開放性の判断 @ 西宮市

床面積の算定における開放性の判断については、個々の具体的ケースでは判断に迷うことがある。

「建築確認のための基準総則集団規定の適用事例」(日本建築行政会議編)で、随分と取り扱い基準が示されているのだが、さらに応用的な取り扱い基準を探しているいるときに知ったのが「西宮市建築基準法取扱い基準」だ。

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1)ふきさらしの廊下に柱や飾り柱(壁 W=500以下)があっても相互の有効間隔が2m以上あること。

2)ふきさらしの廊下・バルコニーの形状によるh1 ,h2の取り方・・手摺の笠木部分から上をh1にしているが、笠木の下が十分開放されていて、その下に壁状のものがある手摺など様々な形態がある。

3)ふきさらし廊下に面したアルコーブの場合は、開放性を阻害する門・塀等がなければ奥行き2mまでは床面積に算入しない。・・・1m程度の門扉でも開放性を阻害していると考えるのか?

4)屋外階段のささら桁、手摺が廊下の開放性に支障がない場合・・・手摺が縦格子状のものなら良いようだ。

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5)屋外階段に接する吹きさらし廊下・・壁等がある場合は床面積に算入するというのは一般的な判断

6)隣地境界線までの距離、対面する建築物の部分までの距離について近隣商業地域・商業地域とその他の地域とで分けているのは、賢明な判断だと思う。用途地域によっても都市の密集度は異なり、特定行政庁内一律ではなく西宮市のように二種類の取り扱いがあっても良いように思う。

開放廊下・バルコニーの取扱い・・・神奈川県(1)

神奈川県内の統一的な取扱基準である「神奈川県建築基準法取扱基準-面積・高さ・階数等の算定方法」(平成23年11月24日版)では、「吹きさらしの廊下、バルコニー又はベランダ」について9頁を割いて その取扱いを示している。

それだけ実際の現場では様々な事例があり、当事者達は悩む事が多いということを現している。

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上図は、まず住指発第115号から基本的な説明をしている。

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上図は、袖壁がある面からは考慮しない事や出隅部分の取扱いを示している

注意しないいけないのは、②の「ただし、最上階等で上部に廊下等の突出した部分がない場合で、出幅が50cm以下かつ当該廊下等の幅の1/2以下の局部的なひさし直下の床の部分は除く」とある点で、青天に近い形状で局部的な庇ならば床面積に非算入とある。

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ここでは、隣地境界線までの離隔距離と、建物間の離隔距離について記載しており、神奈川県では水平距離2m(有効寸法)以上とある。

img078建物断面形状に応じて外気に有効に開放されている廊下かどうかの取扱いを示している。

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開放廊下・バルコニーの取扱い・・・大阪市

「大阪市・建築基準法取り扱い要領」(平成20年3月)大阪市計画調整局建築指導部には、防雨スクリーンの法床面積の取扱いが記載されている。

 

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長さが1mまでで枠組みで網入りガラス程度のものは、法床面積に算入しなくても良いという取扱いを示している。

 

開放廊下・バルコニーの取扱い・・・京都市

下図は、京都市建築指導部建築審査課の「開放廊下、バルコニーに設けるルーバー・格子の取扱い」である。

現在は、「京都市建築法令ハンドブック(H24.1.1)」にも 同様のものが掲載されている。

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上図は、竪格子ルーバーについての取り扱いだが、格子間隔が10cm以上とあるから開放率はかなり高くなる。

天井からの垂れ壁寸法、斜めルーバーについても記載されている。

又、 床面積の不算入だけでなく、上記の場合に採光及び排煙についても記載されており、この条件での設計ならば外廊下側の居室の採光に影響しない。廊下の排煙についても開放していると見なしているようだ。

採光・排煙についても記載しているのは、行き届いた配慮だと思う。

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上図は、横ルーバーの場合についての記載である。

パンチングメタルの場合の算定有効寸法についての記載がある。

横ルーバーの場合は、羽根の隙間については不問にしているようだ。

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上図は、防風スクリーン、目隠しパネルの場合について記載されている。

共同住宅等の玄関前の防風スクリーン・目隠しパネルは横幅2m以内。

設置領域全体の開放性についても記載されている。

竪方向の開放性については記載があるが、横方向は防風スクリーンの設置幅2m以内で防風スクリーン間の距離は1m以上とあるから、領域の開放率は50%以上担保しようとしているように見える。

 

 

開放廊下・バルコニーの取扱い・・・1

床面積の算定において、外気に有効に開放されている部分であれば非算入という事になっている。

下図は、「建築確認のための・基準総則集団規定の適用事例(2009年版)」日本建築行政会議編の中の全国的かつ一般的な取扱いを示している「吹きさらしの廊下」=いわゆる外部廊下についての解説である。

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又、同書では、「ベランダ、バルコニー」についても取扱い基準を示している。

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ただ、実際の設計においては、竪ルーバー・横ルーバー・意匠的なマリオン・玄関出入口部分の防風スクリーン・パンチングメタル・近隣を覗き見ない目隠しパネル・壁面緑化等 様々な付属物の設置が必要となる場合が多く、どこまでが「外気に有効に開放されている」と考えるか取扱いに迷う時がある。

また、この建築行政会議がまとめた本では、「開放部分の判断における隣地境界線からの離隔距離や同一敷地内の他の建築物又は当該建築物の他の部分からの離隔距離については、建築主事等への確認が必要である。」という記載が重要。この部分は全国的な統一的寸法が明記できなかった。

隣地境界線からの離隔距離は、首都圏では概ね50cm、地方では1m

建物間の離隔距離は、神奈川県では2m。都内は、行政では2mが多いが指定確認検査機関では1mでも認めてくれるところがある。

当然 離隔距離が多いのにはこしたことがない。

ここは、開放廊下・バルコニーだけでなく屋外階段などにも影響してくる取扱いで、個人的には東京都心部では建物間の離隔距離2mは、ちょつと厳しいというか。あまりに高密度なな地域環境では2mでなく1mでも良いのではと思う。

そんなところが、この本の編集にあたり、統一的な寸法はまとまらず主事判断になった理由かとも思う。

以下、全国の特定行政庁の特徴的な取扱いを参考にしながら考えてみる。