「軍師たちの日本史」半藤一利×磯田道史

時代が不安なときこそ、歴史に学べ

「組織のリーダーになる人は数限られているけれど、リーダーを補佐し策を練り実行する役割は、多くの人が担わざるを得ない」

 歴史を振り返るとリーダーだけが時代をつくるのではない。豊臣秀吉も東郷平八郎も、黒田官兵衛とか秋山真之という軍師・参謀がいなければ勝ち残れなかった。

 組織を生き抜いた軍師・参謀から、組織の中で生きざるを得ない多くの人が学ぶべきことは多い。

 この半藤一利さんと磯田道史さんの対談本は、2014年5月初版で、私が書店で購入したのは2023年12月の第5刷とある。10年前の対談だが全然色あせていない。私なりに参考になった語句を下記に書いてみた。

 「軍師・参謀に備えたい智力のひとつは、願望と現実を見極められる能力なのです。これは単なる願望か、現実化し得るものなのかを。」

 「参謀にあっては困る能力・・・カリスマ性、自己顕示欲が強い人」

 「反実仮想力・・・将来予測。将来の「iF」を考えて予測し対策を施す能力」まずは起き得る事態を並べて思いつくことが重要で、思いついたとしたら、つぎにそうなったらどうするか、その対策案をだせること。さらにそれを実行できるかどうか。

 「実事求是・・・相手がどんなものの考え方をするか、相手の脳内や心のなかまで見尽くして、知り尽くして上で立ち向かう。」リアリズムの感覚を研ぎ澄ますことがいかに大事か、期待可能性にかけるのではなく、常にリアリスティックに考え、正しい判断をくだす。

 「査定力・・・誰がキーマンなのか見抜けないで失敗することがあるが、すぐれた軍師には正しい査定力がある。」ラベルを信じない事。過去の発信なり書き物に遡るという方法

 「アネックス方式・・・成功率の高い改革法・舞台骨はそのままに別館を建てよ」日本人は経路依存性がとりわけ強い。

 「度胸と胆力・・・人間社会には、自然の法則のように必ずしも正しい答えがあるわけではない。しかも「理外の理」が起きてくる。だから度胸で判断を下すしかないことが、どうしたってあるが、そのとき少ない情報で判断しない事

 「参謀に必要な能力・・・時代に流されぬ知識・発想力・洞察力」

とても勉強になった