てら小屋チーム・第22回WEB打合せ

 旧盆明け早々の開催となったので、計画中、設計中のプロジェクトや秋以降の業務について進捗状況を共有した。

 今回は、先にメンバーに配布していた「建築基準法適合状況調査・既存建築物の再生・活用に必要な書類」について説明し質疑を受けた。

 初めに「建築基準法適合状況調査の一般的手順」について説明し、「建築基準法適合状況調査・既存建築物の再生・活用に必要な書類」個々の書類の必要性と、書類がない場合の代替書類・方法について説明した。

 特殊建築物で一定規模以上であれば、相当の数の書類確認が必要になる。まして棟数が多くなれば、結構地道な作業の積み重ねが必要となる。

 質疑では、「委任状」の代理人・副代理人についてや、既存建物の図面等が無い場合の情報開示請求について質問が寄せられた。

 実務上では、建築基準法適合状況調査に着手する以前に、もつと少ない資料や書類から既存建築物の再生・活用が可能かどうかを判断し問題点を抽出しないとならない。

 

男と女の距離感

 とある会社で建築基準法適合状況調査の現場調査実施要領を説明していたら、10名あまりの調査員名簿を見て、クラアント側の社員から「女ばかりじゃないか」「でもほとんど一級建築士だ」という声が聞こえてきた。

 「弊社はジェンダー平等が経営方針ですから」と答えておいたが、ほとんどの場合クライアント側の打合せに出席するのは男性社員が多い。

 正確に言うと弊社は古代の統治形態である「ヒメヒコ制」をとっているのだが・・。

 私が持っている現場感覚では、現代は女性の方がアクティブで優秀な人が多い。会社組織では女性の能力を正当に評価していないか、男が支配権を奪われるのが嫌なのか、我々の属する建築業界では、とりわけ女性の能力が正当に評価されていないと感じる。

 ジェンダー平等と謳っていても、そこは男と女の超えられない問題がある。弊社では、チーム員に「人として気に入っている」けど「女として気に入っているわけではないから」と言っているので、決して1対1でリアルに会って打合せをしたり、行動を共にしないようにしている。

 大学で教えていた友人は、女子学生と決して研究室で1対1にならないようにしている。と教えてくれた。どうしても1対1にならざるを得ないときはドアを開けておくと言っていたな。

 又ある会社の社長は、出張でどうしても女子社員を連れていかないとならないときは、現地集合で、決して同じ電車などで行かないし、出張先のホテルも別にすると教えてくれた。

 本人達は、誰にもわからないと思っていても、周りの人は男女の距離の変化は、敏感に感じるものだ。昔から社内恋愛は、周りがみんな知っていると言うではないか。

昔勤務していた組織設計事務所の二代目社長は秘書に手を出してしまい。奥さんが会社に乗り込んできて、会社の前の道路で喚き散らして修羅場と化したことがあると聞いた。二代目サラリーマン社長だったから、臨時取締役会で即解任。もつとも三代目社長は会社を倒産させた。私が辞めた後の事だけど。

 とういうことで、いつも一緒にいがちな「男と女」の距離感はデリケートで、どちらか片方が悪いとかいう問題でもない。

 知人に聞くと異性のスタッフと仕事をするときは、周りや本人がトラブルに巻き込まれた経験からなのか、多くの人は細心の注意を払っている。

 政治家も一般人も失敗の原因は「金」か「女」

 この間ネットフリックスで観た「グラスハート」でも、バンド仲間やチームの男女の距離感というのは永遠のテーマなのかもしれないと思った。

 まあ、男女の距離も、いい時とは良いんだけどね。もつれたときは大変なのよ。歳の差なんか関係ない、結局は男と女だから。面倒なことが起きる前に、あれこれ言われないように細心の注意が必要なんだと思うよ。

てら小屋チーム・第21回WEB打合せ

 計画中、設計中のプロジェクトや秋以降の業務について進捗状況を共有した。

 出張から帰ってきて夏風邪をひき、準備ができなかったので、先月課題を出した実践的な演習課題についての発表と講評を行った。

 都内の検済無し住宅の上増築(おかぐら)に対するガイドライン調査、条例に基づく申請、増築確認申請、設計、工事監理の業務見積書の作成。工事金額に対する料率ではなく、人工計算を積み上げた報酬の見積書作成を課題とした。

