換気の「見える化」

新型コロナウイルスの感染経路として、空気中を浮遊する微粒子(エアロゾル)によるものがあり、そのリスク低減のためには換気をするのが基本です。その換気の状況を「見える化」し換気の目安を計算した産業技術総合研究所の首席研究員、原史郎さんの研究成果が興味深い。

内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室のサイトに、その研究成果が発表されている。オフイス、食堂・レストラン、ディービス、スポーツジム、カラオケ、住宅でCO2濃度を測定し換気の目安を計算している。

https://www.covid19-ai.jp/ja-jp/organization/aist/articles/article001

住宅については2003年以降に建てられたものは24時間換気システムが法的に義務付けられているので換気口の掃除と窓開け換気の併用が有効なようだ。

『住宅でのCO2測定
24時間換気対応換気口を備えた個人住宅では、寝室に2名で就寝すると、朝には1,000ppmを超えるようになる。ただし、その値が直に不健康を意味するわけではない。
換気口を掃除すると、CO2の排出効果が促進される。本例では、昨年度末の大掃除から11ケ月経過後に換気口の掃除を実施したところ、換気効率は、1割程度回復。
朝起床後などに適宜窓を開けると、5分でCO2濃度は半減する。
基本的に、各部屋は【空気の屋外排出】の向きにファンが取り付けられており、他の部屋とは空気の流れでは独立である。しかし、リビング、ダイニング、廊下は気流の上流側であり、感染者が出た場合感染者との動線が交差しないように注意が必要。』

原さんの研究のまとめは、

『CO2測定で、どのような人数でも、換気状況が明快にわかる。
典型的なそれぞれのシーンにおいて、本研究結果で示された換気対策を施すことで、CO2濃度を建築基準法で定める1,000ppmに抑える運営が可能。
ただし、個別事例で部屋の換気性能はまちまち。より安全に換気対策を施すには、CO2センサーを用いて、常時測定することで、数値に基づく換気の運営が可能になり、間欠換気などを適切に実施できる。
換気程度がわからない場合でも、冬はその分暖房を強めるなどして、少しでも多く窓を開けるなどして外気取り込みを多くすることが効果的。
CO2測定は、あくまで浮遊微粒子の換気状況を明らかにするもの。近接飛沫対策(マスク、衝立、ソーシャルディスタンス)と媒介対策(手洗い、消毒)は併せて必ず行わなければならない。』

悩むのは、どのぐらいの仕様のCO2測定器が必要かと言う事、アウトドアでは、テントや車中泊の場合CO2測定器を購入した方が良いと言われている。その場合は安価なCO2測定器で充分なのだが、建築室内の場合は、事務室とか会議室とか部屋別に設置して管理したほうが良いのか。そういえば工場等で従来から環境要因を見える化するシステムがあったはずと思い、検索したら見つけた。熱中症対策の温度湿度計測、二酸化炭素濃度の計測「CO2れんら君」。

https://nke.co.jp/ec/network/renra/n0028.html

もうひとつ悩むのは、そもそもの「外気の質」。昨年からマルチワークスペースに取り組んでいたので、都心部、都心郊外、東京から100kmぐらい離れた田園地帯とそれぞれの地域環境で外気の質がこんなにも違うものかと実感していた。具体的には山手線内側とさいたま市と千葉県の三里塚、三カ所比較しても全然外気の質が異なる。勿論温度、湿度も同時間でも異なるはずだ。ただ科学的に外気を計測したわけではないが、その置かれた地域環境で対応は異なるのではないだろうか。