エビデンス、エビデンスとコンプライアンス鳥は今日も鳴く

最近、鳴き過ぎだろうと感じるのは「コンプライアンス鳥」。

些細な事にもエビデンスは?、打合せ議事録は?、この条文の規定の文書化された取扱いは?とか。そういう天の鳥に振り回されることが多い。

そうした中で、一般の人には建築基準法の用語「既存不適格」というのが、どうもわかりずらいようである。

もしかしたら建築関係者でもわかっていないんでないかと思う事がある。「既存不適格だから改修が必要だとか、解体建替えが必要だ」というような文書にお目にかかる事がある。また弁護士などの法律専門家にも詳しく説明が必要な場合がある。

建築基準法の「既存不適格」とは、建築・完成時の「旧法・旧規定の基準で合法的に建てられた建築物」であって、その後、法令の改正や都市計画変更などにより、現行法に対して不適格な部分が生じた建築物のことをいう。「違反建築物」と異なるし、条文毎に時期が異なる。

既存不適格であれば、増築とか用途変更をしなければ、そのまま使用していても法律的には問題は無い。注意しなければならないのは、ここでいう「既存」とは、建築基準法では確認済証があり、かつ完了済証がある既存の建物であって、ただ古い建物=既存建物を言うのではない。

しかし、それは法律的な側面であって、安全上の側面とは異なる。遵法性だけ満足していれば良いというものではない。

法律はその時々の社会経済情勢の反映でもあるから、現行法が全て正しいとは言い切れない。実際 現在の建築基準法は緩和、緩和のオンパレードだ。

ただし、こと安全基準に関わることとなると別だ。特にエレベーターやエスカレーターに関しては、強く安全性の問題を意識せざるを得ない。とりわけ不特定多数の人が使うような建物の場合は、改修が急がれる場合が多い。

【昇降機(エレベーター)】

 既存建物の昇降機(エレベーター)は、既存不適格であり法令に違反してはいない事が多い。

 ただし、新築時から30年も40年も経過していると、その間昇降機に関する安全基準は大きく変わったため既存不適格項目に基づく改善要望事項は多くなる。

 例えば2005年(平成17年)7月の千葉県北西部地震において発生したエレベーターの閉じ込め事故、2006年(平成18年)6月の港区シティハイツ竹芝のシンドラー社製エレベーターの戸開走行事故等を受け、(1)戸開走行保護装置の設置義務付け(令第129条の10第3項第1号関係)エレベーターの駆動装置や制御器に故障が生じ、かご及び昇降路のすべての出入口の戸が閉じる前にかごが昇降したときなどに自動的にかごを制止する安全装置の設置が義務付けられた。

(2)地震時管制運転装置の設置義務付け(令第129条の10第3項第2号関係)
 エレベーターについて、地震等の加速度を検知して、自動的にかごを昇降路の出入口の戸の位置に停止させ、かつ、当該かごの出入口の戸及び昇降路の出入口の戸を開くことなどができることとする安全装置の設置が義務付けられた。

さらに2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震での昇降機の被害事例を受けて、昇降機の耐震強化を目的として、2013年にエレベーター、エスカレーターに関する耐震関係告示が制定され、2014年4月1日から施行された。このように昇降機の安全基準は大きく改正されてきている。 

 また経年変化による劣化が指摘され要是正とされる場合もある。既に昇降機の基準耐用年数(35年程度)を超えていると、新規入替の検討が必要である。事故が発生すれば人命にかかわる事であり緊急の対応が必要であるが放置される傾向がある。


【エスカレーター設備】

エスカレーター設備もエレベーターと同じ問題を孕んでいる。2014年4月1日、建築基準法施行令の一部が改正され、地震その他の振動によってエスカレーターが脱落するおそれがない構造方法の規定が追加された。これは2011年の東日本大震災でエスカレーターが脱落し被害が生じた事による法改正である。

 また、2024年(令和6年)4⽉1⽇からエスカレーターの安全基準が変わった。
近年の、エスカレーターの挟まれ事故への対応として、エスカレーターの周辺部に誘導柵、転落防止柵等を設置する場合の安全基準が見直しされた。さらにエスカレーターの転倒事故への対応として、ハンドレール停止等の異常を検出し、踏段を停止させる安全装置の設置が義務化された。
 このようにエスカレーターに関わる安全基準は、近年大きく変わってきており、利用者の安全を確保するためにも、エスカレーターの機械設備としての耐用年数が近づいている場合は、現行法令(安全基準)に適合した新規取替が必要不可欠である場合が多い。 

ただし、エスカレーターは発注から施工まで1年半。エレベーターは1年という昨今の建設事情では、中々改修のスピードは上がらない。

人間であれぱ、いくら法律的に支障がないとはいえ「身体堅牢・骨太ではあるが、脳や心臓に重大な疾病が発見され至急処置しないと死に至る状態」、「至急外科的出術が必要」というようなケースは多々あるということ。

エレベーターピット下の利用

下記の記事は、かれこれ10年ほど前に書いたものだ。自分でも時々書いたことを忘れる。

現在進行形のプロジェクトでテナントからELVピット下を店舗として使いたいという希望があった。

では、ちょつくら確認審査機関に相談してみるかと思ったが、ちょっと知恵を巡らす。

「駄目だと言う法規定はない。ようは構造安全性が担保されれば良いということだ」ということで相談。OKもらう。構造担当者と打合わせしよう。


【2013年1月17日記載】

エレベーターのピット下を居室、物置などとして使用することは原則として禁じられている。

やむを得ず使用する場合には、特定行政庁に事前相談し承認が必要。

また、つり合いおもりに非常止め装置を設けなければならないので昇降路および機械室を広げ、かつ、ピットスラブを2重スラブとする必要がある。

この二点は最低条件。

以下、「昇降機技術基準の解説」に措置方法が記されている。

  • ピット床を二重スラブとし、つり合おもり側にも非常止め装置を設ける
  • ピット床を二重スラブとし、つり合おもり側直下部を厚壁とする
  • エレベーター1基分のみのピツト下を人の出入りのきわめて少ない物置、ポンプ室等に使用するもので、そのポンプ室等の出入口側と反対側につり合おもりを設ける場合は、一重スラブとすることができる。なお出入口の戸は施錠装置を有する鋼製、その他の金属製とする。