 適切な調査項目、調査人工を把握しているか、設計粗利率をどのように設定するのか等、技術者として、また経営者として、設計見積書をどう作るかという課題。こうした実践的な課題は、それぞれの業務に役立っていくだろうと思う。

 ある演習課題提出者の感想「調査の項目や工事期間の想定、諸経費・粗利の考え方など色々と勉強になりました。他の設計事務所の方の設計見積を見たり、考え方を聞いたりする機会はこれまで無かったので、参考になりました。」

 

絶滅危惧種設計者集団

 ふと気が付くと、周りの実務を担っている人達は、電気も設備も構造も、そして私達も、みんな古希を過ぎている。仲間内の最高齢者は80歳になったという。

 しかし皆現役で図面を書いているし、計算し、打合せや現場確認、行政打合せをこなしていて とても元気だ。

 それでも集まれば 仕事をしていられるのは、あと5年ぐらいかなと話している。

 「若い人を育てなかった あんた達が悪い」とか「あんた達、年寄が若い者の邪魔をしているんだから、早く引退しろ」とか陰口を叩かれているが、皆 多くの仕事を抱えていて忙しい。

 建築業界は全ての分野で「実務ができる技術者」は不足していて、若い人たちには人気がないようだし、実務に習熟してくると、業界の川上に行き、末端の実務技術者にはならない。

 生活はできるけど、ベンツとかジャガーを買って乗り回す余力はなかったな。一部の建築デザイナーさんは、多分に見栄もありそうだけど、結構乗り回している人がいるのに。

 若い人には、実務ができる建築技術者が圧倒的に少なくなるから、これからの建築業界はブルーオーシャンだよと言っている。

 きちんと図面(絵ではない)を書くことが出来て、各種計算もこなせて、現場にも理解がある実務ができる技術者・建築士ならばねと。

ベルトラン ラーシェ ル ブルターニュ カグラザカ

今年に入って、日中 神楽坂周辺に出かけると立ち寄る事が多い

ガレットとクレープの専門店

神楽坂の路地奥にある

フランス語が飛び交う、ちょっと雰囲気が違う店。

ちょっぴりワープした気になります

勿論 日本語も通じます

最近 好きになったシードル。アルコール度数が低い

リンゴジュースのソーダ割を飲んでいるような感じ

冷製のカボチャのスープと暖かい魚介のスープ

サラダも美味しい。暖かい鰯が入っていた

ホタテとラタティユのガレット

海老とホタテのポアレが載っているガレット神楽坂

客の8割から9割が女性客

爺婆は、場違いな気もしていたが、顔を覚えられていた

「炭火焼肉 しちりん」

下呂から、加子母に移動し内見+打合せを済ませ昼食

 「けいちゃん」を食べることになったのだが、以前 中津川駅近くで食べたときの印象が良くなかった(美味しくなかった)ので躊躇したのだが、この店は美味しいからというので入店。中津川市加子母地内の「炭火焼肉 しちりん」

けいちゃん+飛騨牛ホルモン定食

ジンギスカン鍋に和紙が敷いてある。

紙が焦げないように焼くのがコツだとか

ニンニクが効いてる。

ホルモンが混じっているせいか、味に深みがある。

「けいちゃん」のイメージを一新させた出会いでした。

色々な「けいちゃん」を食べ歩きたい

てら小屋チーム・第20回WEB打合せ

 計画中、設計中のプロジェクトや秋以降の業務について進捗状況を共有。例年盆明けから3月の年度末までは、とても忙しくなるので協力を依頼した。

Aプロジェクトは、既存建築物の改修工事に伴う各種補助金について、詳細な内容が担当者から説明があり、申請する補助金を絞り込み、行政にヒアリングするものを決めた。

Bプロジェクトは、シニア向け共同住宅にコンバージョンする計画だが、既存一般図、計画図ができたので担当者から説明。設備・電気や他のチーム員から意見をもらった。

Cプロジェクトは、専用住宅で既存図、計画図について担当者から説明。子供室の在り方について意見が交わされた。

Dプロジェクトは、実施設計が完了したので設計予算の算定のため現在積算中。中部圏の業務については増改修工事に伴う設計事務所としての工事見積書は、より実勢に近い見積書を作成する事にしている。東京圏に関しては今後の検討課題。

