アネックス方式

 アネックスとは付録、別館、離れといった意味だが、経営の分野では「分社」として使われる事がある。

 この間「軍師たちの日本史」半藤一利×磯田道史対談を読んでて、この別会社・分社方式で思い出したことがあった。

 イタリアのボローニャにティーバックと薬品の充填包装システム機械で世界一と言われているIMA社(Industria Macchine Automattiche)がある。

 現在 IMA LIFE JAPANという会社が江東区にある。日本語名「イマ」社。その企業案内には、「イマ・ライフ・ジャパン株式会社は、世界的な包装/プロセス機器メーカーであるイタリアのIMA社の唯一の日本法人として、2008年に発足致しました。なおその前身は、英国の工業用ガスの会社であるBOCグループの一員であったエドワーズ株式会社の医薬品事業部であり、凍結乾燥装置を数十年に渡り取り扱ってまいりました。

 IMA社は、様々な分野でその事業を展開しておりますが、医薬品関連事業部門(IMA Pharma)に属して無菌製剤製造装置を担当するIMA LIFE部門の下で、当社は主として日本の医薬品業界に向けて、各国の工場で製造された機器類の、販売/保守/各種技術支援等を行っております。」と書かれている。

IMA LIFE JAPAN

この会社は1924年に設立されたACMAという包装機械のメーカーが母会社。ACMAはチョコレートの自動包装機を開発した会社。

 ロマニョーリという若者が1961年にACMAから独立してIMAを設立した。

 ここで大切なことは母会社の技術を持ち出すことは許されるが母会社と同じものを作ってはいけないそうだ。創業者は自動ティーバック包装システムを開発し、続いて自動薬品充填システムを完成させ世界市場を制覇したとある。

 このティーバックの止める部分、初期はホツチキス止めだったものをIMA社が伊藤園のティーバック包装機械を受注したとき糸で縫う方式に改良し、それがまたティーバック包装機械の更なるヒットに繋がったと聞く。

 この母会社ACMAから分社化した会社が50社以上あり、この包装機械のネットワークの部品を供給する300社以上が取り巻きボローニャに「パッケージバレー」を形成している。

 かれこれ30年以上も前だが、イタリアのミラノ、コモ、モデナ、ボローニャ、ローマを旅行した事がある。その時、イタリアは職人の街だ。スリも泥棒も職人だからといわれた事を思い出した。ようするにテクニックが上手ということ。

 若い時 養鶏場の設計にかかわったことがあり、プラントシステムの図面がイタリア語とかスペイン語とかあり、精密機械はヨーロッパが優秀と聞いた覚えがある。

 イタリアには多くの車メーカーがある。フィアット(FIAT)/アルファロメオ (Alfa Romeo)/ランチア(Lancia)/マセラティ(MASERATI)/アバルト(ABARTH)/フェラーリ(Ferrari)/ランボルギーニ(Lamborghini、フォルクスワーゲングループ傘下)/パガーニ・アウトモビリ (Pagani Automobili)/マイクロ・VETT(MICRO-VETT)/ピアッジオ(Piaggio)

 日本だけが技術が優秀という事ではない。

 日本の企業は、経路依存性が強いから分社化というのは、ひとつの選択肢なのだろうと思う。