「昇降機技術基準の解説 2009年版」付 昇降機耐震設計・施工指針

税込価格8,000円 送料500円

体裁:A4判 約450頁,A4判 約200頁

監修:国土交通省住宅局建築指導課
編集:財団法人 日本建築設備・昇降機センター/社団法人 日本エレベータ協会

「BCJ技術セミナー 設備設計シリーズ/ 給排水設備編」-2

 セミナー2日目は、排水通気設備・雨水排水設備の講義と演習。消火設備の講義と演習。その他の設備・トピックスの講義。

 雨水排水設備の雨水立管、横管の管径算定や負荷流量、器具単位法について学習。雨水排水計画について始めてまともな算定方法を聞いたように思う。

 この日はセミナー時間中に、珍しく何本も留守電があり、せっかく設備脳のまま昇天する気分だったのに、現実世界に引き戻された。

 まだ建築の世界では解放してくれないようだ。

 日本建築センターのセミナーは、講義も演習も丁寧で実務者向き。スキルアップには最適だと思う。

 火曜日、夕方外にでると冷たい雨が降っていた。

「BCJ技術セミナー 設備設計シリーズ/ 給排水設備編」-1

 

 設備パーションアップイヤーのステップ-1が「設備設計一級建築士更新講習」。ステップ-2が「BCJ技術セミナー 設備設計シリーズ/空調設備編」。そしてステップ-3が、この「BCJ技術セミナー 設備設計シリーズ/給排水設備編」。ステップ-4が「建築設備一般」が6月の予定。ステップ-5の電気関係セミナーは、どこのを受講するか、まだ決めていないが仕事の関係で秋以降になりそうだ。

 月曜日このセミナーに参加した。対面式で朝から夕方まで受講。

 第1日目は、給水設備の講義と演習、午後は給湯設備の講義と演習だった。

 基本的な事項からおさらいが出来た。演習が多いので刺激になる。何だか設備設計者になった気分。

 見回したところ爺は他にいない。意外と若い人が多いが、それでも初心者というわけでもなさそうだ。

 資格試験の為の勉強とは異なり、実務に役立つ勉強は有意義だ。

 建築コストの中で設備関係のコストは年々比率を高めている。建物が使われてからのクレームも設備関係が圧倒的に多い。それにも関わらず設備設計者は段々少なくなる。同年代のベテランも自営業を辞めたり、事務所の規模を縮小した人が多い。口だけ動かす人ではなく実際手を動かす人を増やさなければ。

「BCJ技術セミナー 設備設計シリーズ 空調設備編」-2

日本建築センターの「技術セミナー 設備設計シリーズ 空調設備編」2日目をWEB受講した。

 セミナーの第2日目は「空調負荷計算」「個別分散空調システムの設計」「エルルギー消費性能の評価」だった。

「空調負荷計算」では、空気調和・衛生工学会の熱負荷計算ツールであるHASPEEを利用したことがなかったので今後役に立ちそうだ。

「個別分散空調システムの設計」では、全熱交換機・外気処理機を設置すれば空調負荷が軽減される事。室外機の能力ダウンにつながる事。さらに直膨コイル付き全熱交換ユニット又は調湿外気処理機を設置すれば、外気負荷はほぼ100%処理可能となることを知ったのは、新しい知見だった。

「エネルギー消費性能の評価」は、標準入力法の解説で、これは既知の分野だったが、「標準入力法と空調設備パターン別入力方法早わかり講習テキスト」は、実務に役立つテキストだ。

 BEIの算定も、同一建物の条件で「全熱交換器なし」「全熱交換器あり」「外皮性能向上+全熱交器あり」の3ケースで比較した演習で、その違いがわかり為になった。

 2000㎡以上の大規模建築物の省エネ基準は、今年2024年4月から「0.8程度」に引き上げられる。(詳細は下記、建物用途によって基準値は異なる)

又ZEB対応も増える事から、モデル建物法から標準入力法の利用が増える事が予想されている。

 2日間の空調設備のセミナーは、今後の実務に役立つ内容だった。

「BCJ技術セミナー 設備設計シリーズ 空調設備編」-1

 日本建築センターの「技術セミナー 設備設計シリーズ 空調設備編」をWEB受講した。

 セミナー2日間の第1日目は「空調設備設計の進め方」「空調機と湿り空気線図の利用」「空気搬送設備の設計」「水搬送設備の設計」だった。

 暗記重視の資格試験的セミナーではなく、実務に役立たせるセミナーだったので、とても興味深く、かつ面白かった。

 セミナーで対象としている建物が大規模なものや高層建物を対象としていた。延床面積10,000㎡を超えるような大規模な建物に関わった経験が少ないので、新鮮な知見が多かった。

 とりわけ「湿り空気線図」は、学生時代に「建築環境工学」で学んで以来のような気がして、あの頃はさっぱりわからなかったという記憶が蘇ってきた。空気線図は空調設計の基本であり、これを理解することで様々な空調設計の問題を検討可能になると指摘された。

 実務上は、中間期に冷房負荷が少ないが、梅雨で湿度が高くなるので除湿をしたい場合。湿気のある部屋の外壁が冷えて結露が発生することを予測する時。電算センターをパッケージで冷房したいが、顕熱の処理能力は足りているか検討する時等に再度空気線図に立ち戻り検討する必要があるそうだ。

 空気搬送設備も最近の省エネやZEBに対応で厳密な設計で動力や消費電力を算定する必要が増加しているという指摘があった。実際BEIの算定の中で空調と照明の占める割合は多い。

