「日本木造遺産」藤森昭信(著)・藤原光政(写真)

 藤森照信氏が文章を、建築写真家の藤塚光政氏が写真を。プラス、それぞれの木造遺産について構造学の観点から、東京大学生産技術研究所の腰原教授がコラムを寄稿するという贅沢な本です。

 この本は、2019年から足かけ5年にわたる雑誌「家庭画報」の連載のうち32の木造遺産を雑誌とはまた異なる仕立てで再構成した本だそうです。

 既に見た建物も沢山あったが、この本を読みなおしてみると、気が付いていないことや、新しい知見が溢れていた。まだ見ていなかった建物もあり、探訪したい建物が増えた。

 「千年の時を超える知恵」が日本木造遺産には伝承されている。

「生きるための農業 地域をつくる農業」菅野芳秀著

 日本の農業の実態は、ペンを持つ農民から聞くのが一番と思い、この本を読んだ。

 山形県長井市で50年間、地域循環型家族農業を営む著者が、農業の現場から届ける百姓エッセイ。

 いま農村で何が起きているのか、衝撃的な見出しが目に入ってくる。「大規模農業には農民も農村も不要」「生産費を賄えないコメの価格」「農仕舞いに追い打ちをかける農業機械の更新」「大規模化がつくる赤茶けた田んぼ、生き物がいない水田」等

 大規模農業は、化学肥料・農薬・殺虫剤の利用とセットであり、その結果田んぼの中の小動物がいなくなり、カエルも少なくなった。虫がいないから田んぼの虫を食べるツバメもスズメもトンボも少なくなった。

 カエルの声が一晩中聞こえる田、赤とんぼが舞う秋の情景。これは家族農業・小規模農家が低農薬で頑張っている証でもある。

 そうした一次産業に従事する人たちが 日本の国土を守り、景観を環境を守ってきた。

 日本の農業を支えてきた家族農家の人達が生活できなくなっている農業政策自体間違っている。大規模化促進と輸入米拡大は邪道だ。農協の解体を目論んでいる人達もいるんだろうと思う。

「俺たち百姓の時代的役割は、いままで培ってきた農と暮らしの知恵を活かし、地域の足元から生活者と連携し、ともに生きるための農業をつくりだしていくことだろう。負けていてはダメだ」と著者は書く。

 農業・林業・漁業で暮らす人々にリスペクトし、生活が成り立つようにすべきだ。それが何よりもSDGSであり、日本の国土を守ることに繋がるのではないか。

ベルトラン ラーシェ ル ブルターニュ カグラザカ

今年に入って、日中 神楽坂周辺に出かけると立ち寄る事が多い

ガレットとクレープの専門店

神楽坂の路地奥にある

フランス語が飛び交う、ちょっと雰囲気が違う店。

ちょっぴりワープした気になります

勿論 日本語も通じます

最近 好きになったシードル。アルコール度数が低い

リンゴジュースのソーダ割を飲んでいるような感じ

冷製のカボチャのスープと暖かい魚介のスープ

サラダも美味しい。暖かい鰯が入っていた

ホタテとラタティユのガレット

海老とホタテのポアレが載っているガレット神楽坂

客の8割から9割が女性客

爺婆は、場違いな気もしていたが、顔を覚えられていた

「Iの悲劇」米澤穂信著

「I」とは、都市から地方への移住を意味するIターンの事

 舞台は田舎の中の田舎、市全体の過疎化に加え、恐らく東北の山間部を設定しているのだと思うが、ひとつの限界集落が無人になってしまい「死んだ集落」となった。そうした「死んだ集落」も、もう日本の地方では見慣れた光景になってしまったが・・・。

 その「死んだ集落」に行政が中心になって都市から新住民を呼び込み、一旦は集落を復活させるが、やがて新住民は少しずつ、集落を離れ、永遠の眠りにつく。

 移住者を増やすという取り組みは、人口減少の我が国の地方自治体では、どこもかしこも取り組んでいる。一見前向きな政策も、地方自治体の財政状態から見たらインフラ整備の予算もなく、とんでもなく負担でもある。

