調査なくして設計なし

昨日は、京都府京田辺市に日帰り出張

先週に引き続きの出張で腰が痛い・・・

町所管建物のコンバージョンにあたり京都府・町・設計事務所・私と打合せとなった。検査済み証の無い建物という触れ込みで彼此一か月前から相談に乗ったりあれこれと調べたりしていたが、町が建築確認の工事完了検査済証が無い建物と言っていたのですっかり信用し、それが大前提となって調査・手続き・見積りと進んでいた。

何しろ遠方なので行政から取得する「建築確認記載台帳証明」は、自分では取得に動きずらく、強く言って町に動いてもらえば良かったのだが、すっかり町の情報を信じてしまった。

この日土木事務所での打合せを終わり、町が「建築確認記載台帳」を閲覧したことがないと言うので、府に特別に閲覧させてもらうと、推定していた年のそれらしいものを発見。概要書を見せてもらうとビンゴ。おまけに工事完了検査済証も発行されていた。

多額の詳細調査が必要なくなり万々歳。

弊社の仕事は減ったが、無駄な税金が使われなくて良かった。

それにしても行政の言う事だからとすっかり信用してしまっていた。相談された時点で「建築確認記載台帳証明」を取得してもらうようにもっと強く依頼しておけばよかったと反省。

「調査なくして設計なし」

建築設計の道を歩み始めた頃 先輩に言われたこの言葉を思い返した。

建築計画概要書・台帳証明@福岡市

DSCF8211_R

福岡市の庁舎は、繁華街である天神に近く とても立派

建築計画概要書の閲覧・建築確認記載台帳証明の発行窓口は、住宅都市局建築指導部建築指導課(本庁舎4階)

建築確認記載台帳は昭和25年から保管。建築計画概要書は平成11年度分から閲覧が可能。

台帳証明書の発行には,2~3日程度を要するが、申請者が遠隔地の場合は郵送もしてくれる(有料)

窓口の職員の人達が、とても親切

建築計画概要書・台帳証明@神戸市

DSCF5647-2

【神戸市役所】

神戸市には「神戸市建築確認情報セルフ検索システム」という先進的なシステムがあり、建築計画概要書や建築確認台帳証明を短時間で発行してもらえる。

調査対象を地図上からの検索、情報一覧からの検索、適合通知番号からの検索を行い、建築物・昇降機・工作物の情報を得ることができる。

建築計画概要書の閲覧は昭和46年からで、台帳証明は昭和25年から閲覧できるが、データー化しているのは昭和32年以降。

DSCF5646-2

神戸市建築調整課には、この検索システムのモニターが4台並んでいる。

DSCF5650-2

神戸市のサイトには「周辺住民の協力のもとに違反建築物を未然に防止するとともに、併せて違反建築物の売買をも未然に防止しょうとするものとし、善意の買主を保護するために設けられた制度です。」とある。

営業目的や閲覧目的が不明な閲覧は規制すべきだと思うが、情報を公開することで抑止力が働くことは多い。

 

建築計画概要書・台帳証明@東京都 -2

東京都(都市整備局)で台帳記載事項証明書を発行できる建築物等の各年度は下記のようになっている。

1  建築物

(1) 昭和25年度~昭和39年度 : 全て(ただし、木造住宅の一部は区で建築確認)

