新「そらまどの家」 丸谷博男著

「地球の恵みの素は、太陽の熱 その熱は、1億5千万㎞を駆け抜けてきた輻射熱です。 「そらどま」は その輻射熱を 住まいに採り入れ その輻射熱で 採暖採涼をします。 太陽の恵み「そら」の熱と 地球の恵み「どま」の熱を 両手両足を背一杯広げて 受取る仕組みです。 そして、人と住まいの健康の素「呼吸する家」をつくります。」

エコハウス研究会

エコハウス研究会のホームページ巻頭に書かれていた この言葉にほれぼれとしました。

「そらどまの家」はフランチャイズではなくオープンシステムです。

「その土地の微気候、それぞれの工務店の工法や技術力にふさわしい、きめの細かいパッシブな家づくりを創案し、皆様のものにしていただこうというものです。このような考えこそがパッシブデザインの本質と考えています」

高断熱・高気密住宅には違和感をずっと感じています。ビーニール袋にアルミの蓋住宅の傾向は、今も昔も何ら変わっていません。省エネと言いながら石油製品の断熱材を多用する矛盾。

日本の風土と共に息づいてきた伝統工法の知恵を生かした家づくりは憧れですが、庶民には高嶺の花であるという現実も存在しています。

「週刊 東洋経済8/12-19合併号・親の住まい 子の住まい」

2019年には世帯数が5307万でピークを迎える

2033年には空き家が2167万戸を超え3戸に1戸は人が住まなくなる。

2050年・現在の居住地の約20%が「誰も住まない土地」になる。団塊ジュニア世代がすべて75歳以上に

今後の日本を展望すると、確かに住環境は激変していくのだろう。

今でもその兆候は見られるし、爺が心配しても仕方ないのかも知れないが、何だか暗澹たる気分になってしまう。

子育て世代の住まいは一戸建てかマンションか。はたまた購入か賃貸か

老後の住まいはどうするのか。

そう言えば 他人ごとではなかった。

NICHE 04

母校の校友会にわずかばかりの寄付をしたところ、出版されたばかりの「NICHE 04・ドイツ建築探訪!」が送られ来た。

いずれ購入しょうと思っていたので丁度良かった。

仕事に追われていてパラパラめくっただけで紹介記事を書くのはおこがましいが、こういう大学の知的資源やネットワークを生かした本を世の中に出し、社会に貢献していくのは大学の使命である。

大学はまだ死んでいなかった。

教育界の品位を下げた「もり・かけ」ばかりではないのだ。

日本語とドイツ語のバイリンガルになっているのだが、かってドイツ語を専攻していたのに今やさっぱり読めなくなっている。

「ブルーノ・タウト再考」を始め、ドイツ建築を特集している。仕事で煮詰まっている時に気分転換で、しっかり読むことにしよう。

「NICHE 04」出版

 

川口市・納戸の取扱い

埼玉県川口市が この9月1日から運用を開始すると言う「納戸の取扱い」が話題を呼んでいる。

川口市建築基準法関係の解説及び運用基準

戸建て住宅で採光が取れない場合、確認申請の図書上だけ「納戸」と記載し、実態は照明、コンセント等の設備や、畳敷き・床の間があるようなものは「居室」であるという至極まっとうな取扱いである。

「時代に逆行してる」と息巻いている人や「現代住宅に採光は不要だ」等と言う人もいるそうだが、他の特定行政庁や指定確認検査機関は見てみぬふりをしているだけである。実は黙認は罪なのだ。川口市のように「取扱い」を明文化して堂々と議論するべきだろう。私は「偉いぞ川口市」と言ってやりたい。

こんな取扱いを明文化しなければならないほど川口市の戸建て住宅は極小敷地に目いっぱいに建っている住宅が多いのだろう。他の地域でも確認申請上では納戸と書きながら戸建て分譲チラシでは寝室になっているのが多くみられる。

明治の中旬頃に全国各地で制定された「長屋建築規則」でさえ、前面路地は2.7m(9尺)、後ろと脇は0.9m(3尺)という離隔距離を定めている。当時は長屋のほとんどが平屋建てだったのにこれだけの採光・通風に配慮した数値を定めていた。

