建築物省エネ法・大幅改正のスケジュール

 改正建築物省エネ法(令和4年6月17日公布)により、2027年(令和7年)4月(予定)から、「全ての新築建築物」に「省エネ基準への適合」が義務付けられ、また、4号特例の見直しにより、木造建築物に係る構造規定等の審査・検査が省略される規模が大幅に縮小する。

 また、2026年(令和6年)1月以降に建築確認を受けた新築住宅について、「住宅ローン減税」を受けるためには、原則として「省エネ基準への適合」が要件となる。

 このような大幅な制度改正に対応するため、省エネ計算に不慣れな方や、4号特例の見直しに伴う構造関係資料等の作成へ不安を抱える設計者は多い。

 この改正により、省エネ基準適合義務となる建築物の棟数は、改正前の14,000棟から改正後は445,000棟と約32倍に審査件数が増加する。木造住宅等は仕様基準に基づいて省エネ設計されるものもあるので、一定量減ずるものと思われるが、それにしても大幅な業務量の増加になるだろう。

 住宅性能評価・表示協会が発表している「省エネ適合性判定に係る審査実績」を見ていると、日本ERIが全体の25%程度、ビューロベリタスジャパンが全体の約10%程度の審査実績となっている。審査実績のすくない機関は実質的な省エネ審査担当者が少なく、審査経験が蓄積されない傾向があるので、省エネ適判機関の選定は注意する必要がある。

 弊社が省エネサポートをしている経験からも、省エネ担当者が一人しかいないため省エネ適判も確認申請もワンストップだというわりには事前受付審査期間が長時間だったり、省エネ審査を実質担当している補助員が、建築士無資格者であった為、質疑が頓珍漢であったこともある。質疑ぐらい省エネ適判員が確認してから送るべきだ。現状でも問題が噴出している現場が対応できるのだろうか

 又、現在の省エネ適合判定では、モデル建物法による計算が主流だが、今後の省エネ適合基準引き上げやZEB対応に伴い標準入力法を用いるケースが増えるだろうと予想されている。

 ただでさえ設備設計者・環境設計者の人材が少ない建築業界。どうなるかな。


【今後の規制強化の予定(非住宅)】

2024年 : 大規模建築物に係る省エネ基準の引き上げ BEI=0.8程度

2025年 : 小規模建築物の省エネ基準への適合義務化

2026年 : 中規模建築物に係る省エネ基準の引き上げ BEI=0.8程度

遅くとも2030年 : 中大規模建築物について誘導基準への適合率が8割超えた時点で、省エネ基準をZEB基準(用途に応じてBEI=0.6又は0.7)に引き上げ、小規模建築物についてBEI=0.8程度に引き上げ・適合義務付け。あわせて2022年に引き上げた誘導基準の更なる引き上げ

以上が予定されている。

 

子育てエコホーム支援事業


令和5年11月10日、令和5年度補正予算案が閣議決定され、新たに「子育てエコホーム支援事業」が創設された。

①「子育てエコホーム支援事業」(国土交通省)
②「高効率給湯器導入促進による家庭部門の省エネルギー推進事業費補助金」(経済産業省)
③「先進的窓リノベ事業」(経済産業省および環境省)
④ 「既存賃貸集合住宅の省エネ化支援事業」(経済産業省)

※令和4年度補正予算案に盛り込まれた事業①~④をまとめて、以下、子育てエコホーム支援事業等といいます。詳しくは国土交通省「子育てエコホーム支援事業」を見て゜ください。

https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk4_000243.html

補助対象は、以下の条件を満たす方が対象】

①子育て世帯または若者夫婦世帯のいずれかである
※子育て世帯とは、申請時点において、2005年4月2日以降に出生した子を有する世帯です。

※若者夫婦世帯とは、申請時点において夫婦であり、いずれかが1983年4月2日以降に生まれた世帯です。ただし、令和6年3月末までに工事着手する場合においては、令和4年4月1日時点でいずれかが39歳以下(すなわち、昭和57(1982)年4月2日以降出生)の世帯となります。

