「建築確認のための・基準総則集団規定の適用事例2022年度版」日本建築行政会議編

2022年の10月に出版されて新年早々に購入したのだが、ちょつと目を通すのが遅くなった。2009年(平成21年)に出版されてから改訂を重ねている。

この本は、昨年2022年12月に発行された「近畿建築行政会議 建築基準法 共通取扱い集」2022(第2版)とは違い「改訂項目一覧表」が記載されておらず、前回の2017年度版から改訂がないもの、内容が改訂された項目、条項ずれや文書等を整理した項目、新規の項目、削除した項目等は自分で差分を確認しないとならず、読者がそれなりに勉強しなければならない本となっている。

追加項目で目立つのは「用途規制(法48条)」に関わるものだ。

例えば【学校等】では、「こども食堂」「プリスクール」「日本語学校(日本語教育機関)」。

【老人ホーム等】では「こども送迎ステーション(送迎保育ステーション)」

【老人福祉センター等】では、「高齢者向けふれあいサロン」「就労移行・継続・定着支援事業の用に供する施設」「居宅介護・重度訪問介護又はこれに相当するサービス事業の用に供する施設」。

【物販店舗等商業施設】では、「スポーツ振興くじ及び宝くじ売り場の用に供する施設」「eスポーツ施設」「レンタルスペース」

【事務所】では「インターネット通信販売を行う兼用住宅の非住宅部分」「住宅宿泊管理業者の営業所又は事務所」

【工場等】では、「義肢装具(補装具)の製作所」「細菌培養加工施設」

【ホテル又は旅館】では、「ホテル・旅館のフロント代替設備を有する建築物」「簡易宿所の共同玄関帳簿」

【動物関連施設】では、「全天候型の屋内ドッグラン」

用途規制は時代を映す鏡のようなものだけど、実態が良くわからないものもある。

新たに追加された項目については概ね確認したけれど、修正文章等の箇所の確認はこれから。法令に関して自分の頭をバージョンアップさせるのには、それ相応の時間と努力が必要。

「近畿建築行政会議 建築基準法 共通取扱い集2022(第2版)」近畿建築行政会議

2023年正月に注文し最初に読んだ本。

昨年2022年12月15日に発行された「近畿建築行政会議 建築基準法 共通取扱い集」2022(第2版)。

2014年(平成26年)5月に、この本の意匠分野が発行され、2016年(平成28年)に構造・設備分野の取扱いが発表された。そして今回、近畿建築行政会議が主体となり近畿建築確認検査協会と連携し編集委員として参画してもらい発刊に至ったと記載されている。

近畿圏内では府県市単位で発行している取扱い集等があるが、内容が重複する場合又は差がある場合等は原則としてこの本が優先する。

この取扱い集は「改訂項目一覧表」が記載されていて、第1版からの改訂がないもの、内容が改訂された項目、条項ずれや文書等を整理した項目、新規の項目、削除した項目が判るのが読者目線だと思うし第1版から第2版の差分が判るのは、とても使いやすい。

誰かが言ったが法律は「生もの」である。法の改正や取扱いが変われば、その時点で旧来の解説書の類は役に立たなくなる。変化に対応するスピードが必要で、近畿圏という多くの都道府県の特定行政庁と確認検査機関から意見を集め、内容を整理し発行に至るのは、相当のリーダーシップが必要ではないかと推測する。

新規の項目で目に留まったのは、「吹抜けを介した採光」の規定、「増築に該当しない項目」「屋根の修繕の取扱い」「排煙方式が異なる異種排煙の区画」「給水管等が防火区画を構成する床・壁と一体となる柱・はりを貫通する場合の取扱い」「法第86条の7第1項による増築又は改築を行う場合の既存エレベーターに遡及適用される規定」等が気になって注意深く読ませてもらった。