 実践的な演習課題を出した。

 都内の検済無し住宅の上増築に対するガイドライン調査、条例に基づく申請、増築確認申請、設計、工事監理の業務見積書の作成。工事金額に対する料率ではなく、人工計算を積み上げた報酬の見積書作成を課題とした。

 木造住宅2階程度の検済無し住宅の増築は、今後一定の需要が見こまれるが、これを適切に調査・申請・設計・監理を一括してできる設計者は多くない。

 適切な調査項目、調査人工を把握しているか、設計粗利率をどのように設定するのか等、こうした実践的な課題は、それぞれの業務に役立っていくだろうと思う。

少子化に思う事

 厚生労働省によると、去年1年間に国内で生まれた日本人の子どもの数は68万6061人となり、前年より4万1227人減少。

 出生数が減少するのは9年連続で、1899年に統計を取り始めて以降、初めて70万人を下回りました。出生数はすべての都道府県で減少しているとあります。

 国立社会保障・人口問題研究所がおととし公表した将来予測では、日本人の出生数が68万人台になるのは2039年と推計していて、想定より15年ほど早く少子化が進行しているそうです。

 日本人の出生数は、最も多かった第1次ベビーブーム期の1949年には269万人余りいましたが、その時と比べると4分の1近くまで減少しています。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250604/k10014825201000.html

 少子化で思い出したのが 若い時に読んだシュンペーターの本です。昔読んだ本を探し出すのが大変で、いずれは書棚に全部の本を並ばせてあげたいと常々思っているのですが、中々実現しません。

 それはともかく

 ジョセフ・アロイス・シュンペーターは、1883年にオーストリア=ハンガリー帝国領のトリーシュという 小さな町に生まれたとあります。この地は、現在はチェコ領。   

 100年以上前に活躍した人ですが、イノベーションの理論家として 今でもビジネス界では人気のある評論家だそうです。

 さて そのシュンペーターは、100年以上前に「資本主義の発展過程では、家族制度も形骸化して、少子化が進展し、それが資本主義を機能不全に陥らせる」と論じていました。

 資本主義の精神は損得勘定を優先させる「経済的合理主義」の精神が基本にあり、その経済的合理主義の精神が社会のあるゆる分野に浸透していくと結婚して子供をつくり、育てるという行為は、経済合理性が無いために少子化が進むと予測していました。  家族に縛られることや、親や子のために自分を犠牲にすることは、経済合理的ではなく、割に合わないからです。家族を持つ、子供を育てる、親の面倒を見るという事は損得勘定で考えることではなく、それらの行為の動機は「情愛」です。

 しかし合理主義の精神に支配された資本主義社会では、情愛などという経済合理性がないものは、尊重されないのです。我々は 現実世界の中で、経済的合理性とそれに反する情愛の狭間で揺れ動いているのです。

 もともと資本主義を発展させてきた動機は、自分の子や孫たちに財産を残していきたいから利潤を追求するのだと言います。シュンペーターは、「子や孫のために」という行動の動機を「家族動機」と呼んでいます。

 「資本主義は発展するからこそ崩壊する」現在の社会情勢を俯瞰すると含蓄のある言葉をシュンペーターは残しています

てら小屋セミナー2025 加子母フィールドツアー 原点に還る旅

 「てら小屋セミナー2025・加子母フィールドツアー」は、木から建築ができるまでの過程を体験的に学ぶことと、神宮備林で樹齢何百年の木々達と触れ合う機会でもありました。

 またツアーを通じて、通常では中々体験できない20歳代から70歳代の世代間交流をリアルに行う場でもあり、同じ時間を共有し会話をすることで、お互いに刺激になったのではないか思います。

 そして、人として建築技術者として「原点に還る旅」でもありました。

 都会で仕事をして生活していると、身体は満たされても心は空腹になっていくような気がしていました。

 渡合温泉で早朝に小鳥のさえずりと小川のせせらぎの音だけの世界に身をおいていた時、何か心の空腹が満たされていくような気がしました。それは、たぶん「癒される」という事なのでしょう。

