建築トラブルを避けるための本 -3

「Q&A 建築訴訟の実務-改正債券法対応の最新プラクティス-」編集代表・岸日出夫、編集・古谷恭一郎、比嘉一美。新日本法規刊

この本は、ちょつとマニアチックな本。というのも元・現判事さん達が執筆した建築訴訟の実務書だから。しかも2020年3月初版の新しい本。

東京地裁と大阪地裁の建築事件集中部において蓄積された事件処理のノウハウを提供して建築関係の訴訟と調停の審理モデルを提言している。プラクティスというのは「手法」とでも訳したらよいのかな。

訴訟を提起する側の本ではなく、審理する側の本なのだが、これが結構役立つというか、面白い本。

2001年(平成13年)に東京地裁と大阪地裁の調停部が従来の建築調停事件のほか建築訴訟事件も取り扱うことになり建築事件集中部が発足した。専門的知見や独特のノウハウを要する建築訴訟は、知財訴訟や医療訴訟と並んで、訴訟追行と審理・判断に多大な手間暇がかかり審理期間が長くなりがちな訴訟類型と言われている。

東京・大阪という大きな地裁に建築専門部が出来たと言う事は、それだけ社会的に建築関係の訴訟が増えたことが背景のひとつだと思う。それから彼此20年間に蓄積されたノウハウが公開されている。

医療訴訟等の専門訴訟では 弁護士と医師・薬剤師・看護師等がチームを作って弁護団を形成していたが、建築関係訴訟も弁護士と建築実務者とのチーで対応することが増えつつあるように思える。まあ、どんな勝てるチームをつくれるかが、これからの課題でもある。専門訴訟は、弁護士なら誰でも良いわけでなく、それなりに経験も必要。依頼者が相談する弁護士を選択する目が大事だと思うのだが。