 水搬送設備における空調配管系の圧力線図も興味深かった。高さ60mを超えるような建物でないと、圧力線図は使用しないのでないかと思われるが、これは使ったことがなかったので新鮮だった。

 第2日目のWEBセミナーは来週。

 頭の中が設備脳になっている。

設備設計一級建築士・定期講習2023

3年ぶりの設備設計一級建築士の定期講習

今回も確認サービスで受講だが、講習も試験もWEBを選択した

テキストを1日で下読みして、WEB講習が5時間あまり

そして今日、WEBで終了考査が終わった

これで設備バージョンアップ・イヤーのファーストステップが終了

空調換気・給排水衛生・電気・建築設備一般と

次のステップが目白押し

新しい知見を得るとハイになる

エクスタシーとまではいかないが、この高揚感はなんだろう

深夜の調査立会

リノベーションに伴って既存のエレベーター、エスカレーターを交換する為の調査に立ち会った。営業中の店舗なので営業が終了した午前1時から午前5時までの調査だった。

新築と違って既存建物のリノベ―ションなり大規模改修の設計では、設計段階で調査が必要です。

先にエスカレーターの動力盤の確認。1階-2階エスカレーターの動力盤は1階のバックヤードに、地階-1階のエスカレーターの動力盤は地階バックヤードに設置されていた。

昇降路内の内寸、階高、オーバーヘッド、ピット深さ等を実測する

基礎フーチングのハンチ部分の形状が既存図とは異なることがわかった

こちらはエスカレーターのモーターと電源部。

床プレートを外したらこうなっています。

電圧を確認しています

エスレ―ターは油が生命線とか

この部分に出入りすると靴裏をウエスで丹念に拭いていました

メーカーから三人の技術者が来てくれました。

私は ただ見てるだけ

久しぶりに終電で移動し、始発で帰宅

それにしても日の出が遅くなった

5時でもまだ暗い

検査済証の無い既存建物には昇降機は設置できない。

昇降機(エレベーター)は建築設備として、建築基準法第87条の4及び同施行令第146条1項1号の適用を受けます。

既存建築物の屋外にエレベーターを設置する場合は、通常床面積が増加するので「増築」となりますので、エレベーターを設置する既存建築物の検査済証が無い場合には、建築基準法適合状況調査(ガイドライン調査等)が必要となり建設時の法適合性が確認されないと昇降機の申請を出すことが出来ません。
 
 ただし既存建築物の屋内に設けるエレベーターで床面積が増加しない場合、つまり既存の床スラブ等を解体し、そこに昇降機路を設置する場合には、建築基準法上の「増築」には該当しませんので、建築基準法第87条の4及び同施行令第146条1項1号により、確認を要する建築設備としてエレベーター単独での確認申請が必要となります。

この場合でも既存建築物の検査済証が無い場合には、建築基準法適合状況調査(ガイドライン調査等)が必要となり建設時の法適合性を確認する必要があります。

 既存建物の昇降機を交換する場合も同様です。

 既存建築物が建築基準法第6条1項4号に該当する場合には、昇降機(エレベーター等)の確認申請については規定がありません。この場合特定行政庁は、建築基準法第12条5項に基づく報告を求めます。

 昨今、リノベーションやリフォーム案件が増え、昇降機新設に伴って、こうした相談がガイドライン調査機関に多く持ち込まれているそうです。

 又、最近はエレベーターメーカーの法令遵守の意識は高く、昇降機設置の相談をすると最初に確認済証ありますか、検査済証ありますかと聞いてきます。検査済証が無ければ昇降機の出荷はできないようです。

 弊社では、既存建物に設置する場合の相談等をする時は、最初に建築確認記載台帳証明や検査済証を昇降機メーカーに見せるようにしています。

【省エネ適判】完了検査時の軽微変更

このところ省エネ適判の「軽微変更該当証明申請書」を交付してもらうのに慌ただしかった。完了検査日の10日前ぐらいに「軽微変更該当証明書」(軽微変更ルートC)を添付するように役所(計画通知案件)が設計者に言ってくるものだから、先週末に急ぎ省エネ適判機関に連絡をとり、書類を作成し若干の補正のやり取りをして、何とか完了検査に間に合わせることができた。

そもそも省エネ適判は、何ともせわしい業務だと思う。

適判時には確認申請事前審査であれこれと変更されることが多いが、それが確認申請本受付から決済までの短い期間で、再チェックし再計算し確認申請決済前に省エネ適判も決済させないといけないというタイムスケジュール上の課題がある。

確認申請の事前審査での各居室の面積や開口部の面積等を始め細部の変更は、構造適判に比べて省エネ計算上は多くの影響を及ぼす。現代の数値等の整合重視の審査ではとりわけ。

また聞くところによると省エネ適判の審査はどこも滞留気味、つまり審査時間がかかっていると聞く。

指定確認検査機関に勤務時代。ありとあらゆる建物の審査をし、沢山の設計者の書類や図面を見てきた。設計者の技術的力量は様々で一級建築士だから、有名アトリエ事務所だから、著名な会社だからと案ずることなかれ、未熟な設計者に出会うと通常の何倍も手間がかかる。そこからの教訓は、物事や設計者を一様のものととらえない事。不特定の設計者を対象にせず、ある程度技術的力量が判っている設計者だけを対象にしたビジネスモデルの方が効率が良いだろうという事だ。マーケットを限定するのだから小規模経営しかできないのは自明だが。

こうして技術的力量がある程度わかっている旧知の設計者の場合でも、あたふたしてしまうのが省エネ適判だ。だいたい「軽微変更該当証明申請書」を10日弱で交付できると思うのが役所の無茶ぶり。

その無茶ぶりが分かったのか、今回は「軽微変更該当証明申請書」を計画通知本体の軽微変更の添付書類には含まず、完了検査申請時に提出する書類として扱つてくれることになったのは良かった。もっとも こちらも変更箇所を細かく聞き再計算してみて、確かにルートCだなと判断できたのだが。もっと早くにチェック依頼があればあたふたすることは避けられたかもしれない。