 先人達は、自然の音のだけの世界で、癒され、思考し、行動していたのだなと思うと、こういう空間に時々立ち戻る必要があると思いました。

 また、建築技術者として、生産者や流通経路に思いを寄せる必要性を強く感じました。

 それは「凧の糸」なのではないか。我々は、糸を切ったら、どこに飛んでいくかわからない「凧」で、常に現場との糸を切らしてはいけないのではないかと思ったツアーでした。

 【神宮備林・二代目大ヒノキの前でツアー参加者と】

 

てら小屋セミナー2025 加子母フィールドツアー 神宮備林-2

人工植林の山路を進む

山は整然とし凛とした美しさ

空は五月晴れ

天然の山は、実生(みしょう)と言って自然に芽をだし、それが育つ

いろいろな木や草の中で苦労して、時間をかけて育ち

根が深く他の草木の根と支えあう

「二代目大ヒノキ」

樹齢1000年、樹高26m

初めて天然ヒノキ林である神宮備林に来ることができた

林道から往復3km弱の山道だったけど、やっぱり上り下りはきつかった

大地のエネルギーというか魂というか、それを感じることができたのは

この歳にして貴重な体験だった

全容を現した (仮称)駒沢こもれびプロジェクト A棟

工事中だった駒沢大学駅前の新たなアウトモール型商業施設

足場が外され全容を現した。

2025年11月中旬、東京都世田谷区上馬三丁目に

新しい商業施設「(仮称)駒沢こもれびプロジェクト A棟」

がグランドオープン。

この施設は、東急田園都市線・駒沢大学駅から

徒歩1分という利便性の高い立地に位置し、

地域の新たなランドマークとしての役割を果たすことを目指しています。

関係者にお聞きしところ、

現在、順次テナント工事が着手中で、

2025年10月15日に建築会社から施主に引き渡し

2025年11月11日完成レセプション

2025年11月中旬グランドオープンとのことでした

本施設は、地域の住民、働く人、通う人が集まる場として設計されており、

緑とテラスがつなぐオープンエアの空間が特徴です。

駒沢エリアにおける新しいまちづくりの拠点として、

地域に開かれた商業施設を目指しているそうです。

デベロッパー主体ではない街づくり、

補助金による市街地再開発事業でもない

一民間事業者の建替えによる街づくり・再開発は注目です

https://comorevi.com

【基本情報】

名称:(仮称)駒沢こもれびプロジェクト A棟
所在地:東京都世田谷区上馬三丁目852番1,10(地番)
事業者:株式会社イマックス
設計・施工者:鹿島建設株式会社
延床面積:6,418.75㎡
構造:鉄骨造一部鉄筋コンクリート造
階数:地上4階、地下1階
店舗数:17店舗
用途:物販、飲食、サービス店舗など
駐車場台数:21台
アクセス:東急田園都市線 駒沢大学駅から徒歩1分