 行政の現場と地方の現状に視点を向けた社会派ミステリーの体裁をとってるが、反転する結末が面白いし、Iターン政策について考えてしまう本。

 婆ちゃんの本棚から借用した本だったけど、一気に読んでしまった。

「炭火焼肉 しちりん」

下呂から、加子母に移動し内見+打合せを済ませ昼食

 「けいちゃん」を食べることになったのだが、以前 中津川駅近くで食べたときの印象が良くなかった(美味しくなかった)ので躊躇したのだが、この店は美味しいからというので入店。中津川市加子母地内の「炭火焼肉 しちりん」

けいちゃん+飛騨牛ホルモン定食

ジンギスカン鍋に和紙が敷いてある。

紙が焦げないように焼くのがコツだとか

ニンニクが効いてる。

ホルモンが混じっているせいか、味に深みがある。

「けいちゃん」のイメージを一新させた出会いでした。

色々な「けいちゃん」を食べ歩きたい

てら小屋チーム・第20回WEB打合せ

 計画中、設計中のプロジェクトや秋以降の業務について進捗状況を共有。例年盆明けから3月の年度末までは、とても忙しくなるので協力を依頼した。

Aプロジェクトは、既存建築物の改修工事に伴う各種補助金について、詳細な内容が担当者から説明があり、申請する補助金を絞り込み、行政にヒアリングするものを決めた。

Bプロジェクトは、シニア向け共同住宅にコンバージョンする計画だが、既存一般図、計画図ができたので担当者から説明。設備・電気や他のチーム員から意見をもらった。

Cプロジェクトは、専用住宅で既存図、計画図について担当者から説明。子供室の在り方について意見が交わされた。

Dプロジェクトは、実施設計が完了したので設計予算の算定のため現在積算中。中部圏の業務については増改修工事に伴う設計事務所としての工事見積書は、より実勢に近い見積書を作成する事にしている。東京圏に関しては今後の検討課題。

 実践的な演習課題を出した。

 都内の検済無し住宅の上増築に対するガイドライン調査、条例に基づく申請、増築確認申請、設計、工事監理の業務見積書の作成。工事金額に対する料率ではなく、人工計算を積み上げた報酬の見積書作成を課題とした。

 木造住宅2階程度の検済無し住宅の増築は、今後一定の需要が見こまれるが、これを適切に調査・申請・設計・監理を一括してできる設計者は多くない。

 適切な調査項目、調査人工を把握しているか、設計粗利率をどのように設定するのか等、こうした実践的な課題は、それぞれの業務に役立っていくだろうと思う。

「建築物の防火避難規定の解説2025」

EPSON MFP image

 2023年度版に続き2025年度版が発行された。商売道具とはいえ、法令が変わるたびに、こうした本を購入し目を通しておかなければならない。

 さて、どこがどう変わったのか、相変わらず差分対照がないので よくわからない。

 フォローアップの避難検証法の質疑回答が掲載されたように思う。まあ避難検証法等の性能規定については、恐らく一級建築士が10人いたら、そのうち9人ぐらいは知らないというだろう極めて専門的な分野。

 東京は暑いので、日中はできるだけ外に出ず、クーラーの効いている部屋で、もっぱら、こうした専門書を読む。

下呂温泉 川上屋花水亭 -3

露天風呂 河原の湯 早朝

下呂温泉の泉質は、単純温泉(アルカリ性単純温泉)

効能は、リウマチ、運動機能障害、神経症、神経麻痺、病後回復、疲労回復など。

下呂温泉でも場所によって泉質が違い、飛騨川の西と東では微妙に異なるとか

「川上屋花水亭」のお湯は「pH9.1」

アルカリ性特有の石鹸効果によりツルツルした肌ざわりで「美人の湯」とも呼ばれているとか。じんわり後から身体が温かくなる、とても良いお湯でした。

下呂温泉では、5本の源泉井戸から最高79度の温泉が毎分2,300リットル湧き出しているそうで、「川上屋花水亭」は、源泉かけ流し、一部循環ろ過併用方式との事。

昭和7年(1932年)の創業の老舗温泉旅館です。とても料理がおいしかった。

とりわけ、お米が印象に残っている、全国のお米コンクールで数々の賞を受賞している「銀の朏」使用しているとの事。「銀の朏」は岐阜県飛騨地域で、低農薬で科学肥料を一切使用せずに栽培されているお米。

