ラカトン&ヴァッサル

 知人と「好きな建築ベスト10」で被った2つ目は、2021年のプリツカー賞を受賞したフランスの建築家ラカトン&ヴァッサル。ラカトン&ヴァッサルは、アン・ラカトンとジャン・フィリップ・バッサルによる設計事務所で1987年にパリで設立された。

 2003年の建築文化で特集を組まれている。わずかに所蔵している「建築文化」の中の一冊。こうしてみるとラカトン&ヴァッサルは随分以前から注目はされていたけど、日本ではあまり人気がなく、作品集も邦訳されたものはないのではないかと思う。

 初期の作品は、一見してチープだからか人気がないのかも知れないけど、私は結構参考にしてきた。

下記は、2021年にプリッカー賞を受賞した時のarchitecturephotoの記事

『1960年代初頭に建設された17階建て96戸の市営住宅「La Tour Bois le Prêtre(2011年、フランス・パリ)」を、ラカトン&ヴァッサルがフレデリック・ドルオと共同で、より大きなスケールで改修しました。建築家は、元々あったコンクリートのファサードを取り除くことで、各ユニットの室内面積を増やし、建物の占有面積を拡張して、生物気候学のバルコニーを形成しました。かつては制限されていたリビングルームは、フレキシブルな空間として新しいテラスに広がり、大きな窓からは街の景色が一望できます。このようにして、ソーシャルハウジングの美的感覚だけでなく、都市の地理的状況の中でのそのようなコミュニティの意図と可能性を再考しました。

このフレームワークは、Druot and Christophe Hutinと共に、Grand Parc(フランス・ボルドー、2017年)にある530戸のアパートメントからなる3つの建物(G、H、I)の変革にも同様に適用されました。この変革により、ソーシャルハウジングを劇的に視覚的に再構築し、エレベーターや配管を近代化し、すべての住戸を寛大に拡張し、一部の住戸は約2倍の広さになりました。それは、住人を追い出すことなく、解体して新たに建設する場合の3分の1のコストで実現しました。

「私たちの仕事は、制約や問題を解決し、用途や感情、感覚を生み出すことができる空間を見つけることです。これまでのすべてが複雑であったときには、このプロセスと努力の最後には、軽さとシンプルさがなければなりません。」とヴァッサルは説明します。』

 ラカトン&ヴァッサルは、これらの操作を「トランスフォーメーション(変換)」と称していたような記憶がある。私は、リノベーションとかリファイン建築(青木茂)とかより「トランスフォーメーション」の方が概念的にしっくりくるように思っている。