てら小屋セミナー2025 加子母フィールドツアー 神宮備林-1

今回、特別な許可を得て神宮備林に入ることができた

まずは第62回神宮式年遷宮斧入れ式跡地

2033年(令和15年)に、第63回式年遷宮が行われますが、

その8年前の今日2025年(令和7年)6月5日に、

始まりの祭事「御杣始祭(みそまはじめさい)」(裏木曽御用材伐採式)が、

加子母裏木曽国有林で執り行われる。

「御杣始祭」は御神体を納める器の材料となる

神聖なヒノキ「御樋代木(みしろぎ)」を

「御杣山(みそまやま)」にて正式に刈りはじめる祭事。

説明を聞くツアー参加者たち

ヤマビル対策は、バッチリの服装

いざ二代目大ヒノキに向かって進む

てら小屋セミナー2025 加子母フィールドツアー ランプの宿 渡合温泉-2

 いつも通り朝3時頃 目が覚めて、

スマホもいじれないし、テレビもないので、

持ってきた馳星周の「月の王」を読んで

 1930年代の上海にタイムスリップしていた。

そうしたら

 夜が白々と明けてきて、

小鳥たちのさえずりと谷底を流れる川の音だけの世界に、身を委ねていた。

何もないということは、こんなにも心が満たされていくものなのか。

早朝の玄関ロビー

大人も子供も遊べる玩具・ゲームが一杯ある

沢の水で冷やされている飲み物

2歳と5歳の男の子と何を飲むか選んでいた。

子育てには参加しなかったが、

意外と自分も子供と戯れることができるんだなと思った。

朝食前の時間にロビーに集まってきて鉄砲撃ち等に興じる

朝食

天然イワナとアマゴの水槽

いざ神宮備林(加子母裏木曽国有林)に向け出発

てら小屋セミナー2025 加子母フィールドツアー ランプの宿 渡合温泉-1

宿泊地は、付知峡の山奥にある「ランプの宿 渡合温泉」

各自風呂に入り、夕食の時間を待つ

私自身は、3年ぶり2回目の宿泊

美味しくて量が多い、渡合温泉の夕食

岩魚の骨酒 美味し

2階への階段 

と言っても玄関から下に降りる2階

洗面所 水冷たし

宿の主人からランプの使い方、ひもの結び方を教わる人たち

他の人は食堂で 消灯の時間まで地酒を飲んで談笑

 

てら小屋セミナー2025 加子母フィールドツアー 木材の流通経路-3

(株)中島工務店のプレカット工場

工場長が案内をしてくれた。

最近の軒の出、ケラバの出が無い建物に対応した

屋根垂木をパネル的に工場加工したもの

集成材工場

フィンガージョイント加工

集成材

造作材加工

国立4大卒のうら若き女性が、宮大工棟梁を目指して

黙々とほぞを鑿で加工している姿が印象的だった

てら小屋セミナー2025 加子母フィールドツアー 木材の流通経路-2

次に向かったのは製材場で、

上の写真は丸太(原木)皮むき機械

皮を剥がされたばかりの木は水分が多い、手で触って確認した。

 伐採前の木で、細胞などが自由水(自由に移動できる水分)と結合水(たんぱく質などと結合して移動できない水分)によって満たされた状態で、含水率100〜200%。これを「生材(なまざい)状態」と言うとの事
 伐採されてまもない状態で自由水が乾燥し始めた木材。含水率50%以上。これを「繊維飽和点状態」
 自由水が全て乾燥し、結合水のみが残った状態の木材。ここから先は結合水は乾燥し始め、強度が上がっていく。含水率は30%程度。これを「気乾材状態」
 放置して結合水を乾燥させ、空気の湿度と平衡状態になった木材。含水率は季節や地域によって異なるものの、含水率は全国平均で15%程度。「全乾材状態」
 重量の変動がなくなるまで乾燥させた木材。ごく少量の結合水しか残っていないため、含水率は0%近く。(ただし、一度0%にしても放置すれば気乾材と同等の含水率まで戻る)
 このように、生材から全乾材まで段階があり、樹種や用途によって適した状態が異なることを詳しく知ることができた。

丸太(原木)を使用用途別に切断

乾燥機

 簡便な木材の含水率を調べる器具は所有しているが、最近は木構造に関わる機会が減ったせいか出番がない。

 学生時代は、木の魅力に取りつかれていた。先生に言われて木の世界に進む選択肢もあったが、設計に関わっていく夢が捨てきれず設計の道に進み、幾度か方針を変えて今がある。

 思い返せば 今度の「てら小屋セミナー2025・加子母フィールドツアー」は「原点に還る」旅だったかもしれないと、写真を整理しブログ投稿しながら考えている。

てら小屋セミナー2025 加子母フィールドツアー 木材の流通経路-1

JR中津川駅に集合し貸切バスに乗車して加子母地区に向かう

「ふれあいのやかた」で昼食(写真は借物)

昼食は朴葉寿司・白川茶・大福

加子母の山林(植林地)を視察

次に向かったのは、山から伐られた木が運ばれる原木市場

山林から切り倒して、余分な枝払いをして、

適切な長さに切断(玉切り)して、木材市場に搬出される。

写真は檜の原木だが、材種別・山林別に整理され競りにかけられる

栗の原木

 実は、原木市場で身近に原木を見るのは始めて、ここで丸太の材積計算には、末口2乗法という方法で計算されることを教えてもらった。

 丸太(原木)の値段は、材積(体積)と立米単価でつけられる。

 この材積の計算方法である末口2乗法はJAS規格で決まっていて、長さ6m未満の丸太ならば計算式は「末口の直径×末口の直径×長さ」で求めるとの事で、円周率はかけないのだという。末口とは細い方の小口(木の先端に近い方)

