用途変更の設計者資格

先日、用途変更の設計者資格について聞かれたので覚書的に記述しておく、

物販店舗からディーサービスセンターへの用途変更で100m2を超えているので、当然用途変更確認申請が必要であるが、相談者兼設計者は、普段は住宅の設計が多い二級建築士事務所。

公式的には この古い通達が生きている。

昭和27年住指発第424号 建築士の設計でない用途変更
昭和27年4月17日 建設省住宅局建築指導課長から愛知県建築部長宛

(照会)
法第87条の規定によれば同法第6条第1項第1号の特殊建築物のいずれかに用途を変更する場合は当該建築物を建築するものとみなされるが、建築士法第3条及び第3条の2の規定には用途変更する場合を含む旨の規定がないから大規模の模様替又は大規模な修繕に係る部分の延べ面積に応じて建築士の資格の要否を決定すべきもので、何等建築工事を伴わない用途変更については、建築士の資格を有しない者でも法第6条第1項第1号の確認申請書を提出し得るものであり、且つ、建築主事は当該申請書を受理すべきものと解してよいか。

(回答)
用途変更については法第87条に基く同法第6条の準用規定があるが、同条第2項は、建築士法第3条又は第3条の2の規定に違反する場合の規定であつて、建築士法上用途変更についての規定はないから(法第87条の準用規定は建築士法まで及ばない)法第6条第2項に関する限り、用途変更については何等制限はなく、建築主事は当該申請書を受理できる。なお、建築基準法上申請書は建築士に限定されていないから念のため、申添える。

 

以上のように用途変更の設計者資格については建築士でなくてもできる。

但し、報酬を得て業として行う設計・監理には建築士事務所の登録が必要。
(法第23条には法第3条2項のような用途変更が除外されると読める記述がない)

荷重の増減などの影響がない旨の「構造検討書」を添付する場合、対象建築物全体が特殊建築物なので構造設計者の検討が必要。

工事完了検査は不要で、工事監理者も不要。ただし工事完了届を提出。

工事完了届は、特定行政庁に提出するのが基本だが、用途変更確認申請を指定確認検査機関に提出した場合は、工事が完了したかどうか民間指定確認検査機関で掌握できないので、民間指定確認検査機関経由で工事完了届を提出する場合がある。

都内の特定行政庁によっては、現場確認というの名の検査(是正指示もある)に来る場合がある。

尚 この用途変更については、設計者資格、工事監理者、工事完了検査が不要なところから脱法ハウス(住宅から共同住宅)、違反グループホーム、数々の違法用途変更を生み出している一要因のような気がする。

時代は変化しているのに、今になっても昭和27年の通達が生きているのだから・・・

 

バイオクライマティックデザイン

「たまでん」こと多摩電力合同会社が屋根貸しオーナーに呼びかけた条件。

屋根貸しオーナーの方へ
多摩電力合同会社が建物所有者様と話し合い、最適な屋根貸しの条件を個別に設定させていただきます。
建物所有者様とは条件が整い次第、多摩電力合同会社と賃貸借契約を結んでいただきます。
設置後した太陽光は発電設備は固定価格買い取り制度のもとに、多摩電力が電力会社に全量売電します。また、設備のメンテナンスは多摩電力が行います。

【想定する建物所有者様】

・公共施設(学校、幼稚園、他)
・民間の学校法人様
・団地の管理組合様
・自社ビルや工場をお持ちの企業・団体様
・商業施設やインフラ施設をお持ちの企業様

【建物所有者様のメリット(例)】

建物所有者様は、基本的に自己資金負担ゼロで太陽光発電設備を設置でき、以下のメリットを享受することができます。

・屋根貸し賃料
・非常用電源の確保
・契約満了時の設備の譲渡
・最上階の直射日光遮蔽効果
・地域貢献/環境貢献

【募集条件】
以下の条件をすべて満たす建物所有者様が対象になります。

1)太陽光発電設置用として概ね20年間の貸し付けが可能であること
2)太陽光発電設置が可能な屋根面積が150㎡以上あること
 (※但し、北面および太陽光発電の設置しに際し、障害物がある場合を除きます)
 (※150㎡未満の屋根を複数まとめて150㎡以上として申請いただくことも可能です)
3)屋根の日照条件が良好なこと
4)多摩地域(八王子、稲城、町田を含む)に位置していること
5)集合住宅の管理組合の場合、理事会・総会等の正式な手続き・手順を踏んで合意が得られていること
6)債務不履行により、所有する資産に対して差押命令、保全差押または競売手続き開始決定がなされないこと