省エネの軽微変更には、「ルートA、B、C」があると言うと「えっ。そうなの。知らなかった」というのが大概の設計者の反応だ。そのカテゴリは

「ルートA」・・・「省エネ性能が向上する変更」

「ルートB」・・・「一定範囲内の省エネ性能が減少する変更」

「ルートC」・・・「再計算によって基準適合が明らかとなる変更」

なのだが、意外とその区分はデリケート。そのルートの詳細は別の機会に記載するが、意匠設計者の思い込みと独断で判断しない事が大事。完了検査の最低でも1ケ月前にはアクションを起こしていないと、後々大変になる。

尚「軽微変更該当証明申請」には省エネ適判機関の申請手数料がかかる。当然弊社のような省エネサポート会社からも請求書が届きますので宜しく。


LANケーブルのカテゴリ

既存住宅の増改修で建築主からLANケーブルの敷設替えを依頼され、その時LANケーブルはカテゴリ5からカテゴリ6にと言われた。最終的にはカテゴリ6Aに敷設替えする事になつたのだが、材料費は意外とかからず、ほとんど電気屋さんの手間賃。

実のところLANケーブルに幾つも違いがあることを知らなかった。そこで備忘録的に記載しておこう。

「上図・サンワサプライのサイトより」

【LANケーブルのカテゴリ詳細】

【CAT5】…通信速度:100Mbps「100BASE-T」
数年前まで広く流通していた低速規格で安価。セール品などの安価な無線LANルーターやハブに同梱されているケースがある。

【CAT5e】…通信速度:1Gbps「1000BASE-T」
最近は超高速な光回線サービスも増えてきたが、基本的にはCAT5eで十分な速度を得ることができる。コストパフォーマンスに優れ、オフィスでの利用にも十分なカテゴリです。

【CAT6】…通信速度:1Gbps「1000BASE-T」
通信速度はCAT5eと同じですが、CAT6の周波数は2倍以上。周波数の上昇に合わせてより多くのデータ転送が可能になる。ネットを快適にと考えている方は、CAT6導入を検討する。

【CAT6A】…通信速度:10Gbps「10G-BASE-T」
液晶テレビやパソコンで動画コンテンツを楽しみたい方や、テレビ会議などを利用する方に最適。今後、主流になってくる10Gbpsにも対応できる通信規格なので、これから一般家庭で動画を観る場合、在宅勤務でWEB会議等が多い人にはCAT6Aの購入がおすすめと聞く。

【CAT7】…通信速度:10Gbps「10G-BASE-T」
CAT7は速度面もノイズ耐性も高く、ちょっとしたタイムラグが命取りになるようなオンラインゲームをプレイしている方におすすめです。また、負荷が高い業務用サーバーとの接続にも最適。

【CAT8】…通信速度:40Gbps「40G-BASE-T」
40Gbpsという超高速、2000MHzという広帯域を実現。現在における最上位規格。ノイズ耐性も高く、高速で安定したネットワークの構築が可能で、主に業務用。


【2022.05.22 件のクライアントよりLANケーブルについて追加情報を頂戴しましたので、下記に掲載します】

GIGAスクール構想の学校内LANはCAT6A以上が義務付けられています。
学校の場合今後はCAT7設置が中心になると思われる。

LANケーブル
CAT6Aにはシールドさないもの UTPケーブル (従来のCAT5、CAT6は UTPです) と
シールドされた STPケーブルの2種類がある。
CAT7以上はSTPになっています。正しいアース処理が必須です。

本来、STPシールドケーブルでアース処理をするとノイズの発生が抑えられます。
CAT6AでもSTPケーブルでアース処理した工事が多くありましたが、アース処理が下手、アース処理漏れ、あるいはUTPとSTPケーブルの混用、でノイズ発生が多発したようです。
現在もこの種混乱が続いているようです。

それで戸建て住宅なんかでは最近はCAT6A UTP にして旧来のCAT5 CAT6 同様に特殊な処理をせずに 配線するケースが中心になっています。
それで我が家も業者が置いていた使用予定のケーブルを確認し CAT6A UTP だったのでそれでよいと回答しました。

学校、事業所、データセンターなどではCAT7(当然STPシールドケーブル 正しいアース処理)が必須です。
なお、戸建て住宅の様に短距離の配線であれば、CAT6でも実用上は10Gは出せるようですので体感上の違いはないでしょう。

杉並区 約4300の飲食店にCO2モニター無償配布

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220217/k10013489271000.html

NHKの報道によると、

東京 杉並区は感染対策に役立ててもらおうと、区内の飲食店およそ4300店を対象に、二酸化炭素濃度の測定器を無償で配布する取り組みを始めた。行政も、その気になれば出来るんだね。

既にCO2モニターを設置している店舗も散見するが、CO2モニターは室内換気レベルの指標になるし、あれば数値が気になる。数値が高くなれば自ずと換気をするようになる。店も客も安心できる。

厚生労働省から良好な換気状態の基準(正常値)として二酸化炭素濃度(CO2濃度)1,000ppm以下が提示されている。飲食店のみならず全ての事業所、住宅に設置した方が良いと思う。

詳しくは下記サイト

CO2モニター普及協会 (theshop.jp)

最新の知見に基づいたコロナ感染症対策を求める科学者の緊急声明

空気感染対策を求める科学者の緊急声明。


http://web.tohoku.ac.jp/hondou/stat/

対策が尽きてしまったと言うほどのことはなされていない。エアロゾル滞留濃度を下げることで感染抑止は可能なはずであり、少なくとも以下に挙げる2つ方向において対策の余地は大きい。

1)ウイルス対応マスクによる、口腔から空間に放出されるエアロゾルの量と、他者からのエアロゾル吸入の抑制。若者を中心に広く使われているポリウレタン製のマスクや布製のマスクは、直接下気道に吸い込まれ肺炎のリスクを高める粒子径5μm以下のエアロゾルの吸入阻止に無力である。

