「京町屋の限界耐力計算による耐震設計および耐震診断・耐震改修指針(増訂版)」@(社)日本建築構造技術者協会関西支部

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京都市役所で売っていたので購入。

帰りの新幹線で概略目を通してみたが、建築基準法の成立(昭和25年)以前にその多くが建てられた「京町屋」の実証的研究に基づいているので中々面白かった。

平成15年に「京町屋耐震調査」が行われ、約30軒の京町屋を対象に詳細な検討が行われた。「京町屋」は、伝統的な軸組構造だが、下記のような構造的には幾つかの既存不適格箇所が生じている。

  • 基礎:建築基準法施行令第38条第2項及び第4項、鉄筋コンクリート基礎は敷設されていない。
  • 構造耐力上必要な軸組等:施行令第47条、土壁が主体であり壁量を満たしていない
  • 継手又は仕口:施行令第47条、補強金物は用いられていない
  • 筋かい:施行令第45条、筋かいは用いない
  • 土台及び基礎:施行令第42条、土台及び基礎が敷設されていない。また敷設されていてもアンカーボルトで敷設されていない。

ここで既存不適格は構造的欠陥ではない。あくまでも現行建築基準法の仕様規定を満足していないという事である。

社寺仏閣を始めとした伝統的軸組構造の新築・増築には、性能規定型の設計方法である「限界耐力計算」を用いるのは以前から知られていたが、この本は木造の限界耐力計算を詳しく解説し、耐震改修方法を説明している。