上記条件をご確認の上、一部条件に当てはまらないことや不明な点があっても、多摩電力が無料相談をさせていただきますので、まずは一報ください。

http://tama-den.jp/?page_id=18

建物所有者様のメリットとして建物所有者は、基本的に自己資金負担ゼロで太陽光発電設備を設置でき、以下のメリットを享受することができるとしている。

・屋根貸し賃料/・非常用電源の確保/・契約満了時の設備の譲渡/・最上階の直射日光遮蔽効果/・地域貢献、環境貢献

その昔、学生時代に民家の調査研究や歴史的建造物・歴史的景観の保存に関わり、環境と建築という問題については、いつも脳裏を離れないテーマだった。

昨今の学会では、「その地域の自然に合致し、地球環境を維持できる、人間に快適かつ悦びを与える建築デザイン」(バイオクライマティックデザイン)と言っている。

これらをどのように実現していくか。

「既存建築物の再生と活用」というテーマで業務を行っている当事務所でも「バイオクライマティックデザイン」は、必要不可欠な領域だ。

 

「たまでん」が、動き始めた。

「たまでん」は、玉川電車ではないよ、「多摩電力合同会社」の事。

5/24の朝日新聞朝刊に、主に多摩電力の第一号発電所、市民ファンドの取り組みを紹介する記事が掲載されていた。

 

市民よ集え 太陽光発電

マンションやビルの多い都市の屋上を使って太陽光発電を広げていこうと、市民がつくった多摩市の発電事業会社が、市民ファンドの募集をしている。市民ファンド型の太陽光発電は、北海道などの地方を中心に進んできたが、首都圏では初めて。都市型モデルとして注目される。事業を広く知ってもらおうと、28日には新宿でトークイベントを開く。

◆多摩発、ファンド式で出資募る

◇屋上利用「都市型の手本に」

「きっかけは、原発事故。東京で消費するエネルギーで、福島があんな目にあった。もう『東京だから』『土地がないから』とは言っていられなかった」

多摩市内にある「多摩電力合同会社」(愛称・たまでん)の山川陽一代表(74)は振り返る。

同社は、地域で環境問題やまちづくりに取り組んできた人たちが集まって設立。水力や風力などの選択肢のなかから、「自分たちの力で、継続していけるものを」と団地やマンションの多い「多摩ニュータウン」で屋根を借りて発電することを考えた。

国の固定価格買い取り制度が昨年7月にスタートして以来、市民ソーラーは首都圏でも増えている。だが、「私募債」を活用して、少人数でお金を出し合う形が中心。不特定多数の人に参加してもらうファンド方式は、市民主体の事業ではハードルが高いと、敬遠されがちだった。

だが、山川さんらは「多くの市民からの心のこもったお金で地域の発電所をつくり、広げていきたい」と、こだわった。昨年9月に環境省の委託事業に採択されたこともあり、学識者や行政、金融関係者を交えて検討を進められるようなった。

計画では、市民から募った出資を元手に、多摩ニュータウンを中心に多摩地域全域の公共施設やマンションの屋上を賃借りし、太陽光パネルを取り付ける。今年度中に、出力計1千キロワット分を目標にしている。

必要な資金3億円のうち、半分に当たる1億5千万円は地場金融機関からの融資でまかない、残りの半分を市民に「たまでん債」として購入してもらう方針で、4月に募集を始めた。

山川さんは「エネルギーを消費するばかりだった東京から発電していくことで、全国の都市部のモデルにしていきたい」と話す。

28日には新宿区歌舞伎町のロフトプラスワンでトークイベント「東京に『市民発電所』を」を催す。ゲストは、ノンフィクションライターの高橋真樹さんや保坂展人・世田谷区長ら。問い合わせは、多摩エネ協(042・357・0335)。日曜日は休み。