「川上屋花水亭」は、「お湯良し、料理良し、接客良し」の三拍子揃った宿でした。

自家焙煎珈琲の店 緑の館

下呂温泉から少し高山側の岐阜県下呂市萩原町の

「自家焙煎珈琲の店 緑の館」で一休み

内部の撮影は禁止なので外観だけ

創業50年で、コーヒーに特化し、万人に好かれるより本当にコーヒーが好きな1人に愛してもらえる喫茶店を目指したそうです。

店内にはジャズ、アンティーク時計、アメリカ電子ピアノ等が置かれ、こだわり続けた店づくりをしているそうです。

店内の雰囲気も良く、とても人気のある店だという事がわかります。

各自別な珈琲とリングトースト小倉バターを食べたけど、3人でも多いぐらいのボリュームで、餡子もバターもいっぱいで、とても美味しかった。

珈琲焙煎室と珈琲豆の販売所

中々の豆の種類

エチオピアを買い求めた

そば処 山法師

愛知県下での打合せ、現場確認を経て岐阜県の下呂に移動

 高山本線に沿って国道64号線を下呂に向かう途中、岐阜県加茂郡川辺町にある「そば処 山法師(やまほうし)」で遅い昼食。昼食のオーダーストップ直前の入店だった。

天丼セットを食したが、そばつゆがとても美味しい

こんなところに 良い店を発見

岐阜では、結構人気のある店と聞いたが、最近は地方に美味しい店が多い

古民家にグランドピアノが

駐車場側から

「建築・まちづくりのための 空き家大全」田村誠邦他編著

これまで あまり関わることもなく、さほど関心もなかった空き家問題

いざ調べていくと 結構深刻な状態が日本全国で起きている

 この本は もともと日本建築学会特別研究委員会「縮小社会における都市・建築の在り方特別研究委員会」(2018年)等の共同メンバーの活動が基になっているので、問題のアブーローチが学際的。問題と対策、利活用が1冊で分かるようになっている。

 とりわけ、第3部の「空き家を活かした50の事例」は多彩で、興味深い事例が紹介されている。

 仕事の中心が「既存建築物」だとプロジェクト毎に現代の社会的な問題と関わるざるを得ない。最近は「高齢者の住まい」「空き家活用」「都心の高層マンション等の諸問題」「まちづくり」等、考えなければならないことが多すぎる。

 地方の空き家活用に取り組んでいく 良い本を見つけた。

少子化に思う事

 厚生労働省によると、去年1年間に国内で生まれた日本人の子どもの数は68万6061人となり、前年より4万1227人減少。

 出生数が減少するのは9年連続で、1899年に統計を取り始めて以降、初めて70万人を下回りました。出生数はすべての都道府県で減少しているとあります。

 国立社会保障・人口問題研究所がおととし公表した将来予測では、日本人の出生数が68万人台になるのは2039年と推計していて、想定より15年ほど早く少子化が進行しているそうです。

 日本人の出生数は、最も多かった第1次ベビーブーム期の1949年には269万人余りいましたが、その時と比べると4分の1近くまで減少しています。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250604/k10014825201000.html

 少子化で思い出したのが 若い時に読んだシュンペーターの本です。昔読んだ本を探し出すのが大変で、いずれは書棚に全部の本を並ばせてあげたいと常々思っているのですが、中々実現しません。

 それはともかく

 ジョセフ・アロイス・シュンペーターは、1883年にオーストリア=ハンガリー帝国領のトリーシュという 小さな町に生まれたとあります。この地は、現在はチェコ領。   

 100年以上前に活躍した人ですが、イノベーションの理論家として 今でもビジネス界では人気のある評論家だそうです。

 さて そのシュンペーターは、100年以上前に「資本主義の発展過程では、家族制度も形骸化して、少子化が進展し、それが資本主義を機能不全に陥らせる」と論じていました。