2)滞留するエアロゾルの機械換気による排出、エアロゾル濃度抑制
屋内で感染者から放出されたエアロゾルは長時間空間に滞留しうる。窓開けやドア開けが有用な換気方法だが、1時間に2回程度の短時間の窓やドアの開閉では必ずしも十分な換気は確保されない。

A)ウイルス対応マスク装着についての市民への速やかな周知と必要な制度的措置


B)熱交換換気装置や空気清浄機等の正しい選択と有効な活用についての行政の理解と市民一般への周知


C)最新の知見から有効と予想できる対策は、中立的組織による効果の検証を平行しつつ、公平性や安全性に配慮して実施する。

エアロゾルが主経路

新型コロナウイルスは、空気中を漂うエアロゾル(1ナノメートル=100万分の1ミリメートルから1マイクロメートル=1000万分の1ミリメートル程度の非常に小さな微粒子)を介した感染が主要な経路だという研究結果が台湾・米国・イスラエルの国際研究グループが米科学誌「サイエンス」(8/27付け)に発表した。

https://science.sciencemag.org/content/373/6558/eabd9149

新型コロナウイルスの感染は、何らかの表面に付着したウイルスの接触や、感染者が排出した大きな飛沫を吸い込んだためではなく、空気中を漂うエアロゾルを介した感染が最も可能性が高い伝搬経路であると結論づけている。

エアロゾルは飛沫より空気中に長くとどまり、非常に小さいため細い気管支や肺の奥まで移動して沈着することができるとあり、ウイルスは大きさが5マイクロメートル未満のエアロゾルに多く存在する言われています。

研究は換気の重要性を強調している

建築基準法施行令第20条の2第2号では、20m³/h・人
(成人男子が静かに座っている時のCO2排出量に基づいた必要換気量

空調・衛生工学会規格 HASS 102 1972では、30m³/h・人
(室内炭酸ガス許容濃度0.1%になるよう居室の必要換気量を算出)

厚生労働省では、ビル管理法における空気環境の調整に関する基準に適合していれば、必要換気量(一人あたり毎時30m³)を満たすことになると言っている。(厚生労働省:「換気の悪い密閉空間」を 改善するための換気の方法)

今後は、換気量が十分か否かの判断基準として「一人あたり毎時30m³」が最低限の目安となるかも知れない。

たかが網戸 されど網戸 -1 単位

網戸(防虫網)にはメッシュと呼ばれる単位がある。この単位は網戸の網目の細かさを表したもので「1インチ(25.4mm)の範囲に何個の網目があるか」を表す単位。

一般的には18メッシュから40メッシュのものが使用されることが多いが、18メッシュのほうが40メッシュよりも網目が大きい。

網目が細かいと、網目から侵入する害虫を防ぐ効果がある。網戸の網目は数mmの大きさだが、その間から侵入できる害虫が存在する。そして当然ながら網目が密な方が価格は高くなる。

18メッシュ 1.15mm
20メッシュ 1.03mm
24メッシュ 0.84mm
30メッシュ 0.67mm
40メッシュ 0.64mm

ステンレス網の場合は下記のようにサイズ指定される。

「メッシュ(Mesh)」金網の網目の数を表わす単位であり、1インチ(25.4mm)間にある網目の数をいう。通常金網はタテのメッシュを最初に表示し、ヨコを後に表示する。
「目開き(Opening)」網を構成している線と線の空間の長さを目開きという。目開き(mm)=25.4÷メッシュ-線径(mm)
「空間率(Open Area)」 網の空間の面積の割合をいいます。空間率(%)=(目開き)2÷(目開き+線径)2×100 

 色々な事務所の建築設計図 をみても、メッシュサイズや網の材種を指定して記載されたものは少ない。そういう自分もそういうことには無頓着だった時期はあった。

一般的に虫の大きさは、蚊 2mm~5mm、大きいハエ 7mm~8mm、小さいハエ 1mm、小さい蛾13mmぐらいなので18メッシュ程度でも構わないが、幼虫等は1mm以下のものも多く、その建物の置かれている環境にも配慮しなければならないようだ。

尚、我が家の網戸は18メッシュで、サッシュ屋さんに聞くところによると特に指定がない場合は18メッシュで納品するとの事。

自然換気システム

自然換気システムは、外部風や室内外の温度差によって、室内よりも冷涼な外気を取り入れて、室内で発生した熱を排除することにより、室温を調節するとともに冷房負荷を削減する伝統的な技術である。

自然換気システムの省エネ効果への期待は高い。

現行の非住宅建築物の省エネルギー基準では、自然換気システムは評価対象外だが、現在、評価・設計法の開発が進んでいるので、いずれ技術的に確立し省エネ評価対象となるだろう。

自然換気の方法としては「温度差換気」と「風力換気」の二つがあり、これらを併用することでより大きな効果を発揮する。

温度差換気は,暖められた空気が軽くなって上昇する原理を利用するもので,「煙突効果」とも呼ばれている。主に階段室やアトリウム,吹抜けなど上下の連続した空間を活用する。

風力換気は,室内の異なった面の二つの窓を開放して行う換気と考えれば分かりやすい。季節風など一定方向の風を期待できる場合は風向に応じた「風の道」を設定し積極的に外気を取り入れるような建築計画にする。

写真はオイレスECO(株) : 定風量型自然換気装置「エコレーターER-f」

一定量以下の時はフラップが開放状態を保ち、外気を取り込みます。一定量以上の風が流入した際には、フラップが閉鎖方向に回転し、室内に取り込む外気の量を調整する。

突風や強風が吹き込んだ時は、風の圧力でフラップが閉鎖側に動きます。強風や雨の吹き込みが少ないので、閉め忘れた際にも安心です。ナイトパージ(夜間冷房)にも適している。