②-1注文住宅を新築される場合
事業者と工事請負契約を締結して住宅を新築する方

※事業者は消費者に代わり交付申請手続きを代行し、交付を受けた補助金を消費者に還元する者として、予め本事業に登録をした住宅事業者です。

または、

②-2分譲住宅を購入される場合
こどもエコすまい事業者と不動産売買契約を締結し、新築分譲住宅を購入(所有)する方

※事業者は消費者に代わり交付申請等の手続きを代行し、交付を受けた補助金を消費者に還元する者として、予め本事業に登録をした住宅事業者です。

※宅地建物取引業の免許を有する事業者からの購入に限ります。

または、

②-3リフォームを実施する場合
令和4年11月8日以降に工事請負契約を締結したもの
別途定める事業者登録を行った後に建築工事に着工するもの
令和5年12月31日までにすべての工事が完了した上で交付申請が可能なもの

【補助対象となる新築住宅】
以下の①ないし②および③④⑤のすべてを満たす住宅が対象になります。

①長期優良住宅
長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられている住宅で、所管行政庁(都道府県、市区町村等)にて認定を受けたもの

②ZEH住宅
強化外皮基準に適合し、再生可能エネルギー等を除き、基準一次エネルギー消費量から 20%以上の一次エネルギー消費量が削減される性能を有するもの(ZEH、Nearly ZEH、ZEH Ready、ZEH Oriented※1)

※1 BELS 評価書に記載される「ゼロエネ相当」(強化外皮基準に適合しないもの)は対象となりません。

③ 住戸の延べ面積が 50 ㎡以上 240 ㎡以下
(床面積は、壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積(吹き抜け、バルコニーおよびメーターボックスの部分を除く。)により算定します。なお、住戸内に階段が存在する場合、階段下のトイレおよび収納等の面積を含める。以下同じ。)のもの

④ 土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(平成 12 年法律第 57 号)に基づく土砂災害特別警戒区域または災害危険区域(急傾斜地崩壊危険区域または地すべり防止区域と重複する区域に限る)に原則立地しないもの
⑤ 都市再生特別措置法(平成 14 年法律第 22 号)第 88 条第5項の規定※2により、当該住宅に係る届出をした者が同条第 3 項の規定による勧告に従わなかった旨の公表がされていないもの
※2 「立地適正化計画区域内の居住誘導区域外の区域」かつ「災害レッドゾーン(災害危険区域、地すべり防止区域、土砂災害特別警戒区域、急傾斜地崩壊危険区域、浸水被害防止区域)内」で建設されたもののうち、一定の規模以上(3戸以上または1戸若しくは2戸で規模が 1,000 ㎡以上)の開発によるもので、都市再生特別措置法第 88 条第 3 項に基づき立地を適正なものとするために行われる市町村長の勧告に従わなかった場合、その旨が市町村長により公表できることとされています。

【交付申請時の工事出来高の確認について】
交付申請は、一定以上の工事の出来高が確認できる時点とし、各事業タイプにより異なります。(1)および(2)については、完了報告期限までに住宅の引渡し、入居の完了についての報告が必要です。

完了報告期限:交付決定~補助対象である建物に応じた下記期限

(1)戸建住宅 交付決定~2025年7月31日
(2)共同住宅等で階数が10以下 交付決定~2026年4月30日
(3)共同住宅等で階数が11以上 交付決定~2027年2月28日
申請時期(工事の出来高)
(1)注文住宅の新規※3 補助額以上の工事の完了後 ①基礎工事の完了
(抗基礎の場合は抗工事の完了)
②建物価格×工事出来高(〇%)
 ≧戸 当たり補助額 × 住戸数※4
(2)新築分譲住宅の購入※3
(3)リフォーム工事 すべての工事の完了後
※3(1)(2)のいずれの場合も①②のどちらかを満たしている場合に、補助額以上の工事が完了しているとみなす。

※4 戸建住宅:1戸、共同住宅:当該住宅の全住戸数(申請しない住戸を含む。)

出典:子育てエコホーム支援事業の内容について

対象期間
契約期間:2023年11月2日~遅くとも2024年12月31日(予定)
着工期間:2023年11月2日以降に基礎工事より後の工程の工事に着手※5
期間内に基礎工事より後の工程の工事に着手するものを対象とします。ただし、申請時に工事が一定以上の出来高※5に達しているとともに、別途定める期間内に申請、完了報告が可能なものに限ります。
※5 補助額以上の工事の完了とします。