 資本主義の精神は損得勘定を優先させる「経済的合理主義」の精神が基本にあり、その経済的合理主義の精神が社会のあるゆる分野に浸透していくと結婚して子供をつくり、育てるという行為は、経済合理性が無いために少子化が進むと予測していました。  家族に縛られることや、親や子のために自分を犠牲にすることは、経済合理的ではなく、割に合わないからです。家族を持つ、子供を育てる、親の面倒を見るという事は損得勘定で考えることではなく、それらの行為の動機は「情愛」です。

 しかし合理主義の精神に支配された資本主義社会では、情愛などという経済合理性がないものは、尊重されないのです。我々は 現実世界の中で、経済的合理性とそれに反する情愛の狭間で揺れ動いているのです。

 もともと資本主義を発展させてきた動機は、自分の子や孫たちに財産を残していきたいから利潤を追求するのだと言います。シュンペーターは、「子や孫のために」という行動の動機を「家族動機」と呼んでいます。

 「資本主義は発展するからこそ崩壊する」現在の社会情勢を俯瞰すると含蓄のある言葉をシュンペーターは残しています

てら小屋セミナー2025 加子母フィールドツアー 原点に還る旅

 「てら小屋セミナー2025・加子母フィールドツアー」は、木から建築ができるまでの過程を体験的に学ぶことと、神宮備林で樹齢何百年の木々達と触れ合う機会でもありました。

 またツアーを通じて、通常では中々体験できない20歳代から70歳代の世代間交流をリアルに行う場でもあり、同じ時間を共有し会話をすることで、お互いに刺激になったのではないか思います。

 そして、人として建築技術者として「原点に還る旅」でもありました。

 都会で仕事をして生活していると、身体は満たされても心は空腹になっていくような気がしていました。

 渡合温泉で早朝に小鳥のさえずりと小川のせせらぎの音だけの世界に身をおいていた時、何か心の空腹が満たされていくような気がしました。それは、たぶん「癒される」という事なのでしょう。

 先人達は、自然の音のだけの世界で、癒され、思考し、行動していたのだなと思うと、こういう空間に時々立ち戻る必要があると思いました。

 また、建築技術者として、生産者や流通経路に思いを寄せる必要性を強く感じました。

 それは「凧の糸」なのではないか。我々は、糸を切ったら、どこに飛んでいくかわからない「凧」で、常に現場との糸を切らしてはいけないのではないかと思ったツアーでした。

 【神宮備林・二代目大ヒノキの前でツアー参加者と】

 