完全閉鎖を必要とする場合は、モーターの駆動力により、フラップを強制閉鎖することができる。

先進的な建物は、自然換気システムが積極的に採用されている。

再循環空調

3711人の乗員乗客のうち、2割にあたる712人の感染が確認された大型クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス(DP)号の事は記憶に新しい。そのDP号の客室(キャビン)への給気の70%が別の客室などから排出された空気を循環させたものだった。公室・階段室は50%。医療室・調理室(ギャレー)は100%で設計したと書かれている。

2008年3月 日本船舶海洋工学会誌、「大型客船の空調システム設計・
Princess Cruises」三菱グランドシリーズ実施例という論文によると、

通常の客船では、新鮮空気量100%を設計条件すことが多いが、メガ客船では「省エネ対策」として新鮮空気を一部取り入れて還気させることが一般的だと記されている。「省エネ対策」とは名目で外気と比べ温湿度差が少ない客室同士の空気を還流させれば、電気代等コストや工事コストも抑えられるためだろう事は推察できる。

このコロナ禍において「換気」「空気」について勉強して色々と再認識することが出来た。今後の建築には、省エネだけでなく衛生的な換気という新たな要素を加わる必要がある。

日本は熱交換器による全(100%)外気換気が遅れている。常に再循環するようなことは決して推奨されるべきではない。空気感染制御を前提とした再循環回路がない空気調和機 AHUの開発が必要だ。

1時間に5回転以上の換気能力があれば空気感染は防げる

「くらしみらい研究所が配信する建築情報チャンネル「建築ギ論」。
今回は「飲食店をクラスターにしない方法」と題して、実際の飲食店の換気状況を、建築エコノミストの森山高至氏と空調換気設備設計のプロフェッショナルである山田浩幸氏が現場で診断します。

診断の舞台は東京都武蔵野市にあるレンタルキッチンスペース「MIDOLINO_」さん。
まずは換気の状態を診断するため、建物に設置してある換気扇の能力や台数を調べ、実際に空気を吸い込む力を風速計を使って測ります

その結果「MIDOLINO_」さんは1時間に7回以上店内の空気が入れ換わっていることが判明。空気感染の予防に必要な換気回数、1時間に5回以上を上回る換気性能を有していると分かりました。

次に、新鮮な空気を取り入れるための給気を調査。窓や入口のドアをどれくらい開ければ給気の役割を果たせるかを計算しました。
その結果、高さ1800ミリ程度の建具であれば10センチ前後の窓開けで十分な換気が可能になると判窓開けを4カ所程度に分散すればもっと狭い窓開けでも給気口の役割を果たせるはずだと山田氏は断言します。

このように、飲食店の換気は多くの場合、換気の能力は十分あり窓開けもさほど必要ないことが分かりました。新型コロナウイルスの空気感染を防ぐための公式な換気指針が一日も早く策定され、飲食店が堂々と営業できるように、今後も「建築ギ論」はこの問題に取り組んでいきます。」

◆換気診断の問い合わせ先
ヤマダマシナリーオフィス
https://www.ymo-gbac.com/
(サイトのフォームよりお問い合わせください)

新型コロナウイルスの真換気対策

「くらしみらい研究所が配信する建築情報チャンネル「建築ギ論」。
今回は「新型コロナウイルスの真換気対策」と題して、いま本当に必要な飲食店の換気対策について、建築エコノミストの森山高至氏と空調換気設備設計のプロフェッショナルである山田浩幸氏が議論します。

新型コロナウイルス感染症が依然猛威を振るうなか、現在日本中の飲食店・店舗が営業の自粛あるいは営業時間の短縮を余儀なくされています。

しかし空調換気設計が専門の山田氏は、換気量が十分な店舗であれば少なくとも空気感染のリスクは現状でもかなり低いはずで、飲食店の営業を一律に制限する政策には大いに疑問があると指摘します。

また、現在国が換気の指針として示す「一人あたり30㎥/h」の換気量は、本来感染予防対策とはまったく関係のない数値で、この基準を遵守しても新型コロナウイルスの空気感染は予防できないのでは?と疑問を呈します。

さらに、森山氏は結核感染の研究がコロナ対策にも生かせるはずだとして、コロナの感染予防に必要な本当の換気指針の早急な策定を提言します。」

換気・換気・換気

北里大学 感染制御研究センター長・花木秀明先生のところで知った情報。

飲食店でのエアコンによる気流の流れを分析したデーター。

真ん中の10人掛けのテーブルの奥の方が陽性者。下流にあたる4人掛けのテーブルの4人中3人が感染し、壁に当たった気流が逆流することで7人掛けのテーブルの7人中2人が感染しています。

感染対策はすぐに落ちる飛沫と空気感染を考慮した換気・気流対策が重要だと言う事が理解できる。

元論文はこれ↓

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0360132321001955?via%3Dihub#appsec4

花木秀明・北里大学 感染制御研究センター長、感染創薬学教授、 感染症専門の基礎科学者

https://kitasato-infection-control.info/

飲食店に時短要請で補助金を出すよりも、強力な換気扇の設置費用を補助するコロナ感染リフォームの方が効果的。空気感染対策には換気が最も重要だと思う。

数値流体力学(CFD)

最近、お勉強している数値流体力学。

数値流体力学(すうちりゅうたいりきがく、英: computational fluid dynamics、略称:CFD)とは、偏微分方程式の数値解法等を駆使して流体の運動に関する方程式(オイラー方程式、ナビエ-ストークス方程式、またはその派生式)をコンピュータで解くことによって流れを観察する数値解析・シミュレーション手法の事ですが、昨年から換気について再勉強している中で、CFDに辿りつきました。