(2) 昭和40年度~昭和49年度 : 昇降機(エレベーター又はエスカレーター)の付属する建物

(3) 昭和50年度~平成11年度 : 延床面積5,000平方メートル超で昇降機の付属する建物

(4) 平成12年度~ : 延床面積10,000平方メートル超の建物

※ 昭和25年~昭和40年までは敷地・建築・延床の各面積の記載はありません。

※ 風致地区は規模に関係なく都確認(平成11年度まで)。

2 昇降機

昭和35年~ : 建築物の条件と同じ

3 総合設計許可

昭和58年度~ : 建築物の条件と同じ

4 一団地認定

昭和62年~ : 建築物の条件と同じ

【以下については台帳がないため証明書の発行ができません。】

建築物

昭和25年度~昭和28年度/ 港区

昭和33年度/ 中央区・渋谷区・杉並区

昭和36年度 /千代田区

昭和37年度 /全区

昭和43年度~昭和44年度/ 台東区

昇降機

昭和40年度~昭和45年度 / 中央区・新宿区・文京区・台東区・墨田区・江東区・豊島区・北区・荒川区・足立区・葛飾区・江戸川区

問題は、「赤字」で示す欠落している年度の建物の場合。所有者が変わって確認申請書副本を紛失している場合で役所に行っても台帳がなく、果たして建築確認申請が提出されていたのか、検査済み証を取得しているのか公的な書類が見つからない場合にぶつかると困ってしまう。

それでも建設年度を確定する方法は幾つかあるのだが、確認申請を取得しているかどうかは誰も証明することができない。

下記は、葛飾区の場合だが、台帳そのものが昭和57年(1982年)以前のものは保存されていない。もともと建築確認受付台帳の保存年限は10年だけど、例外的に需要があるから保存されているだけと説明される。他の区でも似たようなもので欠落している年度がある。

建築確認台帳は昭和58年度以降に受付をしたものが保存されています。それ以前は資料がありません。  台帳証明の発行を希望される方は住宅地図など住居表示で場所の分かるものや、登記関係の資料など物件を特定できるものをお持ちください。 また、台帳証明の発行には300円の手数料と15分程度の時間がかかりますので、遅くとも午後4時45分までには申し込みの手続を済ませてください。 なお、電話による該当物件の有無や内容に関するお問い合わせにはお答えできませんのでご了承ください

https://www.city.katsushika.lg.jp/faq/746/747/005354.html

データーが無い、整備されていない状態でプログラムを作ったところで役には立たない。

「建築ストックの活用」という前に、無確認建築物、未検査建築物の実態を正確に掌握することが必要ではないのだろうか。

建築計画概要書・台帳証明@東京都

img273

 

【東京都都市整備局・市街地建築部・建築指導課の資料】

東京都は、基本的には昭和25年からの台帳記載事項証明を出してもらえるのだが、区によつては一部年度の分を紛失して(廃棄?)証明書の発行ができない。

年度、昇降機付属、面積によって東京都で発行するものと区で発行するものがあり、よく調べて行かないと、区と都に行く事になり足が疲れる。

建築計画概要書・台帳証明@名古屋市

名古屋・建築計画概要書・台帳証明

 

【名古屋市住宅都市局建築指導部建築審査課・審査統括係の資料】

名古屋市は、建築計画概要書は平成8年4月1日、計画通知は平成19年6月20日から保管しており、それ以前は廃棄されたようだ。

台帳記載事項証明は発行しておらず、「検査済証等処理経過の証明」などという名称の証明は、所有者以外は取得できない。建築主以外が請求する場合は、委任状と登記事項証明が必要。

台帳閲覧も出来ないのだから古い建物の場合、その建物が果たして建築確認申請を取得しているのか、工事完了検査済証を取得しているのか第三者は知る事も出来ない。

建築物は私的所有物でありながらも社会的存在だ。

違反建築物が事実上放置されている今日的状況では、個人情報保護の境界線はいかなるものが最適なのか・・・

前日に大阪市で昭和25年からの台帳を自由に閲覧できる経験をしてきただけに、名古屋市の閉鎖性には驚く。

resize2982

【名古屋市・西庁舎】

建築計画概要書・台帳証明@大阪市

大阪市・建築計画概要書・台帳証明

 【大阪市・建築指導部の資料】

大阪市は、建築確認記載台帳が昭和25年から保存されており、その台帳を各自閲覧できる。

建築計画概要書は昭和48年(1973年)から保存されており写しを請求できるし、昭和50年(1975年)頃からはコンピューター化されており、モニターで確認できる。

大阪市建築指導部の窓口担当は、とても親切で助けられた。