全検証法では除外できない。

したがって乗降ロビー兼用付室の場合の排煙設備は、仕様規定に準処しなければならない。

■避難階段の幅員

避難階段の幅員は施行令23条、施行令24条に規定されているため避難安全検証法では除外できない。

ただし、物販店舗の合計幅員については全館避難安全検証法で適用除外が可能となる。

■防煙区画面積

階避難安全検証法では、防煙区画面積は1500m2まで拡大できる。

■排煙口までの距離

30mを超えた位置にある排煙開口の排煙は有効開口部の排煙には加えない。

ルートCでは30mを超える事が可能な場合もある。

多世帯住宅のスタディ

地方都市の郊外に計画した二世帯住宅(下図)

敷地面積は100坪というのは地方都市の郊外では、一般庶民でもさほど非現実的な敷地面積ではない。

一敷地一建物の原則により、左側の老夫婦の住まいと右側の若夫婦の住まいは敷地分割し、駐車場と庭、アプローチをシェアする。

老夫婦の住まいは平屋で延べ面積が18坪、若夫婦の住まいは二階建て延べ面積が34坪。

これなら将来、老夫婦の住まいが不要となったとき、第三者に賃貸することも容易。

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一旦外に出て、行き来するよりは、やっぱり中でつながっている方が使いやすいという意見で修正したのが下の図面。

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洗濯室と老夫婦の住まいの玄関でつながっている。これも玄関と洗濯室の間の戸をふさいでしまえば、左側の部分を賃貸することは容易だろうという意見により修正されたもの。

ところが、「平屋がいいわ」「家庭菜園をしたい」と言う老夫婦の意見に沿った計画も、若奥様の「子供の通学はどうするのよ」「小学校は、公立ではなく私立も選択肢に入れないと」いう事で、もっと駅近くの敷地面積の少ないところに計画地が変わった。

それは、木造三階建て多世帯住宅なのだが、それを紹介するのは後日。

多世帯住宅について考えた

このところ多世帯住宅について考える機会があった。

ひとつは知人からの質問で、都内に計画中の三階建ての建物で親夫婦、子供夫婦、子供奥様の親という血縁関係が住む住宅が共同住宅だと言われたとのこと。外部階段を共有していて、家族構成が変化すれば第三者に賃貸することも容易な形態。

私も以前 横浜市でそういう多世帯住宅の設計に携わった経験があり、その時は、共用の外部階段を内部階段にして多世帯住宅で申請した経験があり、そういうことを話しておいた。

ところで横浜市は昨年、平成26年9月に「横浜市建築基準法取扱基準法」を一部改正し「多世帯住宅の取扱い」を加えた。image-0002

 

日本建築行政会議編の「建築確認のための基準総則・集団規定の適用事例」(2013年版)を受けて、「世帯ごとに分離した台所、食堂等の部分が2までのものとし、3以上の住宅については、原則として共同住宅として扱う」というもの。

まあ「形態」で考える建築基準法の取扱いとしては妥当なんだろうなぁと思うけど、いまひとつ すっきりしない。

二世帯住宅を計画する場合、例えば親夫婦のいずれか、若しくは両方が無くなったり、片親の介護が必要になったときでスペースの転用を考える場合、子供が独立して生計を営むようになり、不要な部屋の転用を考えた場合とか、将来の家族構成の変化なども見込んで計画のバリエーションも考えておかないとならない。

三階建ての1階部分を他人に貸したら住宅から(特殊建築物)共同住宅で違反になるというのも建築ストックの活用上は、制限つけすぎかと思う。200㎡以下の住宅は「特定住宅」として緩和するとか必要。

「家族」といっても血縁関係でつながっているのが「家族」というわけでもなく、現代では多様化してきている。難しいね~。

告示建築線

築基準法の末尾にある「附則」に注意を払ったことがありますか。

(この法律施行前に指定された建築線)

5 市街地建築物法第七条但書の規定によつて指定された建築線で、その間の距離が四メートル以上のものは、その建築線の位置にこの法律第四十二条第一項第五号の規定による道路の位置の指定があつたものとみなす。

建築基準法は、昭和25年11月23日から施行されたが、それ以前には「旧市街地建築物法(大正8年4月法律第37号)」が施行されていた。というのは先日、文化住宅=旧高田邸の時に書きました。

それで市街地建築物法から建築基準法の附則を思い出した次第で、古い法律が現代でも生きているという事例。
告示建築線とは、「旧市街地建築物法第7条但書」に基き、行政官庁(東京府では警視総監)が告示により指定した指定建築線。

建築物を建築線より突出して建築することはできないとされていた。また全く道路のないところに指定されることも少なくなかったようです。

かつて警視総監の名前で告示されたその間の距離が4メートル以上の指定建築線は、現在は、建築基準法第42条第1項第五号の規定による道路(いわゆる位置指定道路)として扱われており、たとえ道路状に整備されていなくても、その上に建築物を建築することはできないと定められています。

東京では中野区等、大阪では船場建築線というのが有名です。

この告示建築線、法律的には中々面白いというか、味わい深いしろものです。

 

文化住宅と建築法令

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3月8日の旧高田邸の詳細調査に参加して、築85年(1930年頃)の木造住宅としては、中々構造体はしっかりしていたのではないだろうかという感想を持った。

外部立面の採寸と立面図の作図が主要な担当だったので、他の調査者を時々覗く程度だったし、早計なことは言えない。詳しくは全体の調査資料が調査参加者に後で配布されるようだから、その調査資料をみてから再度検討してみたい。

