能楽師の安田登さんが、開成高校の生徒に司馬遷の中国歴史書「史記」について解説した本。「NHK100分de名著」による2019年11月の特別授業。
「シンギュラリティ」(特異点) 少しづつ変化して来たことが、ある地点を境に劇的に変化する、その変化する一点のことを言うとのこと。かつて人類は、こうしたシンギャラティを何度も体験して来た。紀元前1300年頃の古代中国では「文字」が発明された。
何故「史記」を読むのか、「史記」は伝説を含めた古代中国の非常に長い歴史(2500年以上)を扱っている為、文字の誕生をはじめ人類にとっての大きな変化が幾つも記されている事。そして「史記」の叙述スタイルに注目している。それまでの歴史書が出来事を時系列に沿って書く「編年体」であったのを人物を中心に書く「紀伝体」という新しいスタイルを作り出した。
古代中国の各時代では、次のような大きな変化があったと指摘する
殷・文字の誕生
周・心と論理の誕生
秦・法の完成
漢・中華文化の成立
その変化を時代ごとに解説されていて とてもわかりやすかった。
司馬遷が投げかけた問い「天道是か非か」は、答えの出ない永遠の問い。「良い事をすればよい事が起きる」「天道というものがあると言われたが、本当にあるのか」。司馬遷が問い続けた「天道是か非か」は現代の私達に突きつけている問いでもある。