2021年1月に建築確認申請、検査申請に押印が廃止され、それまで あれほど押印押印と言っていたのが、一転して図面や申請書類、委任状まで押印が必要なくなった。
あれから2年半、最近 押印廃止に伴うトラブルを耳にする。
ひとつは、設計と確認申請は受注したが、工事監理は契約しなかった物件で、勝手に名前を使われて計画変更申請が出されていた。これは昔からあり、計画変更申請に認印で押印されて承諾していないのに名前を使われたという相談を受けた事があった。
弁護士から聞いた話では、設計の打合せ中で、まだ工事を発注することも決めてなかったのに、施主の承諾なし知らないうちに確認申請図書が作られ、確認通知書が交付されていた。工事契約に至らなかったのに確認通知まであるのだからと高額の金額を請求されたという事件があったと聞いた。確認申請詐欺まがいの行為だが、これも押印廃止に基づいて容易になった。
そもそも法的行為である「委任状」に押印がいらないというのが、今でも解せない。
とある機関に提出した依頼書も押印不要だが、施主の担当者のメールアドレスを記載しろとあったので、なんでかと聞くと、本当にその依頼をしたかどうか確認するためだという。だったら施主の代表者(社長)の社判を貰ってくると言ったら、結局押印してもらっても良いということになった。
そういえば押印廃止について以前書いていたものがあったが、その時も危惧していたことが現場では起きている。
今揉めているマイナンバーカードの担当は、河野太郎デジタル相。この押印廃止も河野太郎さんが総務大臣だったときだった。「根回しは好きではないが力業をする」という河野さん。結構なトラブルメーカーかも。