「大名倒産」浅田次郎著

最近は、土日にみっちりディスクワークをする自営業者ならではの「働き方改革」をしている他、夜8時過ぎには寝て深夜に起き出し、朝6時に散歩して6時半にラジオ体操。シャワーを浴びて朝食という生活パータン。このところ平日の日中に打合せや現場と外出が続いたり出張や夜遅くまで用事が続き、暑さもあり少しお疲れだった。

そこで1日、本を読んでゴロゴロする休暇を取った。

本屋で選んだのは、現在映画封切り中の浅田次郎さんの「大名倒産」

幕末の3万石の小藩が、歳入を超える歳出を続け、累積赤字は返済不能。負債を作った親の世代は逃げ切りを図り、ロスジェネ世代が苦労するという物語。時代小説でありながら企業小説としても読め為になった。

「領地経営の骨は、まずは節倹。次に四公六民の収税の正確な実行。加うるに殖産興業」要するに無駄遣いをせず、年貢はきちんと取り、特産物を増やすという基本につきる。これは現代の企業経営に通じており、固定経費を減らし、売掛金はきちんと回収し、新しい事業分野を拡大すると言ったことになるのだろうか。

巻末で浅田次郎さんと磯田道史さんの対談が掲載されている。その中で磯田さんが

「労働力の質では世界最高なのに、労働生産性は先進国中でかなり低い」「おそらくは江戸時代の参勤交代と同じように、高い質の労働力を生産的でない活動に向けているに違いない」。サラリーマン時代、仕事のための仕事がいかに多いか、その為の時間消費にうんざりしていた。

モンゴル帝国に使えた官僚・邪律楚材(やりつそざい)の言葉が紹介されている。

「一事を生ずるは一事を省くにしかず」新しい仕事を加えるより、無駄になっている仕事を省け。

「後進国となりかけている この国をどうやって立ち直させるか」そんなことまで考えてしまう本だった。