設計者にとって法律は「武器」である。日々鍛錬にいそしむ年にしたいと思う。

「国の機関の建築物の点検・確認ガイドライン」

国の機関の建築物については、官公法第11条に基づき、その所管する建築物等を適正に保全することが求められていて、同法第12条には、政令で定める敷地、構造及び昇降機以外の建築設備について劣化の状況を点検させる必要がある。

又、建築物の所有者、管理者または占有者は、建築基準法第8条によりその建築物の敷地、構造及び建築設備について常時適法な状態に維持することが努力義務となっている。そして建築基準法第12条第2項及び第4項による定期報告が必要となる。

官公法の「点検」と建築基準法の「点検」という二つの「点検」に加えて、官公法第13条第1項に基づく「保全の基準」(安全性・耐久性・機能性)に基づく「確認」がある。

つまり建築物の定期報告よりももう少し広い範囲の調査による点検・確認が必要となる。その為の「ガイドライン」だが、地方公共団体の施設もこの国のガイドラインに従った調査が必要となる。

この調査は「劣化調査」+「法的調査」というようなものだが、法的確認も、建築基準法はもとより、消防法、バリアフリー法、省エネ法、労働安全衛生法、電気事業法、水道法、その他と幅広い分野の調査が必要となる。

例えば省エネ法の現行法への適合状態となると、厳密に考えると既存建築物の省エネ計算をして現行基準との比較をしないとならないことになる。まあ計算までしなくていい場合もあるだろうが。

こうした国のガイドラインを見ていると既存建築物はシングルイシューで解決できるものは少なく問題解決には総合的なアプローチが必要となってきている。

基本建築関係法令集

令和3年度版の基本建築関係法令集・法令編、告示編・井上書院が届いた。手にしたとたん何だか厚くなったなと感じた。

法令編で前年度1700頁から1743頁に、43頁の増加。

告示編で前年度1462頁から1540頁に、78頁の増加。

毎年なんだか増えていきますね。法律さえ作れば安心なんでしようかね。段々法令が、わかりずらくなってきたようにも感じます。バッサリ削ってしまったら良いのではと時々思います。

今年一年御世話になる法令集です。節分の日に届いた「福」だと感謝して つべこべ言うのは止めましょう。

「建築物の防火避難規定の解説2016」

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「建築物の防火避難規定の解説2016」が発行された。2012年版から4年での改訂版となった。

早速、日本建築行政会議のサイトで発表されている「追加・更新の概要」を基に、差分ヶ所をマーキングした。

変更箇所は、2012年版以降の建築基準法令及び告示の改正に伴うものの他、これまでの質疑応答も掲載されている。

この本は、建築基準法令の全国的に統一された取扱いや運用を意図して日本建築行政会議で編集作業が進められたものである。

実際にはこの本に全面的に依拠して審査する指定確認検査機関もあれば、依拠度が低い指定確認検査機関もあるが、2005年版発行当時に比べれば年々、重要度は高くなっている。

設計者・審査者にとって必読書の一冊である。

『プロが読み解く「増改築の法規入門」Q&Aと実例で学ぶ「可否の分かれ目」』

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『プロが読み解く「増改築の法規入門」Q&Aと実例で学ぶ「可否の分かれ目」』日経アーキテクチュア+ビューロベリタスジャパン著。

特殊建築物の増改築・用途変更等のリノベーションで、いかに魅力的な提案ができるかは、法的知識が左右する。この本では建築基準法に焦点をあてているが、実際は消防法、バリアアフリー法等の関連法規に熟知していないいけないし、意匠のみではなく設備や構造についても一定の知識が必要だ。

プロデューサーは、ゼネラリストでなければならない。

この本で取り上げている「実例」は、見覚えがあるから これまで日経アーキテクチュア誌に掲載されてきたリノベーション関係の事例だと思う。これまで実際見に行ってきた建物も多く含まれている。実は、法的な取扱いについては仲間内でも議論が分かれている建物もあるが、それについて書くのはまた別な機会にしておく。

