既存宅地確認

 先日、埼玉県北部に15年前に自宅を建てられた人の住まいの図面や写真を見せてもらった。聞けば市街化調整区域で「既存宅地確認」を行い建築基準法上は「改築」で建てたと聞いた。賢い。

 設計者でも都会で活動する若い人は「既存宅地確認」の制度を知らない人も多いだろう。この「既存宅地確認」は既に廃止された制度だからだ。

以下「既存宅地確認」制度について書いておこう

■既存宅地確認とは
 原則として建築物の建築(新築、改築、用途の変更)が禁止されている市街化調整区域の土地であっても、市街化調整区域に指定された(線引き)時点で、一定の要件を満たす既に宅地であった土地について、申請により確認を受けることを言い、この確認がされた土地を「既存宅地確認を受けた土地」と言います。

 建屋はボロボロの廃屋同然でも、都市計画法制定線引き以前から建っていて、土地の登記は「宅地」となっているものが、「既存宅地確認」を受けれることができた。
 即ち、この確認により許可を受けることなく原則禁止されている建築物の建築ができる制度。現時点で登記地目が宅地である、あるいは宅地利用している、というだけでは、既存宅地確認を受けた土地には該当しない。その地域で都市計画法が施行された時期、概ね昭和45年以前に宅地である必要がある。

■既存宅地確認制度の廃止 

 都市計画法の施行により市街化調整区域での建築制限が30年以上行われてきた一方、既存宅地確認により建築される建築物は、許可を受けて建築される建築物と比べ周辺環境と著しく調和しないものでも建築可能であったため、法施行以前から宅地に対する優遇的な取扱いをする期間が満了したものとして、平成12年の法律改正により、平成13年5月18日をもって廃止された。
 この廃止により、既存宅地確認を受けた土地に関しては、既存宅地確認の日から5年間までは、自己の居住用又は自己の業務用の建築に限り、経過措置として建築が認められた。

(注2)自己の業務用:継続して自己の業務に係る目的の建築物で、ホテル、旅館、結婚式場、自営の工場、自営の店舗等がある(貸し工場、貸し店舗等建築主自らが使用しない建築物は含まれない)

制度廃止に伴う線引き前からの宅地の取扱い
 廃止された既存宅地確認制度の確認要件(注)を備えた土地で、情勢の変化により土地利用を変更する必要が生じた土地については、都道府県開発審査会基準により、個別に許可を受けることにより、建築をすることができる。

(注)概ね50戸以上の建築物が連たんしている土地であること、かつ、線引き時点ですでに宅地であったことが確認できる土地。

 今でも該当すると思われる人は、案内図(住宅地図)、土地と建物の登記簿謄本等を用意して行政に相談してください。