以前書いた土砂災害危険区域のオープンテラスの構築について、区の建築主事はテラス下部が屋内的用途ではないので、建築基準法第二条の「建築物」には該当しないという判断をしめした。
今一度、建築基準法の「建築物」の定義をおさらいしてみよう。
「一 建築物 土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)、これに附属する門若しくは塀、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設(鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びに跨こ線橋、プラットホームの上家、貯蔵槽その他これらに類する施設を除く。)をいい、建築設備を含むものとする。」(平成5年6月25日 – 現在有効)
上記が現在の規定。
「一 建築物 土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの、これに附属する門若しくはへい、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設をいい、鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びにこ線橋、プラツトホームの上家、貯蔵そうその他これらに類する施設を除くものとする。」(昭和25年11月23日 – 昭和34年12月22日)
上は建築基準法制定時から昭和34年改訂までの規定。
庭の平坦部分につくるオープンデッキなら その安全性は自己責任の範囲でどうぞということで良いと思うが、土砂災害危険区域に指定されている崖地の上に自己所有地とはいえ、敷地いっぱいにオープンテラスを作れば、地域住民がその安全性を心配するのは当然だと思う。
塀が地震等で倒壊し歩行者の安全をおびやかしたり、事故が発生しブロック塀などの建築基準が出来たように、本件の崖地のようなところに敷地一杯にオープンテラスを作る場合、崖地の崩壊やデッキの崩壊が起きた場合は、敷地外にも影響を及ばす可能性が明らかな場合には「類する構造のもの」で「建築物」とするべきで、所有者は、それ相応の安全性を担保する責務があると言うのが私の考えです。
現役の建築主事と法律論を闘わしても平行線に終わると思いますが、振り返れば建築基準法も「環境を整える」視点から「私権の拡大」へと大きく変わってきました。
この20年程の背景は、なんといっても「新自由主義」「市場万能」「規制緩和」だと思います。今は「新自由主義」と決別する分岐点に立たされている時代を迎えています。