「今、ある良い建物を これからも使い続けていくために」

工学院大学校友会・新春の集い2017で工学院大学教授の後藤治教授から頂戴した「今、ある良い建物を これからも使い続けていくために」既存建物を使い続けていくための諸制度見直し研究会の発行です。

このJIA再生部会や東京弁護士会歴史的建造物部会が協力してできた冊子を読んでみました。

歴史的に価値ある建築物の多くは、相当の年数が経過している為に現在の諸法律に適合していません。建築物を長期間継続して使い続けていくためには、大規模な改修や用途変更等もときには必要になります。しかし現行の法的基準を満たそうとすると工事費が嵩んだり、場合によってはその歴史的価値さえ失ってしまうこともあります。

今、多くの歴史的建築物は、経済的合理性の御旗のもと解体を余儀なくされています。

一方、歴史的建築物を社会的資源と捉えなおし、用途変更・増築等をして活用する事例も増えています。廃校からホテル・結婚式場。事務所から飲食・物販店舗からなる商業施設。廃校から道の駅等 各地で事例は生まれています。

この冊子は、日本建築家協会(JIA)再生部会と東京弁護士会歴史的建造物部会で、技術的な面と法的な面から様々な検討を行い、建築基準法第3条1項3号「その他条令」の規定を運用し、建築基準法適用除外の条令制定を勧めています。またその事に役立たせる目的でまとめられています。

社会的システムという法整備も喫緊の課題ですけど、個人的には、それと両輪で建築病理学の体系化が求められていると思います。