妻(パートナー)から「この本面白いよ」と言われ読んでみたら、とても刺激的な内容で面白かった。若い女性の裸写真満載の近頃の週刊誌の類は買うことはないし、たまに手に取っても一部の記事を読む程度だったが、この週刊文春・WOMANは読みどころ満載だった。
ひとつは、台湾のデジタル担当大臣 オードリー・タン氏と音楽家の岡村靖幸氏との対談「幸福への道」。パートナーもこの記事を読みたくて買ったらしいが、オードリー・タン氏 性別は「無」。ジェンダーは男女だけではなく「両方」も存在しないと言う。さらに台湾はトランスカルチャーの国だと言う。日本も古代は、多種多様な文化を取り入れて受容するトランスカルチャーの国だったと思うが、現代では価値感が一元的になってる傾向が強く、日本にいると息苦しい。35歳のデジタル大臣を抜擢した台湾という国に、以前より増して関心を持った。
二つ目は、脳科学者の中野信子氏とエッセイストの内田也哉子氏との家族について考える対談。中野氏の「本当の自分なんてない」「私達はいろいろなペルソナ(人格)をバラバラに持っていて、そのバラバラな自分がモザイクのように融合して一つの形になっている。」「そのペルソナは学習して獲得している」この対談も刺激的だった。
三つ目は、作詞家の松本隆氏の「ずっと韓流ドラマが好きだった」。実は私も韓国映画、ドラマは若い時から大ファンで、特にイ・チャンドン監督の「オアシス」「ペパーミント・キャンディー」という名作を観てさらに好きになった。他の監督作品を観ても秀作が多く流石「演芸の国、演芸の民俗」だと感心していた。最近は「愛の不時着」「梨秦院クラス」で第三次韓流ブーム到来とも言われているが、とにかく監督・脚本家・俳優のレベルが高いし、層が厚い。
四つ目は、檀ふみ氏と高樹のぶ子氏との対談「今こそ伊勢物語を読むべき理由」。高樹のぶ子氏の「小説伊勢物語 業平」は現在も並行読みしている本。寝ながら読むにしては分厚く重たい本なので中々進まないが、著者の裏話がとても面白い。
五つ目は、プロデューサーの五箇きみたか氏とマンガ家の田中かつき氏とタレントの原田たいぞう氏の「コロナ時代もサウナでととのう」のサウナ談義。「ととのう」は「整う」「調う」、そして仏教用語の「斉う」で、これは薪を三つあわせて燃やす形から来ているとの事。ブッダも淋浴後、木の根元に座って悟りを得たとある。悟りを開くためにサウナに行かねばならぬ。
とにかく読みどころ満載。週刊文春・WOMAN あっぱれ。