(市川美亜子)

http://www.asahi.com/area/tokyo/articles/MTW1305241300001.html

 

母体は、多摩循環型エネルギー協会(略称:多摩エネ協)で、多摩で自然エネルギーの普及を目指す市民参加の取り組み。

環境省が平成23年度から、地域の関係主体が参画できる再生可能エネルギー導入事業の円滑な立ち上げのための事業化計画策定手法の確立に向けて、モデル的な地域の取り組みを支援する「地域主導型再生可能エネルギー事業化検討業務」を行い、全国から業務を担う事業者を公募・選定していたが、多摩エネ協は同業務の平成24年度募集に応募し、同年9月に採択された。これを受けて、地方自治体、金融機関、商工会議所、学識経験者、地域住民等で構成される協議組織を立ち上げた。

それが「多摩市再生可能エネルギー事業化検討協議会」。

この取り組みの事業主体が「たまでん」。

原発や化石燃料依存から自然エネルギーの活用の面だけでなく、建築的にも「既存建築物の再生と活用」という点で私は、注目している。

CapD20130124_2

 

 

意外と盲点・・・施行令70条(柱の防火被覆)

設計上や審査上で意外と盲点というか忘れてしまうのが建築基準法施行令第70条(柱の防火被覆)です。

(柱の防火被覆)第70条

地階を除く階数が3以上の建築物(法第2条第9号の2イに掲げる基準に適合する建築物及び同条第9号の3イに該当する建築物を除く。)にあつては、一の柱のみの火熱による耐力の低下によつて建築物全体が容易に倒壊するおそれがある場合として国土交通大臣が定める場合においては、当該柱の構造は、通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後30分間構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。

耐火構造・準耐火構造とする必要が無い 三階建ての鉄骨造の建物・・・例えば倉庫とか工場、専用住宅で鉄骨がむき出しの建物などの場合には、柱の防火被覆が必要です。

防火被覆の条項が構造規定関係のところにあるので、つい見落としやすい条項です。

“意外と盲点・・・施行令70条(柱の防火被覆)” の続きを読む

計画変更か 確認申請の再提出か

建築プロジェクトは、ときに事業の見直しで、建築確認申請取得後に未着工になったり、工事が一時中断したりすることがある。

又 過去には法令改正を機に意図的に工事中断がなされた事例もあった。

それらの物件が工事再開するとき、幾つか問題が生じることがある。

たとえば共同住宅で、一部構造躯体の変更や 住宅の間取りの変更や設備関係の変更、多少の床面積の増加(もともと容積率はいっぱい)なら計画変更確認申請の提出をしてもらう。

というようなスタンダードな計画変更なら良いのだが、建築確認申請書を提出し確認済証の交付を受けた後の計画の変更は、色々なケースがあり 判断に迷う場合もある。

“計画変更か 確認申請の再提出か” の続きを読む

建築基準法 取扱い基準集及びQ&A集等 / 全国

全国各地の特定行政庁の建築基準法に関する取扱基準・手引き・質疑応答集をまとめています。

各地の取扱基準等を項目別に比較検討して学習すると、一層 法令を理解する事が出来ます。

又、参考として指定確認検査機関等で、取扱いをまとめているところも記載してあります。

これらの文書は、webで文書を公開しているところや各地の建築士会などで販売しているものも列記してありますが、webで公開していない特定行政庁の文書で、所有しているものについて質疑がある場合は関係部分のみ「TAF倶楽部会員」に情報提供しています。