最近は、もっぱら東京理科大学の倉淵隆先生や東京大学大学院の前真之先生のオンライン講座で勉強する「隠れ学生」です。

いやぁ便利な世の中になったものです。色々な先生方の講義を聞けるし、新しい発見があります。爺の知的好奇心も満たしてくれます。

パソコンレベルで熱流体解析ができるなんて科学技術の進歩は素晴らしい。

FlowDesignerという熱流体シミュレーションソフトを使用されているようです。

換気の「見える化」

新型コロナウイルスの感染経路として、空気中を浮遊する微粒子(エアロゾル)によるものがあり、そのリスク低減のためには換気をするのが基本です。その換気の状況を「見える化」し換気の目安を計算した産業技術総合研究所の首席研究員、原史郎さんの研究成果が興味深い。

内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室のサイトに、その研究成果が発表されている。オフイス、食堂・レストラン、ディービス、スポーツジム、カラオケ、住宅でCO2濃度を測定し換気の目安を計算している。

https://www.covid19-ai.jp/ja-jp/organization/aist/articles/article001

住宅については2003年以降に建てられたものは24時間換気システムが法的に義務付けられているので換気口の掃除と窓開け換気の併用が有効なようだ。

『住宅でのCO2測定
24時間換気対応換気口を備えた個人住宅では、寝室に2名で就寝すると、朝には1,000ppmを超えるようになる。ただし、その値が直に不健康を意味するわけではない。
換気口を掃除すると、CO2の排出効果が促進される。本例では、昨年度末の大掃除から11ケ月経過後に換気口の掃除を実施したところ、換気効率は、1割程度回復。
朝起床後などに適宜窓を開けると、5分でCO2濃度は半減する。
基本的に、各部屋は【空気の屋外排出】の向きにファンが取り付けられており、他の部屋とは空気の流れでは独立である。しかし、リビング、ダイニング、廊下は気流の上流側であり、感染者が出た場合感染者との動線が交差しないように注意が必要。』

原さんの研究のまとめは、

『CO2測定で、どのような人数でも、換気状況が明快にわかる。
典型的なそれぞれのシーンにおいて、本研究結果で示された換気対策を施すことで、CO2濃度を建築基準法で定める1,000ppmに抑える運営が可能。
ただし、個別事例で部屋の換気性能はまちまち。より安全に換気対策を施すには、CO2センサーを用いて、常時測定することで、数値に基づく換気の運営が可能になり、間欠換気などを適切に実施できる。
換気程度がわからない場合でも、冬はその分暖房を強めるなどして、少しでも多く窓を開けるなどして外気取り込みを多くすることが効果的。
CO2測定は、あくまで浮遊微粒子の換気状況を明らかにするもの。近接飛沫対策(マスク、衝立、ソーシャルディスタンス)と媒介対策(手洗い、消毒)は併せて必ず行わなければならない。』

悩むのは、どのぐらいの仕様のCO2測定器が必要かと言う事、アウトドアでは、テントや車中泊の場合CO2測定器を購入した方が良いと言われている。その場合は安価なCO2測定器で充分なのだが、建築室内の場合は、事務室とか会議室とか部屋別に設置して管理したほうが良いのか。そういえば工場等で従来から環境要因を見える化するシステムがあったはずと思い、検索したら見つけた。熱中症対策の温度湿度計測、二酸化炭素濃度の計測「CO2れんら君」。

https://nke.co.jp/ec/network/renra/n0028.html

もうひとつ悩むのは、そもそもの「外気の質」。昨年からマルチワークスペースに取り組んでいたので、都心部、都心郊外、東京から100kmぐらい離れた田園地帯とそれぞれの地域環境で外気の質がこんなにも違うものかと実感していた。具体的には山手線内側とさいたま市と千葉県の三里塚、三カ所比較しても全然外気の質が異なる。勿論温度、湿度も同時間でも異なるはずだ。ただ科学的に外気を計測したわけではないが、その置かれた地域環境で対応は異なるのではないだろうか。

感染症病棟 -4 病院船

今日のニュースで「こんなのアメリカにはあるんだ」と驚いたのが病院船の存在。

米海軍の病院船「コンフォート(USNS Comfort)」は28日、バージニア州を出発し、30日午前11時(日本時間31日午前0時)ごろにマンハッタンの埠頭(ふとう)に到着した。病床1000床と十数の手術室を備える同船は、コロナウイルス感染者の大量発生によって受け入れ能力が圧迫される病院の負担を軽減するため、ウイルス患者以外で集中治療を必要とする人の治療を担当すると報じられている。

米海軍は、この「コンフォート「」と「マーシー」という排気量7万トンの病院船を2隻所有している。

コンフォートは、ベッド数は1000床を有し、重症患者用は200床。本船用と医療設備用の複数の発電機を持ち、真水を作り出す設備を持ち、病室に酸素を供給できる。さらに12室の手術室があるそうだ。食堂は一度に1200人分の食事を提供できるとある。まさに海に浮かぶ総合病院ですね。

日本には、一部の護衛艦に小規模な医務室や衛生員がいるが病院船はない。

ジュネーブ条約(第二条約)の第22条では、「傷者、病者及び難船者に援助を与え、それらの者を治療し、並びにそれらの者を輸送することを唯一の目的として国が特別に建造し、又は設備した船舶」と病院船を定義している。

上のユーチューブは、元衆議院副議長の衛藤征四郎さんが病院船「コンフォート」を視察した時の映像です。

衛藤さんは「日本は海に囲まれた島国で地震大国だ。大地震や大津波で多数の犠牲を出してきたし、これからも必ず起きる。それに備えるために「災害時多目的支援船」つまり病院船が必要だ。」と強調されている。

日本にも病院船が必要だと思った。

感染症病棟 -3 医療用陰圧テント

【太陽工業・医療用陰圧テント】

今、医療機関では通常の一般外来と別に新コロナウイルス感染の疑いのある人を分けるために「発熱外来」を設けるところが増えているそうです。その際設置されるのが、これまでも災害時の医療用施設で使われてきた医療用陰圧テントです。

