「世界のリノベーション建築・創造的リュースをめざして」ゲシュタルテン編

建築ストックのリユース(再利用)というと、制約が多くて自由な発想が妨げられるように思うかもしれないけれど、制約があるからこそ豊かさや想像力が高まることもあり、建物の質が下がるわけではない。

「新築は創造的だが、再利用は妥協だ」という考え方もあるが、イノベーションの意味は、必ずしも新しいものを創造する事ではなく、既存のリソースに新しいやり方で取り組むことでもあるはずだ。

この本では、世界の35の事例が紹介されている。こうした事例は、現実に取り組んでいるリュース・プロジェクトのヒントを探すときに参考になる。

今 現実のプロジェクトで試行錯誤しているのは壁面と屋上の「被膜」。

被膜とは、裸の躯体に「衣服を着せる」「覆う」事。もろい砂岩・石灰岩・レンガなどの躯体を花崗岩で覆って強度・対候性を高め、白大理石で覆ってより美化し、表現の幅を広げ丹精さ・壮麗さをだすことは古代から実践されてきた。それを19世紀前半にゴットフリート・ゼムバーが言語化・理論化した。

被膜は内と外との空間境界でもある。

たしか川向正人さんがゼムバーの研究書を出してたはずだなと思い。回り道だが「被膜」について勉強してみたいと思った。