てら小屋セミナー2025 加子母フィールドツアー 神宮備林-2

人工植林の山路を進む

山は整然とし凛とした美しさ

空は五月晴れ

天然の山は、実生(みしょう)と言って自然に芽をだし、それが育つ

いろいろな木や草の中で苦労して、時間をかけて育ち

根が深く他の草木の根と支えあう

「二代目大ヒノキ」

樹齢1000年、樹高26m

初めて天然ヒノキ林である神宮備林に来ることができた

林道から往復3km弱の山道だったけど、やっぱり上り下りはきつかった

大地のエネルギーというか魂というか、それを感じることができたのは

この歳にして貴重な体験だった

全容を現した (仮称)駒沢こもれびプロジェクト A棟

工事中だった駒沢大学駅前の新たなアウトモール型商業施設

足場が外され全容を現した。

2025年11月中旬、東京都世田谷区上馬三丁目に

新しい商業施設「(仮称)駒沢こもれびプロジェクト A棟」

がグランドオープン。

この施設は、東急田園都市線・駒沢大学駅から

徒歩1分という利便性の高い立地に位置し、

地域の新たなランドマークとしての役割を果たすことを目指しています。

関係者にお聞きしところ、

現在、順次テナント工事が着手中で、

2025年10月15日に建築会社から施主に引き渡し

2025年11月11日完成レセプション

2025年11月中旬グランドオープンとのことでした

本施設は、地域の住民、働く人、通う人が集まる場として設計されており、

緑とテラスがつなぐオープンエアの空間が特徴です。

駒沢エリアにおける新しいまちづくりの拠点として、

地域に開かれた商業施設を目指しているそうです。

デベロッパー主体ではない街づくり、

補助金による市街地再開発事業でもない

一民間事業者の建替えによる街づくり・再開発は注目です

https://comorevi.com

【基本情報】

名称:(仮称)駒沢こもれびプロジェクト A棟
所在地:東京都世田谷区上馬三丁目852番1,10(地番)
事業者:株式会社イマックス
設計・施工者:鹿島建設株式会社
延床面積:6,418.75㎡
構造:鉄骨造一部鉄筋コンクリート造
階数:地上4階、地下1階
店舗数:17店舗
用途:物販、飲食、サービス店舗など
駐車場台数:21台
アクセス:東急田園都市線 駒沢大学駅から徒歩1分

てら小屋セミナー2025 加子母フィールドツアー 神宮備林-1

今回、特別な許可を得て神宮備林に入ることができた

まずは第62回神宮式年遷宮斧入れ式跡地

2033年(令和15年)に、第63回式年遷宮が行われますが、

その8年前の今日2025年(令和7年)6月5日に、

始まりの祭事「御杣始祭(みそまはじめさい)」(裏木曽御用材伐採式)が、

加子母裏木曽国有林で執り行われる。

「御杣始祭」は御神体を納める器の材料となる

神聖なヒノキ「御樋代木(みしろぎ)」を

「御杣山(みそまやま)」にて正式に刈りはじめる祭事。

説明を聞くツアー参加者たち

ヤマビル対策は、バッチリの服装

いざ二代目大ヒノキに向かって進む

てら小屋セミナー2025 加子母フィールドツアー ランプの宿 渡合温泉-2

 いつも通り朝3時頃 目が覚めて、

スマホもいじれないし、テレビもないので、

持ってきた馳星周の「月の王」を読んで

 1930年代の上海にタイムスリップしていた。

そうしたら

 夜が白々と明けてきて、

小鳥たちのさえずりと谷底を流れる川の音だけの世界に、身を委ねていた。

何もないということは、こんなにも心が満たされていくものなのか。

早朝の玄関ロビー

大人も子供も遊べる玩具・ゲームが一杯ある

沢の水で冷やされている飲み物

2歳と5歳の男の子と何を飲むか選んでいた。

子育てには参加しなかったが、

意外と自分も子供と戯れることができるんだなと思った。

朝食前の時間にロビーに集まってきて鉄砲撃ち等に興じる

朝食

天然イワナとアマゴの水槽

いざ神宮備林(加子母裏木曽国有林)に向け出発

てら小屋セミナー2025 加子母フィールドツアー ランプの宿 渡合温泉-1

宿泊地は、付知峡の山奥にある「ランプの宿 渡合温泉」

各自風呂に入り、夕食の時間を待つ

私自身は、3年ぶり2回目の宿泊

美味しくて量が多い、渡合温泉の夕食

岩魚の骨酒 美味し

2階への階段 

と言っても玄関から下に降りる2階

洗面所 水冷たし

宿の主人からランプの使い方、ひもの結び方を教わる人たち

他の人は食堂で 消灯の時間まで地酒を飲んで談笑

 