上記の写真は、太陽工業(株)の医療用陰圧テントで、CDC(米国疾病予防センター)のガイドラインに準拠しており集塵効率:HEPAフィルター集塵効率 0.3μm以上粒子 99.99%、処理風量:13m3/min、気圧差:10Pa、換気回数:1時間12回以上という能力があります。また前室用テントもあります。

太陽工業・医療用陰圧テント

またアキレス(株)でも医療用陰圧テントを販売しています。こちらもCDC、OSHAの両ガイドラインに準拠可能で、最大気圧差:15Paが可能と書かれています。またクリーンルームや手術室として使えるものもあります。

アキレス・医療用エアーテント

アキレス・エアーテント素材・構造

横浜港のクルーズ船「ダイヤモンド プリンセス号」の時、接岸地の広大な駐車場に、このような医療用テントを設置し検査し隔離すればよいのにと思っていました。

太陽工業もアキレスもエアーテントは、骨組がない形式です。キャンプのテントにもこんなエアーフレームテント最近出ています。勿論仮設テントですから設置は容易ですが、何れも仕様は優れものです。

現在「発熱外来」を設けた医療機関は増えているようですが、地域毎に仮設医療用テントを設置し発熱外来でPCR検査をした方が良いと思います。


ニューヨークのセントラルパーク内に準備されている野営病院の様子。

これもエアフレームの医療用の陰圧テントですね。

自粛と補償はセットであるべきだし、病室が足りないなら必要なものを作るべきだ。オリンピンク選手村だって空いている。

感染症病棟 -2

感染症隔離用の病室(個室)として重要なことは、

1、独立空調として換気回数、温度、湿度等の管理が行えるようにする。

2、清掃しやすい構造とする。

3、定期的にスモークテスト等により空調の確認をする

確実な陰圧隔離を行うためには、前室を設け病室と前室は単独の給排気を行い、廊下と前室、前室と病室の間に圧力差が生じるようにして、病室の空気が廊下に流出しないようにしなくてはなりません。このためには病室と前室の扉が同時に開かないようにする必要があります。また、給気側のダクトには高性能フィルターまたは逆流防止ダンパを設け、排気側のダクトには第一類感染症を取り扱う第一種病室の場合はHEPAフィルターを付けて病原微生物が病室外に放散するのを防ぐ処置が必要です。

病室・前室の病原微生物、塵埃の数を減らすためには室内空気の一定回数以上の換気が必要となりCDCが推奨している99%以上の換気を短時間で行うためには、室内の換気回数は12回/時間以上に設定されていることが望ましいとされています。また空気の再循環を行う場合は全換気回数のうち2回/時間以上は外気による換気を行う必要があります。再循環を行う場合には病室と前室の換気は独立したものとし空調機にはHEPAフィルターの装着が必要。

尚CDCのガイドラインでは病室内空気圧の圧差は2.5パスカル以上[0.01インチ水位]に維持することが推奨されています。
陽圧個室の場合も同様に前室を設置し、病室内を2.5パスカル以上[0.01インチ水位]の圧差の陽圧に維持することが推奨されています。また無菌病室においては,HEPAフィルターまたは層流吹き出しの装備された空調システムを設置することが望ましいと言われています。(参考:「病院空調設備の設計・管理指針」日本医療福祉設備協会 )


【HEPAフィルタ (High Efficiency Particulate Air Filter)】

空気中からゴミ、塵埃などを取り除き、清浄空気にする目的で使用するエアフィルタの一種である。空気清浄機やクリーンルームのメインフィルタとして用いられる。
JIS Z 8122 によって、「定格風量で粒径が0.3 µmの粒子に対して99.97%以上の粒子捕集率をもち、かつ初期圧力損失が245Pa以下の性能を持つエアフィルタ」と規定されている。(出典:ウイキペディア)

【ULPAフィルタ (ウルパフィルタ、英: Ultra Low Penetration Air Filter)】

空気中からゴミ、塵・埃などを取り除き、清浄空気にする目的で使用するエアフィルタの一種である。空気清浄機やクリーンルームのメインフィルタとして用いられる。
日本工業規格 JIS Z 8122『コンタミネーションコントロール用語』 によって、「定格風量で粒径が0.15 µmの粒子に対して99.9995%以上の粒子捕集率をもち、かつ初期圧力損失が245 Pa以下の性能を持つエアフィルタ」と規定されている。
ULPAフィルタはHEPAフィルタの粒子捕集効率を上げるために濾材密度を高め、空気抵抗を減らすために厚みを薄くさせたものであるため、強度が弱いという欠点を持つ。(出典:ウイキペディア)


新コロナウイルス・covid19のサイズは100um(ナノメートル・10-9メートル)と報道されています。これに対応するためには半導体工場等のクリーンルームでクリーン度・クラス1レベルに匹敵します。又このクラスのフィルターではHEPAフィルターでは不充分と言われています。


一般的な建築物では、ここまでの仕様は過剰なので 微粒物体のウイルスが浮遊する状態をつくらない事(換気)。浮遊している状態のところには近づかない事(密室空間)。人の手、顔等の無防備部位の洗浄で対応するのが一番です。又マスク、ゴーグルで防衛するが有効なのですが、このマスクが無い。

先日、我が家のマスクの在庫が空くなっなってきたので、ドラッグストアチェーンの開業時間の1時間以上前から並んだのですが、3袋入り×2=6枚のみしか購入できませんでした。一家族2袋限定だったのですが、並んだのが3番目だったのでようやく買えましたが、たぶん販売数量から並んだ10人も買えなかったのではなかったのではと思います。

とにかく布製マスクではなく、高性能のマスクの製造・供給を何とかして欲しいです。


日本の戸建・共同住宅の換気方法の主流は、第三種換気(給気・自然、排気・機械)で、従来からpM2.5や花粉症対策としてHEPAフィルター(シート)を自然給気口に張るなどして対応しています。又既存の空調室内機のフィルターの上に、より高性能のフィルターシートを張るなどして対応している場合がありますが、都市住宅では第三種換気については考え直す必要があるかもしれないと思っています。