○ 基礎工事より後の工程の工事への着手

令和5年11月2日(令和5年度経済対策閣議決定日)以降に基礎工事より後の工程の工事に着手※6するものを対象※7とします。

※6 工事請負契約後に行われる工事であること
※7 着手可能な工事と対象とならない工事(具体例は下表参照)

〇 2023年11月1日時点で、着手可能な工事 杭、基礎、地下室、基礎断熱、足場等の仮設、給排水、電気、土台数、外構
× 2023年11月1日時点で、着手済の場合は、対象とならない工事 地下階の柱、壁、梁、屋根
出典:子育てエコホーム支援事業の内容について

「建築物省エネ法に基づく建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度」ガイドライン発表

2022年6月に建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律が改正され、建築物の販売・賃貸時の省エネ性能の表示について制度が強化された。
これを受けて、改正法に基づく表示ルール、制度の施行に向けた表示の促進方策として「建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度」が2024年4月1日より施行される。

省エネ表示制度の根拠となる「建築物のエネルギー消費性能に関し販売事業者等が表示すべき事項および表示の方法その他建築物のエネルギー消費性能の表示に際して販売事業者等が遵守すべき事項(以下、告示)」および「建築物省エネ法に基づく建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度ガイドライン(以下、ガイドライン)」が9月25日付で国土交通省より発表された。

また9月26日よりガイドライン(第1版)の解説資料および事業者向けの解説動画が特設ページにて配信が開始された。
詳しくは国土交通省「建築物省エネ法について 省エネ性能表示制度 特設ページ
」を参照。

建築物省エネ法に基づく建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表⽰制度|国土交通省 (mlit.go.jp)

(例)努力義務の対象となることが想定される建築物
住宅/新築分譲住宅、新築分譲マンション、賃貸住宅、買取再販住宅 等
非住宅/貸し事務所ビル、貸しテナントビル 等

既存建築物については、建築時に省エネ性能が評価されていない等の理由により、表示すべき事項等を表示できない場合が想定されることから、告示(案)においては、既存建築物については必ずしも告示に従った表示を求めないこととしている。

裏メニュー

このところ「改正建築物省エネ法オンライン講座」を視聴している。分割して好きな時間に視聴できるので とても良い。

振り返ると非住宅2000㎡以上の建物が省エネ適合義務となった平成29年前後は、弊社でも省エネ計算サポートの業務は、かなり多かった。その後、モダル建物法が拡充され計算方法が簡略化された上に省エネサポート会社が増えこともあり、自然と業務は減っていた。何事も諸手続きが簡略化していくと、中間的な技術者や専門家は必要なくなっていくものだ。

経済学で言うとイノベーションで獲得される期限付きの剰余価値を「特別剰余価値」というのだそうだ。特別剰余価値は、「ある商品の現在の社会的価値と未来の社会的価値との差異から生まれる」。

資本主義はダイナミックに常に変転している。その変化に対応して自営業者として生きていくのは中々忙しい。

省エネ計算サポートは、現在のところ特段営業もしていないが決まった固定客からの依頼と紹介業務は途切れずにある。

さて弊社の裏メニュー化しつつある「省エネ計算サポート」。一年を振り返ると途切れずに依頼がある。とりわけ300㎡以上の集合住宅が多い。集合住宅の場合は意匠上のタイプ数は少なくても、外皮条件や階高等が異なる場合も多いので省エネ上のタイプは増えがちで計算上は煩雑になる。

今年発表された「フロアー入力法」も取り入れてみた。計算は簡略化されるが、それぞれの外皮の熱貫流率は最も大きい数値、窓の日射熱取得率も最も大きい値とされているので、どうしても棟全体のBEIは安全側になる。施策的には安全側に誘導することになるのだろうから良いのかもしれないが、民間賃貸アパートなどの場合は熱的性能は貧弱なもの多く、意匠設計者が従来の熱的性能の延長で考えているとBEIがオーバーすることがある。

