消防水利

都市計画法の開発許可の場合、消防との都計法32条協議で所轄消防署・警防課と事前の打ち合せが必要となります。建築の設計者は建物が防火対象物でも共同住宅等の一般的な案件は消防署に打合わせに行かない。ちょつと特殊な建物とか複合的な建物とか、法令集などでは取扱いに迷う時に消防署の予防課に行きます。しかし消防水利は担当が警防課です。

消防水利とは消防活動を行う際の水利施設の事です。万が一開発箇所で火災が発生した時に有効な消火活動ができるかどうか。これは消火栓からの位置と消防用活動空地があるかどうかで判断されます。

消火栓の位置から120m(場所によっては100m)の範囲以内に開発する場所が入っているかで判断されます。消火栓の位置は、水道局で取得できる水道の配管図に記載されているものを見るか、現地で実際に見て確認します。また消防署の警防課に行けば確認できます。

消火栓は口径によつては消防水利上有効ではないと判断される場合も有り、こればかりは警防課に出向かないとわからない事項です。

既設の消火栓がない場合は、新たに消火栓か防火水槽を開発者負担で設置しなければなりません。

とある開発行為(都内特別区まちづくり条例)をともなう建物の設計で、開発行為も建物の設計監理契約に含めているのに関わらず、こうした役所との打合せは基本設計に含まれておらず、協議は実施設計段階の業務であると主張した建築士がいました。

通常の建築士の感覚では建物の基本設計と同時並行的に開発行為に係る関係役所との打合せ協議をするものです。そうでないと「与条件の整理」にあたる基本設計の業務が完結できません。あとから防火水槽必要です。費用は開発者(建築主)負担ですなどと言ったら建築主から怒られますもの。建物地下に防火水槽を設置する場合は構造にも関わってきますし、基本設計段階で潰しておかなければ事項のひとつです。

まあ世の中 色々な建築士がいて驚きます。

尚、開発敷地が20,000㎡以上かつ、建物が1階建て又は2階建てでその他の建物で5,000㎡以上、準耐火で10,000㎡、耐火で15,000㎡以上の場合には、消防用水の設置が必要となります。

消防用水と消防水利は いずれも消防隊の活動に供するものですが、消防用用水が当該防火対象物に義務付けられているのに対して、消防水利は周辺地区における消火活動を目的としています。消防水利と消防用水の兼用は可能です。

「予防事務審査・検査基準」東京消防庁

「予防事務審査・検査基準」(令和2年9月改訂)・交益財団法人 東京防災救急協会発行、東京消防庁監修。三分冊セツトの書籍なのだが、主に見るのは「Ⅰ」の中の「消防同意事務審査要領」「用途別審査要領」「形態別審査要領」

東京で特殊建築物に関わる人なら必携ともいえる図書なのだが、昔は会社・事務所に1セットあれば足りた。現在は個人事務所なので、たまにしか見なくても用意しておかなければならない。この本、昨今は毎年のように改訂版が出される。

所轄消防署の予防課に事前相談・打合せに行く前には、該当部分を再読しておかなければならず、このところ予習をしていた。

大規模で複合的な用途の建物になると、従来の単一用途のものの考え方だけでは処理できない事も多い。そういう場合は、在館者の安全・円滑な初動避難ができるか、火災時に消防隊の安全・円滑な消防活動の確保ができているかという原点に立ち戻って考え、設計者としての判断を示さなければならない。

一方、エビデンスは大事なのだが、文書化した取扱い事例を過度に求める傾向もあり、些細な事でも所轄消防署に念を押しに行き、打合せ議事録で残すことを要求される場合もある。

大規模・複合的な建物になると関連する法令・条例は広範囲になり、事前チェックを落とすことはできないので、消防法関係だけに限らず、多様な関連書籍が増えるばかり。

防災訓練

1月19日、日曜日は町会の防災訓練だった。

以前は、屋外で消防署の人に来てもらっての訓練だったが、最近は豊島消防署のビルにある防災館で行っていたようだ。

これまでは町会の事は、妻が担当していたが昨年、町会長に私の携帯電話番号を教えたせいか、直接連絡が来るようになった。

西池袋にある防災館で地震体験・消火器の使い方・煙にまかれた時の避難を体験して来た。屋内だから寒くなくて良かった。

豊島区には129の町会があるが、順番で防災訓練を毎年行っているらしい。防災の知識だけでなく、こういう地道な訓練の積み上げが必要なんだろうなと思った。

それで防災館で御土産にもらったのが、自分で組み立てる救急車のペン立て。

早速 組み立てて机に置いてみた。

 

コア東京「東京消防庁からのお知らせ」

東京都建築士事務所協会の広報誌に掲載されていた「東京消防庁からのお知らせ」が冊子にまとめられた。

この連載は、「コア東京」の中でも読みごたえがありコピーしてファイル化していた部分なのだが、このように一冊にまとめてもらつて感謝している。

建築プロジェクトに係る時には、消防との基本的な打合せは設備設計者任せにしないで、自分で問題点を整理して打合せに行っている。

この冊子にある「消防の無窓階」「みなし従属」「小規模特定用途複合対象物」「特定一階段等防火対象物」等は、中小規模の建物でも重要な項目で充分理解しておく必要がある。

例えば事務所ビルの一部に飲食店とか物販店が入居するとする。事務所は消防法の防火対象物としては15項だが、複合になることで16項イになることがある。このあたりのところは建物の管理方法とか総合的に理解している人が打合せに行かないと、間違えることがある。

今 建築に係る法令解説本は、単体法律毎のことに終始し総合的なものがない。実際の建築プロジェクトは、建築基準法だけでなく消防法、バリアフリー法等多岐にわたる法律のハードルを越えなけれはならない。もうすこし総合的な視点の法令解説本があっても良い。

【覚書】無窓階の取扱い・・開口部の位置

建築計画上 中庭があり その中庭に面した開口部を消防法の無窓階判定用の開口部にする場合の取扱い。

これは東京消防庁・予防事務審査・検査基準に、その取扱いが掲載されている。

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ここで問題となったのは、道に通じる出入口にセキュリティ上門扉が設置される事が多いので、最初消防署は、難色をしめしたが、水圧開錠付きシャツターとか水圧開錠できる構造の門扉なら良いだろうとなった。

道に面する外壁には、2以上の大型開口部とあるが、消防法の大型開口部とは、直径1m以上の円が内接することができる開口部又はその幅及び高さがそれぞれ75cm以上及び1.2m以上の開口部のことなので、たいしたことではない。

又、道に面する外壁で必要面積の1/2以上確保できることとあるのは、各階床面積×1/30×1/2以上を道側の開口部で確保すると言う意味。その他の必要開口面積は中庭側で確保しても良い。