この構造体の部材寸法、施工方法などは、大工さんの個別の経験的な裏付けに基づく技量によるものだろうか。あるいは 何らかの現在の建築基準法・施行令に規定されるような社会的な規定(定義・構造規定)があったものだろうか。

よく知られている事だが、現在の建築基準法(昭和25年法律第201号)の前は、市街地建築物法(大正8年・1919年公布)があった。それは建築基準法が定められる前に存在した「市街地における建築を規定する法律」であった。当時、国立市は東京府下なので、直接的にはこの建築法令の適用外となる。

木造の法的な規定(案)は、市街地建築物法(大正8年・1919年公布)ができる以前の、明治27年(1894年)の東京市建築條例案(東京市区改正委員会・妻木案)や、大正2年(1913年)東京市建築條例案(建築學會)に見ることができる。

明治39年に東京市長・尾崎行雄が建築學會に建築條例の作成を依頼して、6年半の歳月をかけて大正2年(1913年)に238条からなる東京市建築條例案(建築學會)と途中案4編、諸外国条令資料16種を東京市に提出した。

それが先に書いた大正2年(1913年)東京市建築條例案(建築學會)である。

そこには大正・戦前昭和の文化住宅と建築法令(構造規定等)についてのみならず、現在の建築基準法につながる規定が網羅されている。

例えば木造の構造関係の規定は、下記のような事が記載されている。

  • 土台は柱と同寸以上の角材で
  • 上下横架材距離に対する柱の小径の割合は、階を下るごとに増加
  • 柱の欠き取りは1/3まで、やむ得ない場合は鐵具を附加
  • 筋違を壁体に配布する
  • 小屋裏、天井上、床下が木造の時は換気孔を設ける
  • 柱は上下に大きな枘を有してはならない。
  • 等々

これらの規定は、「木造耐震家屋構造要領」(明治28年)、「家屋耐震構造要便」(大正4年・佐野利器)と類似しているものが多いと言われているので、大正2年(1913年)東京市建築條例案(建築學會)に規定されている木造の構造規定は、ある程度、業界内に普及していたのではないだろうか。というのは私の推論。

旧高田邸詳細調査

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国立市にある築85年の文化住宅・旧高田邸の詳細調査に参加してきた。既報のように国立市民等のプロジェクトに住宅医協会で協力する形で調査を行った。今日の調査には25人の参加とのこと。

無報酬の調査・ただし昼弁当、味噌汁、飲み物付き

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玄関アプローチ

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午前中は小雨、午後は雨は上がったが曇に覆われていた

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私は、採寸グループで東側立面図の作図を担当した。大まかな実測、矩形図等の他の採寸者と情報を突合せ、フリーハンドで1/50立面図を作図した。

採寸してわかった事だが、2階軒高が現代の木造住宅より1m近く高い。2階の軒の出が3尺、1階屋根の軒の出が2尺5寸ほどだった。

全体としてライト風な水平線を強調するデザインになっている。

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詳細は、住宅医協会のサイトで紹介されている。

http://sapj.or.jp/syousaichousa2015-45/

弥生・・・

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昨年来の仕事がひと段落ついて、久しぶりに本屋に行った。

商売道具の法令集を買いに行ったのだが、これだけは毎年買い替えている。そして何十年井上書院の法令集=青本を使い続けていることだろう。

池袋淳久堂の建築関係の書棚をながめて歩いたが、何だか触手が伸びる本が無かった。アンテナが弱くなったのだろうか。

「本屋に行ったけど結局法令集しか買わなかった。面白そうな本がなくて」と話したら「面白い建築を造れる人が少ないんだから面白い本なんか書けないよ」と言われた。名言だ。いたく感心。

先日、名古屋の知人から電話が来て「今、どこにいるの」と聞かれた。最近 古い海外の建物写真しかアップしていなかったが、私がヨーロッパに行っていると思っていたらしい。

仕事で缶詰め状態だったのさ。1月2月と電車に乗って外出したのは5回もない。完全なる引きこもり状態だった。

最近 ボケてきたと言われることが多い。一週間に一度程度外出するような事を探しているのだが・・・

建築の本は法令集しか買わなかったが、こんな本を買ってみた。

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ちきりんさんは、著名な社会派ブロガーだけど中々面白い視点の持ち主で勉強にさせていただいている。

ベッドで寝ながら読めるところが良い。

とても面白くて二晩で読んでしまった。

「建築物」の定義

民家園に移築する茅葺民家(文化財保護法による建築物、保存建築物ではない)を内部空間を利用せず、修景物として利用する場合、この茅葺民家は「建築物」に該当するか否かという質問があった。

法第2条第1項第一号の「建築物」は、

「土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これら類する構造のものを含む)」と規定されている。

この括弧内の「これに類する構造のものを含む」は、平成4年改正で加えられた部分。

これによると用途が発生するか否かではなく、物理的な「定着」「屋根」「柱」「壁」で判断しているものと思う。用途は変化する相対的なものだけど、形態は変わりずらい。

だから、質問の茅葺古民家は、「建築物」として扱うのが原則的であると私は判断すると答えた。

修景物として工作物・施行令第138条第1項第三号「高さが4mを超える広告塔、広告版、装飾塔、 記念塔その他これらに類するもの」として 言い張ることも可能かもしれない。

映画のセットのような外観だけならば工作物でもよいと思う。

この茅葺古民家は、とりあえず修景物だとしても内部空間があり、色々な転用、用途発生も将来可能であるならば「建築物」として定義し確認申請が必要かと思う。