来年4月に迫ってきた非住宅300㎡以上の省エネ適合化。色々と準備しておかなければならない。

あと1年、300㎡以上非住宅建築物省エネ適判まで

いつのまにやら4月になった。

これまで届出義務となっていた中規模非住宅建築物に、省エネルギー基準への適合義務が課さられ、以前から適合義務の対象だった2000m2以上の大規模非住宅建築物と合わせ、300m2以上の非住宅建築物全てに省エネ適合性判定(省エネ適判)が求められるようになる。21年4月に予定している施行日以降に確認申請を行う建築物が対象だ(施行日以前に届出をした場合を除く)。
 一方、300m2以上の中規模・大規模の住宅(共同住宅)については、従来どおり届出のまま。

この3月は、省エネ届の計算代行の仕事が続いた。平成27年から平成29年までは、省エネ計算代行の仕事は結構多かった。ほとんど標準入力法でやっていたが、簡便なモデル建物法が導入されたことや省エネ計算代行会社も増えたこともあり、特に新規営業もしていないので依頼は減った。専門家はあまり必要ないのかも知れない。現在は昔から付き合いのある会社の省エネ計算代行しか行っていない。建築法規の無償相談付きだからかもしれないが。

まあ、非住宅のモデル建物法は、簡便である。

問題は共同住宅だな。省エネ上のタイプ別に計算をしないとならないし、現状は共用部は標準入力法だし、結構煩雑で手間がかかるのは変わらない。

非住宅300㎡省エネ適判は、変更申請とか完了検査に応じた変更箇所の把握と書類の整備が混乱しそうだなぁと予感している。

新「そらまどの家」 丸谷博男著

「地球の恵みの素は、太陽の熱 その熱は、1億5千万㎞を駆け抜けてきた輻射熱です。 「そらどま」は その輻射熱を 住まいに採り入れ その輻射熱で 採暖採涼をします。 太陽の恵み「そら」の熱と 地球の恵み「どま」の熱を 両手両足を背一杯広げて 受取る仕組みです。 そして、人と住まいの健康の素「呼吸する家」をつくります。」

エコハウス研究会

エコハウス研究会のホームページ巻頭に書かれていた この言葉にほれぼれとしました。

「そらどまの家」はフランチャイズではなくオープンシステムです。

「その土地の微気候、それぞれの工務店の工法や技術力にふさわしい、きめの細かいパッシブな家づくりを創案し、皆様のものにしていただこうというものです。このような考えこそがパッシブデザインの本質と考えています」

高断熱・高気密住宅には違和感をずっと感じています。ビーニール袋にアルミの蓋住宅の傾向は、今も昔も何ら変わっていません。省エネと言いながら石油製品の断熱材を多用する矛盾。

日本の風土と共に息づいてきた伝統工法の知恵を生かした家づくりは憧れですが、庶民には高嶺の花であるという現実も存在しています。

省エネ適判が始まって・・

省エネ適判・非住宅2000㎡以上が2017年4月1日より始まり二カ月半あまり経ちました。この間二つの審査機関から計3件の省エネ適合通知を貰いました。内、標準入力法2件、モデル建物法1件でした。

他にも省エネの届け出は、数多く提出していますが、届出とは異なる適判ならではの問題があります。

とりあえずの感想としては「省エネ適判の実務者は大変だぁ~」でした。

恐らく省エネ計算をする担当者、審査者も同じような感想を持っているのではないかという想像しています。

まず第一に省エネ適合となると意匠・設備関係の変更・修正の影響を確認済証交付の最後まで、まともに受けます。これは構造適判とは異なるところです。

意匠図と設備図との整合、開口部の変更、面積の修正や変更、消防からの指摘事項に伴うもの(消防法の無窓階判定により開口部が変更になったりとか)、建築確認申請が本受付になり、消防同意送付をしている短い期間で補正をして省エネ適合通知を貰っておかないと建築確認済証は交付されないからです。