 例えば末口が直径30cm、長さ4mなら材積は0.3×0.3×4=0.36㎥となる。

 仮に立米単価が1万円だと3600円にしかならない。あまりの原木の値段の安さに驚いた。ウクライナ戦争によるウッドショックで それでも1.5倍ぐらいに値上がりしたというけど、何十年も育てて、この値段では そりゃ林業から離れていくはずだと思った。

てら小屋チーム・第19回WEB打合せ

 先週開催した「てら小屋セミナー2025・加子母フィールドツアー」に、ほとんどのメンバーが参加しているので、その話題で盛り上がる。リアルに同じ時間を共有し、見る、食べ、意見を交わすことは刺激が多い。

 最初に、現在進行しているプロジェクトの進捗状況を報告し共有した。延期になったものもあるので、新規に始まるプロジェクトについて希望者を募り担当を決めた。

 中規模プロジェクトの実施時期が延期になった途端、大中小プロジェクトの依頼、打診があったので、現在そのスタートアップで忙しい。プロジェクトの件数が増えてくると、流石に爺さんも休む暇がない。BtoC カスタマーからの直接依頼は、どんなに業務が立て込んでいても断らないというのが経営方針。

 実施設計中プロジェクトの関係者配布用設計概要の説明をした。照明計画、建具表が整理されたので担当者から説明。高齢者の住まいの事例について担当者から報告。その他

 最近は設計の「産直」が見直されたのか、建築業界でも中間マージンを極力少なくしようとしているのか、弊社のような末端の専門事務所に大企業のクライアントから直接声がかかるようになった。

 大手建設会社・組織設計事務所のほとんどが専門業務はアウトソーシングで、実際の実務は弊社のような専門事務所が担っていたので、質的には、もともと遜色がないはずだ。

 また弊社のように恒常的に活動する設計チームを持ち、大規模プロジェクトの実績が積みあがってきて評価されるようになったからかもしれない。

 

子供たちを守りたい -2

「小学校の『登校班』廃止か継続か 保護者を悩ませる、かつて好まれた『全員一律の扱い』AERA 2024年4月15日号

https://dot.asahi.com/articles/-/219268?page=1

 小学生の保護者にとっては登校班があると安心だが、その運営はPTAや教員の負担になっていることから廃止する動きもあるそうだ。

 記事によると「登校班については『一般歩行者や自転車等の通行を妨げている』『高学年の歩く速度に追いつけない低学年の子が信号が赤になっても道を渡っていることがあり危ない』『委員や見守りをする保護者の負担が大きい』『子どもの『自分で考える力』が育たない』などが指摘された。」とある。

 とある小学校のPTAで集団登校の賛否を保護者に問うたところ賛否拮抗だったが、PTA役員会の判断で登校班を廃止した小学校があると聞いた。隣の小学校区では沢山の親や爺婆に守られて集団登校が継続している。

 保護者と子どもにとってベストな登校手段とは何かが問われるのだろうが、これだけ治安が悪くなっている都心部の状況をかんがみれば、まずは子供の安全を第一に考えるべきではないだろうか。

 と爺婆は考える。

 

子供たちを守りたい -1

認定NPO法人D×Pという寄付型のNPOが大阪にある。

 この認定NPO法人D×Pの存在を知って、今の日本の10代は、不登校・中退・家庭内不和・経済的困難・いじめ・虐待・進路未定・無業などによって、いくつかの安心できる場や所属先を失ったときに「孤立」が起こることを知った。

「D×Pは、10代の孤立を解決するNPOです。若者が困った時に頼れる人とのつながりを得られるように。”人とのつながり”を通して、社会のなかにセーフティネットをつくります。」

 寄付型のNPO法人は、日本ではまだまだ珍しいのが現状で。約5万法人ある日本のNPO法人の中で、寄付収入が50%を超える「認定NPO法人」はごく一部で、ほとんどが国際協力支援の組織。

