余剰空間

よ‐じょう【余剰】 必要分を除いた残り。剰余。余り。「人員に―が出る」「―価値」「―米」 大辞泉

建築基準法の取扱いで出てくる「余剰空間」は、例えば小屋裏物置等の取扱いについて見られる。 img060   上記のように床下・天井裏・屋根裏などの、もともと作ろうと意図したところの「形」の中で機能性を持たなかった部分として捉えられているようだ。

ようするに余剰空間という意味は、計画当初の機能を持つことが出来ない空間や、機能が明確に想定されない空間のことであり、不本意に余ってしまった対象と言える。

このような機能配置の計画外に残されてしまう余剰空間は、使用上の寸法や動線や機能などの様々な問題によって多かれ少なかれ発生するものであり、その余剰空間をどう扱うかは建築計画論的にも法的にも課題の一つであるように思う。

余剰空間は、上記の図のような建築基準法の概念として活用されているが、現代の建築空間は切妻や片流れような固定的形態だけでなく、様々な形態として現われる。従来の固定的「形」では判断さえつきずらくなっている。

都心では道路斜線・高度斜線・日影規制などの集団規制の制限を受け、そこに天空率や高さの緩和、平均地盤の調整等を駆使し複雑な、ときに異様な突出した建築が現われる。

前面道路が法第42条第2項(4m未満の道)等の細街路で、木造二階建てが地域の街並みを形成する建物のボリュームのところに、突如4階建てと錯覚するような木造3階建てが建築され、周囲があわてることもある。これは元々総合設計制度という大規模建築に適用されていた天空率という手法を、すべてに適用した為だ。

敷地には、幾つも建築基準法の規制による建築可能な空間領域があり、その見えない空間領域が、建築可能な形態の制限となる。

ある一定以上の面積や道路幅員をもつ場合は、その建築可能な空間領域を余剰空間として捉えることができないであろうか。

これは 仮説的提案である。

追記

上記記述は、若干 論旨不明確でした。

前面道路が法42条2項道路等の細街路には天空率の適用は止めるべきで、そうでない場合は、法的可能な空間領域内は余剰空間として突出型のロフト・小屋裏収納等は認めていいのではないかというものです。