大概のプロジェクトは確認済証交付日の厳守は絶対ですから、実務者は翻弄されます。

出す側も審査する側も初めてなので、これから試行錯誤しないといけないかと思いますが、幾つか改善点があると思います。

1、意匠設計者や設備設計者の図面等の記載事項・記載方法の改善

  • 断熱仕様等の名称・厚み・(密度)等は正確に記載する
  • 平面図に室面積・天井高を記載してもらう
  • 幾つもの図面に同じことを記載しない。不整合を生じる要因
  • 設備関係の機器の仕様は、新しいカタログから引用する。時々廃番あり
  • とにかく設計者は、意匠図や設備図等との整合は自分でやってほしい。
  • その他多数あり

2、審査機関は、なんでもかんでも計算根拠・図の提出を求めない

例えば

  • 換気扇の定格出力は、消費電力(KW)×電動機効率(0.75)×1/1000=定格出力(w)で電卓をチョコチョコと叩き入力シートに記載するが 、計算根拠の提出を求められた
  • 給湯機器の定格加熱能力と熱源効率の計算根拠を求められた。ガス給湯器の32号の場合、定格加熱能力は 32号×1.74=55.68KW、定格消費電力が0.075KW、定格燃料消費量(表示ガス消費量) LPG 58.7とした場合。熱源効率は、定格加熱能力/定格消費電力×9760/3600+定格燃料消費量で求めるのだが、これも今までは電卓をチョコチョコ叩いて入力していた。
  • とにかく第三者が審査するとなると、とかく数値の根拠を求められますが簡単な計算のものは根拠を求めないでほしい。

3、審査機関は自分でWEBPRO等のプログラムを使ってみて欲しい

  • 省エネの室用途は、建築基準法の室用途とは異なります。換気があっても換気計算対象室になっていない室用途はエラーが出るので別の室用途にしなければなりません。現実の建物は多様なのです。自ら入力シートを作成しプログラムで計算して経験の上で指摘して欲しいものです。

4、省エネ適判の時代に備えて、特に意匠設計者の頭を切り替えて欲しい。

全建物省エネ適判の時期は迫ってきています。設計のスケジュール管理や図面の記載方法、省エネサポーター等の外注任せでは これからはいけないと思いますよ。

他にも書きたいことはありますが、この程度でやめておきます。

深夜? 、早朝5時に毒を吐いてしまいました。

モデル建物法と標準入力法

4/1から非住宅2000㎡以上の省エネ適判が始まり、今日2件の省エネ適判の事前申請を提出してきました。連休明けにもう1件省エネ適判の事前申請を提出しないとなりません。今晩はつかの間のオフ。ブログに投稿する余裕がちょつとできました。

建築物省エネ法における非住宅建築物の計算方法については、「標準入力法」「モデル建物法」「主要室入力法」があります。

【モデル建物法】

建物用途毎に建物形状や室用途構成などを想定したモデル建物に対して、評価対象建物全体の外皮や設備の仕様を適用した場合のPAL*及び一次エネルギー消費量を算定して評価する簡易な計算方法です。

【標準入力法】

評価対象建築物の室毎の面積や外皮・設備の仕様を入力して計算します。
BELS認証取得など詳細な数値が必要な場合は、実際に建つ建物の面積・形状に仕様を当てはめて計算する標準入力法を採用しす。入力に時間がかかり設備の知識も一定程度必要です。

「モデル建物法」は、「標準入力法」よりも計算方法は簡易ですが、一般的には1割ほど安全側(不利側)の評価結果になります。「モデル建物法」でクリアできない建物でも、「標準入力法」で計算する事でクリアできる場合も有ります。

【主要室入力法】

小部屋などの主要でない室の入力を省略できる計算方法ですが、主要室選定の条件が複雑で適用が難しい場合があり、実務的には使いづらくあまり使われていないと聞きます。計算支援プログラム(WEBPRO)は標準入力法と同じです。

【モデル建物法か標準入力法の選択】

建物の図面を見た時に、モデル建物法か標準入力法で行うか判断しないとなりません。入力作業量がかなり違いますので見積額・報酬も異なりますし、省エネ適判の申請料も大きく異なります。

通常 建物の用途が単一(飲食店・事務所・学校・物販店等)あるいは2程度であり、建物形態が単純であればモデル建物法。建物用途が多数の複合建築物であれば標準入力法の方が逆に入力が簡単であり、説明資料の作成も簡単ではないかと個人的には思っています。ましてやモデル建物法のような大雑把な計算方法で本当にいいのかしら??とも思うので、出来ればすべて標準入力法でやりたいところです。