今や隣の家との距離が、1メートルというのは遠い昔の話であり都会の一般庶民の居住環境は悪化するばかりである。

建築基準法の採光規定については議論する余地がある。

例えば

  1. 坪庭・ライトコート等に接する場合の居室の採光緩和
  2. 吹抜けを介して連続する居室(1・2階)の採光緩和
  3. 太陽光採光システム(レンズ集光+光ファイバー伝送方式)による採光の緩和

技術的に検討すべきことは沢山ある。

川口市が投じた「納戸の取扱い」が建築基準法の採光規定の見直しに一石を投じることになれば良いなと思っている。

「ひつじの京都銭湯図鑑」大武千明著

京都の街中を歩いていると意外と銭湯に出くわします。レトロなものやモダンな外装のものあり、ひとつひとつの銭湯が個性的です。

仕事に追われている時は、活字の本を読む余力がありませんが、この本のようなイラストが多い本は、ちょつとの合間の息抜きにピッタリです。

銭湯の営業中は、カメラ撮影が不可なので記憶にとどめておいてイラストにされていたそうですが、結構可愛らしいイラストが散りばめられています。

京都銭湯巡りの小トリップ。

何だかワクワクしてきます。

鎌倉の家

日曜日、知人の設計事務所から新築住宅の内覧会の知らせが来ていたので鎌倉まで脚を運んできた。JR鎌倉駅に降り立ったのは実に何十年ぶりだろうか。菩提寺の本山がある関係で車では幾度か街中を素通りしているのだが、観光客で賑わう鎌倉駅周辺や若宮大路を歩くのが久しぶりだったせいか新鮮な感じを受けた。

知人のパートナーである奥様が設計を担当したという住宅は、鎌倉駅から私の脚で20分ほどの閑静な住宅街にあった。個人住宅なので写真のアップはこの階段吹抜け部分だけにするが、和紙クロスとしな合板と無垢の木による内部空間で、実に風通しの良い家だった。

設計を担当した奥様とは初対面だったが、聞けば40代とか、建築の素材を知り尽くし、その良さを引き出してている日本料理のような住宅に仕上がっている。華美な飾り付けはしていないが、丹念な下ごしらえの実に爽やかな住宅だ。

厨房廻りは造り付けで、女性建築家らしいというか、細部にまで気を配った使いやすい厨房に仕上がっていた。

【鎌倉の家】

設計監理 :   小野育代建築設計事務所  担当・小野育代

施工 :  堀井工務店

鶴岡八幡宮・源平池

鶴岡八幡宮

建築法務は独立した領域

大規模の建築プロジェクトでは、建築法務は独立した分野であり専任の担当者を配置するか建築法務専門事務所にプロジェクトに参加してもらうのが極めてあたりまえです。

上記の図は、大規模プロジェクトにおける設計体制の一例ですが、建築確認申請手続きは全体の業務領域の中では、ほんの一部でしかありません。

許可・届出等で一番面倒なのは建築審査会や開発審査会の許可が必要なものや最近では景観法でしようか。

小規模なプロジェクトでも、設計担当者の業務から切り分けて専任の建築法務担当者(建築法務事務所=弊社)に任せた方が良かっただろうと思われるケースは増えています。

個別の法令や条例が増え続け、それらの法文や手続きの流れを読みこなし、的確に設計スケジュールに反映させたり、図面をチェックバックするのは、ベテランの仕事ですが、建築主との打合せ各種資料作成に追われて中堅設計担当者には余裕がないのが現状です。

弊社では、若い時から外注任せにせず都市計画法の開発行為や農地転用手続き・許可、道路法の施工承認等 自ら様々な役所を回って許認可を行い、それらを業務範囲にしてきたこと。また現役設計者の時に総合設計制度や一団地申請等の大規模プロジェクトを担当してきたことが、現在に活かされているんだと思っています。

建築法務の業務領域は、建築プロジェクトにおいて一層比重が高まっていくことでしょう。