 国内の子ども達の支援で寄付を集めて動いている組織は、一般の方には馴染みがないが、この認定NPO法人D×Pは、組織のあり方やお金の使い道など説明していく努力やパブリックに公開する努力を行っている。

 NPOや非営利組織の怪しい組織は散見するが、この認定NPO法人D×Pは信頼できると思い、ささやかながら会社として寄付をしている。

https://readyfor.jp/projects/dxp-sos-2025spring

IQよりIKyou

憲法記念日の日、テナント居ながら改修工事中の現場へ爺婆で行く。

電車の中で、前に立っていた男の子に婆さんが声をかけた。

婆「どこ行くの」

男の子「おばあちゃんの家」

婆「一人で行くの」

男の子「そう。お孫さんいる?」

婆「いるよ。女の子2人」

爺「中学生?」

男の子「小学校6年生」

爺「身体大きいね。中学生かと思った」

婆「何かスポーツしているの」

男の子はバレーボールをしていて大会にも出場していること。身長は157cmあることなどを話してくれた。塾は行っていない。一人っ子だと言う事を話してくれた。私達の住んでいる街の駅の反対側に住んでいること。私達が、ほとんど行かない駅反対側の街の様子などを教えてくれた。

大人になったら必要なのは「IQよりIkyou(愛嬌)だよ」。愛嬌のある子の方が年上の人から可愛がられると言ったら。「コミュ力も必要だと言いますよね」と小学校6年生が言うから、「クラブ活動とか委員会活動で培われていく」んだよと話した。

たった3駅区間の時間だったけど、楽しい会話ができた。

最近は、見知らぬ10代の子供たちと会話をすることが多くなった。

「IQより愛嬌。君は大丈夫だよ愛嬌があるから」と、どこかで再会を約して別れた。

テッド・イベール

グランフロント大阪うめきた広場 水景内

テッド・イベール(愛称:クール)Ted Hyber -Coool

フランスを代表する現代アーティスト、ファブリス・イベールの作品。

「テッド・イベール」

特に熊(テディ・ベアー)はファブリスが好んで使うモチーフです。

緑色は自然と人間の関係について提案し続けるファブリスの姿勢をあらわしており、彼の分身のような存在。

ここを通る人々に、水辺の楽しさを感じていただく役割を担っている。

うめきたSHIPホール

工事途中建物の資産価値策定業務

 建築中のRC14階建ての建物が、7階部分施工中に工事会社が倒産し破産宣告を受け工事が中断した。この工事会社の破産管財人弁護士より依頼され、地方裁判所の了承を得て工事途中建物の資産価値策定業務を2024年初頭に行った。

 建築主は破産工事会社に工事前渡金を支払っており、この工事途中の建物について第三者調査機関に依頼して非破壊検査等を行い、施工建物は瑕疵が多数あるとして、その是正などの工事費用が嵩むため、資産価値はないと主張した。

 弊社は、依頼されてから第1回債権者集会までの時間が短かったために、建築主が依頼した第三者調査機関の調査報告書を基に瑕疵の是正方法を計画立案し工事費を積算した。尚工事継続の場合、他の指定確認検査機関では検査等を受任しない可能性があるため、確認申請、中間検査(基礎・2階床)の処分を行っていた指定確認検査機関と打合わせ調整を行った。

 この業務を通じてRC建物の多数の是正方法、補強方法について新たな知見を得ることができた。一方で構造安全性を証明できたとしても、それらが建築基準法に適合しているのかどうか、判断に迷う事、考えることも多かった。

 この業務は2025年も債権者からの質疑に回答するなど継続していたが、2025年4月30日、破産管財人弁護士より連絡があり、この度、資産価値があるものとして工事前渡金を返済しない旨の協議が建築主と整い、地方裁判所の許可を受け和解が成立。工事前渡金を全額返金しないことになったとの事だった。

 これに伴い、一般的破産債権者の方々にも、少ないながらも配当することができる見込みとなり、弊社が作成した調査報告書が役に立ち「希望した期間内に、かつ、詳細で説得的な報告書を作成くださり、誠にありがとうございました」と破産管財人弁護士からお礼が届いた。

 和解で協議が整い 良かった。

 喉に突き刺さっていた骨が取れたような気分。