とは言え趨勢は「モデル建物法」になっていく事でしよう。政策的にも省エネレベルを安全側に誘導できるのですから。BELS認証が必要な建物や特殊な形状なものなどが「標準入力法」を採用することになるのではないかと思います。

ともあれ省エネ適判が始まり、その混乱の渦の中にいます。建築確認申請と同時並行って結構疲れます。

なたねづゆ

【車窓から・飛鳥山の桜】

菜の花が咲く頃の3月から4月にかけての 降り続く小雨のことを菜種梅雨(なたねづゆ)と、いにしえから言うそうですが、それにしても今日は寒いですね。

このところ引きこもりで省エネ計算に取り掛かっています。

今年は花見も行けていません。

多分 ゴールデンウイークもずっと仕事になりそうです。

3月末から4月にかけてH28基準の省エネ計算ツール、入力シート等が変更になり、またエネルギー消費計算計算プログラム入力シートからモデル建物法入力支援ツールの入力シートを生成するコンバートツール等も発表され新規建物の計算に追われる中で変更箇所を勉強していました。

モデル建物法を推奨するのは、建築環境技術者・設備技術者が建築業界・審査機関に少ないからというのもありますね。

建築環境技術者というのは今後確立した領域としなければならず、その人たちが省エネ・CASBEE等を扱っていくのが望ましいと思います。

弊社は、省エネ計算は基本的に標準入力法ですがコンバートツールを使ってみて、標準入力法の場合とモデル建物法で、どの程度差異があるか興味深いです。

弊社は、立方体の建物の省エネ計算を依頼されることは少ないので、標準入力法で計算しておいて、BPI・BEIに余力がある場合はコンバートしてモデル建物法で省エネ適判に提出するというのが良いかなと思ってます。

省エネ適判の申請料が、どこも高額なので顧客の負担を減らすためにはコンバートする方が審査時間も短縮できるから良いのかなと思いますが、こちらの手間は少し増えますね。

これから何件か省エネ適判を提出しますが、審査機関の対応はどんなもんでしょうか。

昔は、おおらかだったのに・・

最近、知人から聞いた話ですが、

確認申請・実施設計が完了し、省エネ設置届をコンサルに依頼したら計算がOUTになったので断熱材の仕様を変更して省エネ設置届を提出した。仕様変更の旨を工事会社と建築主に告げたら、それは設計者の瑕疵だから断熱仕様変更に伴う追加工事費は、設計者が負担すべきとなり、設計監理料から減額されることになった。との事でした。

昔は、追加になっても工事会社で面倒みてくれたり、他の部分で変更してプラスマイナス0にすることもできましたが、今は 世の中余裕がないというか、すぐコンプライアンスがどうのこうのと言われる方もいるみたいです。

省エネ関係の法令や計算ブログラムは毎年のように変わっているので、過去の経験だけで省エネ仕様を決めていると、紹介した事例のように、あとで痛い目にあうこともあるようです。

弊社は、特定の会社の省エネ支援しかしていませんが、非住宅の建物用途も毎回異なりますし、形態も結構複雑なものが多いので計画段階から一緒に省エネ検討を行っています。断熱材の仕様選定、開口部やガラスの仕様選定は、計画段階で確定できます。

このところ省エネスタディーの毎日です。

省エネ設置届にまつわる話し -1

最近 歳を取ったせいか怒りっぽいというか挑発的な言い回しになる時がある。

都内の某区の省エネ審査担当者との会話

区「外皮計算の算定根拠となる図面を添付してください」

私「各室別・方角別に外皮計算をエクセルで作成し添付してありますが」

区「どこがどこの部分という色分けして外皮計算根拠がわかる。こちらがチェックしやすい図面を添付してもらっています」

私「平面図・立面図等の添付してある建築一般図で階高や辺長をチェックするのが審査ではないですか。図面に基づく算定根拠は添付してありますから、それでチェックしてください。」