増改築・用途変更に係る法規のQ&Aは、BVJにより良く整理されている。

綴じ込みの「建築基準法・改正年表」「遡及条文チェック表」は、実務に役立ちそうだ。

リノベーションの必読法令本に仕上がっているので、是非意匠設計者の方々に読んでもらいたい本である。

弥生・・・

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昨年来の仕事がひと段落ついて、久しぶりに本屋に行った。

商売道具の法令集を買いに行ったのだが、これだけは毎年買い替えている。そして何十年井上書院の法令集=青本を使い続けていることだろう。

池袋淳久堂の建築関係の書棚をながめて歩いたが、何だか触手が伸びる本が無かった。アンテナが弱くなったのだろうか。

「本屋に行ったけど結局法令集しか買わなかった。面白そうな本がなくて」と話したら「面白い建築を造れる人が少ないんだから面白い本なんか書けないよ」と言われた。名言だ。いたく感心。

先日、名古屋の知人から電話が来て「今、どこにいるの」と聞かれた。最近 古い海外の建物写真しかアップしていなかったが、私がヨーロッパに行っていると思っていたらしい。

仕事で缶詰め状態だったのさ。1月2月と電車に乗って外出したのは5回もない。完全なる引きこもり状態だった。

最近 ボケてきたと言われることが多い。一週間に一度程度外出するような事を探しているのだが・・・

建築の本は法令集しか買わなかったが、こんな本を買ってみた。

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ちきりんさんは、著名な社会派ブロガーだけど中々面白い視点の持ち主で勉強にさせていただいている。

ベッドで寝ながら読めるところが良い。

とても面白くて二晩で読んでしまった。

「近畿建築行政会議 建築基準法 共通取扱い集」

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滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山の行政と指定確認検査機関によって構成されている近畿建築行政会議の建築基準法の共通取扱い集の初版が発売された。

「住宅用エアコン等の室外機を設置した開放廊下、バルコニーの床面積」「飾り柱等がある場合のバルコニーの床面積」「敷地内に2棟ある場合及びドライエリアからの採光」「住宅等における納戸」「小規模な鋼製の置型倉庫(物置)」・・・

日本建築行政会議の「建築確認のための  基準総則・集団規定の適用事例」より一歩踏み込んだ内容が網羅されているが、まだ共通取扱い項目が少ない。今後協議を継続して共通取扱い項目が増えてくれると実務上大いに助かる。

東京、関東もこういう共通取扱い集ができてくれると助かるのだが・・・。

建築基準法 取扱い基準集及びQ&A集等 / 全国

全国各地の特定行政庁の建築基準法に関する取扱基準・手引き・質疑応答集をまとめています。

各地の取扱基準等を項目別に比較検討して学習すると、一層 法令を理解する事が出来ます。

又、参考として指定確認検査機関等で、取扱いをまとめているところも記載してあります。

これらの文書は、webで文書を公開しているところや各地の建築士会などで販売しているものも列記してありますが、webで公開していない特定行政庁の文書で、所有しているものについて質疑がある場合は関係部分のみ「TAF倶楽部会員」に情報提供しています。

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「ICBA建築法令集CD版」@財団法人建築行政情報センター

昭和25年に制定された建築基準法のすべての条文、施行令・規則・告示・通知・通達・技術的助言・例規・関係規定を収録しており、時点検索、キーワード検索、改正履歴検索が可能な優れもののデジタル法令集。

通常の法令集としての使い方の他に、遵法性調査での既存不適格部分の抽出とか、改正履歴によってひとつひとつの条文が、どう変わってきたかがわかり、法文理解の助けとなっています。

一冊(一枚)購入すれば(現在は絶版)、所有のPCにインストールできるので、モバイル用PCにも入れてあり、出先や出張先に重い法令集を持ちあるくことが不要になり、とても重宝しています。

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