てら小屋セミナー2025 加子母フィールドツアー 木材の流通経路-3

(株)中島工務店のプレカット工場

工場長が案内をしてくれた。

最近の軒の出、ケラバの出が無い建物に対応した

屋根垂木をパネル的に工場加工したもの

集成材工場

フィンガージョイント加工

集成材

造作材加工

国立4大卒のうら若き女性が、宮大工棟梁を目指して

黙々とほぞを鑿で加工している姿が印象的だった

てら小屋セミナー2025 加子母フィールドツアー 木材の流通経路-2

次に向かったのは製材場で、

上の写真は丸太(原木)皮むき機械

皮を剥がされたばかりの木は水分が多い、手で触って確認した。

 伐採前の木で、細胞などが自由水(自由に移動できる水分)と結合水(たんぱく質などと結合して移動できない水分)によって満たされた状態で、含水率100〜200%。これを「生材(なまざい)状態」と言うとの事
 伐採されてまもない状態で自由水が乾燥し始めた木材。含水率50%以上。これを「繊維飽和点状態」
 自由水が全て乾燥し、結合水のみが残った状態の木材。ここから先は結合水は乾燥し始め、強度が上がっていく。含水率は30%程度。これを「気乾材状態」
 放置して結合水を乾燥させ、空気の湿度と平衡状態になった木材。含水率は季節や地域によって異なるものの、含水率は全国平均で15%程度。「全乾材状態」
 重量の変動がなくなるまで乾燥させた木材。ごく少量の結合水しか残っていないため、含水率は0%近く。(ただし、一度0%にしても放置すれば気乾材と同等の含水率まで戻る)
 このように、生材から全乾材まで段階があり、樹種や用途によって適した状態が異なることを詳しく知ることができた。

丸太(原木)を使用用途別に切断

乾燥機

 簡便な木材の含水率を調べる器具は所有しているが、最近は木構造に関わる機会が減ったせいか出番がない。

 学生時代は、木の魅力に取りつかれていた。先生に言われて木の世界に進む選択肢もあったが、設計に関わっていく夢が捨てきれず設計の道に進み、幾度か方針を変えて今がある。

 思い返せば 今度の「てら小屋セミナー2025・加子母フィールドツアー」は「原点に還る」旅だったかもしれないと、写真を整理しブログ投稿しながら考えている。

てら小屋セミナー2025 加子母フィールドツアー 木材の流通経路-1

JR中津川駅に集合し貸切バスに乗車して加子母地区に向かう

「ふれあいのやかた」で昼食(写真は借物)

昼食は朴葉寿司・白川茶・大福

加子母の山林(植林地)を視察

次に向かったのは、山から伐られた木が運ばれる原木市場

山林から切り倒して、余分な枝払いをして、

適切な長さに切断(玉切り)して、木材市場に搬出される。

写真は檜の原木だが、材種別・山林別に整理され競りにかけられる

栗の原木

 実は、原木市場で身近に原木を見るのは始めて、ここで丸太の材積計算には、末口2乗法という方法で計算されることを教えてもらった。

 丸太(原木)の値段は、材積(体積)と立米単価でつけられる。

 この材積の計算方法である末口2乗法はJAS規格で決まっていて、長さ6m未満の丸太ならば計算式は「末口の直径×末口の直径×長さ」で求めるとの事で、円周率はかけないのだという。末口とは細い方の小口(木の先端に近い方)

 例えば末口が直径30cm、長さ4mなら材積は0.3×0.3×4=0.36㎥となる。

 仮に立米単価が1万円だと3600円にしかならない。あまりの原木の値段の安さに驚いた。ウクライナ戦争によるウッドショックで それでも1.5倍ぐらいに値上がりしたというけど、何十年も育てて、この値段では そりゃ林業から離れていくはずだと思った。

杣人の里 挽屋 2025春

岐阜県中津川市加子母にある「杣人の里 挽屋」(そまびとのさと ひきや)

2025年3月に続き2回目の宿泊

風呂の窓を全開し、露天気分で朝風呂

新緑に囲まれたデッキで、裸のまま風にあたる 気持ちいい

ここの湧き水は美味しい

色々な草花が作く庭・敷地内を散歩する

一晩中 蛙の鳴き声が聞こえた

加子母やこの宿に泊まると 心も身体もリセットされて東京に戻れる

「杣人の宿 挽屋」の魅力を地元の人に話すのだけど

地元のほとんどの人が中に入ったことがない。泊まったことがないと言う

加子母には、二つの「宝」のような宿がある

「ランプの宿 度合温泉」・「杣人の宿 挽屋」

谷間の花は見えないものだし、

灯台下暗しということもあるが、

大事にしていきたい宿