区「算定根拠図がないとチェックできないでしょ」

私「添付した確認申請の図書である建築一般図で充分チェックできるでしょ」

区「皆さんに図面とは別に算定根拠がわかりやすい図を作ってもらっています」

私「何度もそちらの区に省エネ設置届を出していますが、別図を作成しろと言われたことはありません」

区「皆さんに作ってもらっているし、算定根拠図を作成してもらうのは区の方針です」

提出してあるのは2階建て500㎡あまりの建物だが、屋根形状と外皮形状からモデル建物法はそぐわないと思い、標準入力法で設置届を提出してあった。区に提出(受付)してから18日目になって電話がきた。18日経過しても全部の内容は見てないらしい。

私「今年4月に、そちらに別件の省エネ設置届(標準入力法)で提出したときも別図を作成しないさいとは言われませんでしたよ」

区「誰が担当でしたか」

私「え~っと。Aさんです」

区「わかりました。このままの書類でチェックして質疑書を出します。少し時間がかかります」

私「もうすぐ21日経過するので工事着工が伸びてしまいます」

区「受付してあるから工事着工は構いません」

工事着工の21日前に省エネ設置届を出すというのは、要は書類上の形式的儀式なのですね。

以上の会話 音声にすると結構 お互いにエスカレートした口調なのです。

省エネ適合に対応して設計は二段階ロケットに?

建築物エネルギー消費基準への 適合性判定の制度が平成29年4月に迫ってきた。2000㎡以上の建築物は、建築確認申請時に構造適合と同じように省エネ適合を受けなければならなくなる。

その省エネ適合機関となる登録建築物エネルギー消費性能判定機関の登録要件として適合性判定員の選任が必要とされ、この制度の円滑な開始のために、施行前に一定数の適合性判定員の資格要件者確保する必要から、一般財団法人 建築環境・省エネルギー機構で国土交通省補助事業として事前講習「省エネ適合性判定に関する講習」の開催計画が発表された。

これまでは施工着手日21日前までに省エネ設置届を特定行政庁に届出すれば良かったが、来年4月からは指定確認検査機関に確認申請を提出する場合(2000㎡以上)、事前審査段階に省エネ適合計算書を間に合わせ省エネ適合性判定を受けなければならない。

設計事務所・設計施工の建築会社にとつて建築確認済証を取得する日時は、契約上とても重要であり、工事着手日に影響することから、申請スケジュールは厳守である。

意匠・構造・省エネと同時並行的に審査が進められている中、かつ建築主側からの変更の要望を組み入れながらで、事前審査段階での省エネの修正対応が忙しくなることが予想される。

また非住宅の場合、これまで確認申請図書には不要だった一般照明図、空調図、(建具表)なども省エネ計算をするには必須となるため設計スケジュールは、これまでと大幅に変わることとなる。

それゆえにある規模以上のプロジェクトでは、確認申請段階ではとりあえずの設計図書を作成し確認済証を取得後、基礎工事段階でVE等に伴う空調機器や一般照明器具の変更等を反映して計画変更確認申請を提出するようにならざるを得ないのではないかと思われる。すなわち設計・確認二段階ロケットである。

ところで省エネ適判となった場合、確認検査員は工事完了検査において設置されている空調機の機器、照明器具の機種、個数等は確認するのであろうか。あるいは工事監理者からの報告書類のみで適合判定をすることになるのだろうか。

弊社はH25年基準以降、比較的複雑な形態(外皮計算が面倒な)の建築物の省エネ設置届の作成を業務として行ってきた。

最近はプロジェクトの基本設計段階で参画し省エネ計算でシュミレーションし必要な断熱性能・断熱材の種別などを意匠設計者側にフィードバックしている。こうした参画ができる場合は、設計者にコストコントロール意識があるときである。

リノベーション案件でも基本設計段階で既存図を基に省エネシュミレーションを行い施工性や大規模模様替えにならないよう配慮し断熱改修を提案し意匠設計者側にフィードバックしている。標準入力法で計算しているので、予算が限定されたリノベーションの場合、例えば北側だけ壁面断熱改修をするとか細かなシュミレーションが可能となる。

来年は、省エネ適判導入によつて忙しく振り回されそうな予感がする。