建築トラブルを避けるための本 -1

建築実務者の人に是非読んでもらいたい一冊が「判例で学ぶ・建築トラブル完全対策」日経アーキテクチュア編・2017年4月初版

建築実務者にとって建築トラブルを避ける上で参考になる判例が提示されている。事件の概要と主な争点、裁判所の判断とそこから得られる教訓を弁護士が解説しており、色々な事件を網羅していて、しかもわかりやすいと文章だと思う。

日経アーキテクチュアに取り上げられて掲載された記事をまとめた本なので、社会的に話題になったトラブルが中心。

この中で紹介されている東日本大震災で東京町田市のショッピングセンターのスロープが崩壊し死傷者が出た刑事事件。2016年2月に東京地方裁判所立川支部で構造設計者に禁固8カ月、執行猶予2年の1審で有罪判決。2審で逆転無罪判決。

この事故で生じた損害を巡る民事訴訟の1審判決は、スロープ崩落原因は「設計3社の過失」として約7億円の賠償命令を下した。が係争はまだまだ長引きそうだ。

 民事訴訟の原告は店舗所有者の米コストコの日本法人と保険契約を締結していた欧米の保険会社2社で、請求総額は約12億5000万円に上った。

 被告側は、設計を統括し確認申請などを実施した意匠設計事務所、構造設計の再委託を受けた構造設計事務所A、そしてコストコ側から特命を受けて構造の変更設計を手掛けた構造設計事務所B、施工を元請けした大手建設会社だ。

尚、日経アーキテクチュア最新号 2020年11月12日号でも「特集 法令違反の代償」として特集を組んでいる。

【内容】
・法令違反の代償 それでも不正に手を染めますか?
・確認済み証偽造で損害2億円超 開き直る 「設計者」 に怒り心頭
・本誌が報じた建築界の不祥事 免震偽装に施工不備、噴出するコンプラ問題
・ベルヴィ香椎六番館 JR九州などが杭未達で謝罪 全戸買い取りなら約16億円
・パークシティLaLa横浜 建て替え関連費用509億円 施工者が責任の押し付け合い
・レオパレス21 118億円の債務超過に転落 「前言撤回」 連発で信用失墜
・不正の温床 「企業風土」 の変革を デジタル技術の活用も


現実のトラブルはドロドロしていて、しかも地味なので本には書けない事も多い。