建築プロジェクトは、ときに事業の見直しで、建築確認申請取得後に未着工になったり、工事が一時中断したりすることがある。
又 過去には法令改正を機に意図的に工事中断がなされた事例もあった。
それらの物件が工事再開するとき、幾つか問題が生じることがある。
たとえば共同住宅で、一部構造躯体の変更や 住宅の間取りの変更や設備関係の変更、多少の床面積の増加(もともと容積率はいっぱい)なら計画変更確認申請の提出をしてもらう。
というようなスタンダードな計画変更なら良いのだが、建築確認申請書を提出し確認済証の交付を受けた後の計画の変更は、色々なケースがあり 判断に迷う場合もある。
- 工事着工+構造躯体完了(上棟)→中断→一部主要構造部変更含む間仕切り等変更→計画変更確認申請
- 工事着工+基礎・1階床部分まで構造躯体完了→中断→階数減・主要構造部変更→計画変更確認申請
- 工事未着工(根切りだけで実質未着工)→計画の変更→計画変更確認申請
ここで、かなりの設計変更を伴うものは【3】の実質未着工の場合だ。制約が少ないので変更も大胆だ。
どういう場合に、計画変更確認申請ではなく建築確認申請の再提出を必要とするのか?
実は、明文化しているものが少ない。
下記は、長崎市の建築行政の判断
計画変更の取り扱いについて
確認を受けた建築物等の計画を変更し、その結果「建築基準関係規定」に係る変更が生じる場合においては、その変更の内容により、以下の【1】から【3】のいずれかの手続きが必要になります。【1】建築確認申請の再提出を必要とするもの
【2】計画変更確認申請の提出を必要とするもの
【3】軽微な設計変更の提出を必要とするもの1.建築確認申請の再提出を必要とするもの
次に掲げる計画変更は、以前の確認申請についての計画(工事)取りやめの届けを行なった上で、確認申請を再提出(再申請)する必要があります。建築物
主要用途の変更
構造種別の変更
(梁・柱又は壁式構造の耐力壁などの構造耐力上主要な部分の変更並びに構造計画の全面的な変更など)
その他建築主事が必要と判断するもの
(当初の計画と著しく異なる変更及び変更内容が多項目にわたる場合など)
昇降機
駆動方式の変更(油圧式からロープ式又はロープ式から油圧式への変更)
メーカーの変更
一般仕様から認定品又は認定品から一般仕様への変更(認定品間の変更も含む)http://www1.city.nagasaki.nagasaki.jp/kenchiku/shinsei/kakunin/kakunin7.htm
長崎市は、
「主要用途の変更」「構造種別の変更(梁・柱又は壁式構造の耐力壁などの構造耐力上主要な部分の変更並びに構造計画の全面的な変更など)」「その他建築主事が必要と判断するもの(当初の計画と著しく異なる変更及び変更内容が多項目にわたる場合など)」という点においている。
個人的には、順当な判断だと思う。
ただ建築物が大規模になれば、確認申請の提出までにいたる様々な条例関係の届出や許可を経ており、そうしたプロセスも全てリセットしてしまう可能性もある。
そうしたプロセスも変更申請で済み「主要用途の変更」でなく「構造種別の変更」でなければ、建築確認を受けた建築計画内容から大きく計画を変更する場合でも、計画変更確認申請でも良いのではないか。
その判断は難しい