“建築基準法 取扱い基準集及びQ&A集等 / 全国” の続きを読む

現在、TAF倶楽部(会員制サイト)の試行中です。

現在 このブログ(wordress)の投稿記事の一部にアクセス制限をかける形で「会員制サイト」を構築中です。

入院等で伸び伸びとなっていましたが、随時設定作業を進めているところです。

現在、一部の投稿記事の「続きを読む」以降に、アクセス制限をかけております。

英文の和訳箇所の不都合や設定について モニターの意見を聞きながら修正を加えているところです。

アクセス制限記事の閲覧については、会員制サイト「TAF倶楽部」の正式開設までお待ちください。

住まいの多様化か、貧困化か・・・

都心では、激セマ部屋というものが繁殖しつつあるらしい。

もとのわずか30㎡のマンションの部屋を6区画(5m2/人)、いや40㎡に12区画(3.3m2/人)でそれぞれ月額家賃3~5万円で貸しているというものである。

しかも保証人不要、敷金なども不要という賃貸条件らしい。

賃貸するほうからみれば、家賃の不払いやら失踪、退去などリスキーな要素も多いが、家賃収入も多い。

ハイリスク・ハイリターンのビジネスモデルというか、社会的弱者を食い物にする貧困ビジネスの一形態か、とにかくきわどいビジネスだ。

居住者は狭さを苦にしない若者中心で、個室は衣類クロゼットや壁掛けテレビ・小型冷蔵庫等も備付けで以外と小奇麗な装いだ。

広さから言えば、私の学生時代(もう40年近くなるが・・・)に住んでいた部屋(4.5帖・K付き)、先輩の部屋(6帖・WC・K付き)に居候していたころ等に比べても、これらの「激セマ」シャアハウスは狭い。もっとも私が借りていた時代のアパートは古かったが。

住民登録できるところがないと就職もままならないのだから、ネットカフェ難民の方々には救いとなる住まいの形態なのかも知れない。

非正規雇用の増加(平均年収の低下)が、住まいの貧困化に拍車をかけているのだろうか。

テレビでも、スーパーJチャンネルで『街角の死角 史上最狭!?”極セマ部屋”のワケあり男女』と題され、シェアハウスの狭小住宅に住む人びとを特集していた。

この極セマ部屋を提供している会社のひとつがルームジャパンという会社。

http://roomjapan.jp/

これらのシャアハウスは、建築基準法的にはどうなの? 消防法上問題があるんじゃないの?というのをはばかってしまう現代社会の現実がある。

当然、法的には問題ありなのだが、

この国では、飲食店ビル、ネットカフェ、グループホーム、エレベーターと 誰か人が死なないと事故調査も法改正も出来ない。

なんだか社会の貧困化が、当事者達が気づかないうちに進行しているように思えてならない。

小屋裏物置等 -5・・・兵庫県西宮市の取扱い


兵庫県「西宮市建築基準法取い基準(2012年)」の小屋裏等に関する取扱いを見ると、平成12年の施行通知(H12,6,1 建設省住指発第652号)は、「従来の通達等による物置等を設置する場合の木造建築物の耐震壁の配置規定の整備を行ったものである。よって物置等を設置する場合の形態制限については従来の通達等を含めた以下の取扱いによる。」とし、あくまでも法律改正経過の文脈の中で考えている。

これは、これで妥当な取扱いだと思う。

その結果、西宮市では小屋裏物置の取扱いについての建物用途は、「専用住宅・兼用住宅又は、併用住宅、長屋、共同住宅の住戸の部分とする。」として住宅系の建物用途に限定している。

img124

 

 

西宮市の取扱いでは、小屋裏物置の「開口部については、換気用のガラリ以外は、換気という趣旨から収納空間として必要最小限とする。」とあり、現状では一般的な取扱いだとおもうが、その開口部の数値的目安は示していない。

img125

準耐火建築物に小屋裏物置を設置する場合の技術的基準を示しているが、他の特定行政庁では、ここまで厳密な技術的基準を明確にしておらず、色々な意見がある項目である。

img126

小屋裏物置の規定は、どう変わってきたか? -1

先般、小屋裏物置(床面積・階への非算入)は住宅系に限定したものか、あるいは他の建築用途(例えば店舗等)にも適用できるのかという質問があった。

東京都江戸川区の取扱いでは、建物用途は問わないと文書化されているが、都内でも特定行政庁によって取扱いが異なるようである。

又全国的にも住宅系の建物用途に取扱いを限定しているところもあり(兵庫県西宮市他)、その説明を聞くと一理ありと感じる。

そこで、小屋裏物置の床面積・階への非算入について歴史的経過を辿りながら検討をしてみたいと思う。

“小屋裏物置の規定は、どう変わってきたか? -1” の続きを読む