3Dスキャンによる既存建物の図面復元-2

9月上旬に3Dスキャン計測をして点群データを取得したプロジェクトの復元図面があがってきた。その一部を紹介しよう。

3次元計測機器は、FARO Focus Premiumである。

【3Dスキャンの元画像】

【3D処理した後の、当該部分の画像】

【3Dから2Dにした図面】

上記の図面は、アナログ調査による加筆等を加えていない状態の図面。

実測のための高所作業、足場は不要となった。遠隔地への調査員派遣人数が軽減でき、交通費+人件費が低減できた。計測から既存図面復元迄約3週間だった。

建築ストックの再生と活用において、既存図面の復元は避けられない業務だが、もっとも多くの調査員が必要で、かつ汗を一杯かく分野だったが、光が見えてきた。

3Dスキャンは、現状でも充分実務に耐えられることが検証できた。

3Dスキャンによる既存建物の図面復元

 既存建築物の図面復元を目的に3Dスキャンによる撮影調査を行った。既存建物本体と あとから増築した部分が多くあり、尚且つ アナログで調査するにしても足場が必要だし、高所作業となるために3Dスキャンを採用した。

 3Dスキャンによる点群データから3Dを復元し、そこから2Dの図面(平面図・立面図・断面図)を復元する。それをもとに構造図も作成する予定。

 近年3Dスキャンは、著しく普及し始めたと感じる。だれでもかんたんに3Dモデルを作成でき、共有できる安価な機種が出てきた。
 ただ既存図面の復元に採用できるレベルの高精度の場合は、どうしても測量で使用するような高性能のスキャナー、専属の撮影者、ハイスペックなPCが必要である。今回は測量並みの点群データ密度を求めた。

 狭い室内の改修の現場とか、人がレーザーを使用し測定するような安価な機種も出始めたが、こうした使用用途によっては素早く撮影でき、AIが自動的に3Dモデルを作成してくれるというようなこともできる。ようは点群をどのような利用用途で使用したいかとということにつきる。

ドローン調査

 既存建築物の劣化状況等を把握する為に、ドローンによる動画撮影調査をした。

 使用したドローン(無人航空機)は、DJI Mavic 3 pro

 調査場所が名古屋飛行場に近かったので、県営名古屋空港事務所、航空自衛隊 小牧基地、所轄警察署について、それぞれ、ドローンの飛行に関する通報と届出をした。国土交通省については、DIPSでの通報と許可申請済。

 建物本体と、あとから増築した部分の取り合いが多くあり、地上からでは確認できない事。確認するにしても高所作業になる事から、今回はドローンによる動画撮影を選択し、発注者の了解を得られた。

 

 撮影されたMP4の動画が1ファイル約3分で平均3.5GB。合計23ファイル撮影され約70分弱。容量は73GB。

 全て見直したら 屋根の劣化状態や屋根の取り合い等地上からでは解らなかった事も判り、ドローン撮影は有用だった。

既存建築物の図面復元

 既存建物の遵法性調査やリノベーション、レイアウト変更を行う際、新築時の図面が全部または、一部しか残っていなかったり、当時の図面と異なっていることがある。

 不動産が流動化する時代では、既存建物の図面、図書等整備も資産価値を下げない一つの要素である。

 現状を実際に把握しないと方針は決まらない。とにかく図面がなければ次の展開には進められない。

 検査済証があろうが、無かろうが、既存建物を活用しようと思ったら「まず調査」から始めないといけない。実際には一度ならず追加調査が必要だったりする。そしてその調査の野帳は、自分だけでなく他人が判別できるものでなければならない。それには一定のレベルの人材による作業が必要である。

 実際の図面復元は、アナログの極致で平面・断面・立面の各部位を実測し野帳図に書き込み、写真や動画を撮影して、現在ではCADで作図する。図面の復元と言っても意匠、構造、設備、電気等 どこまで復元するかによって人手と費用は大きく変わる。

 

 上記の2枚の画像は、10年近く前だが木造家屋の調査で私が担当した断面野帳。フリーハンドでも、他の人が見て判りやすい野帳にする必要がある。

 もっとも最新鋭技術で、建物全体を3Dデータ化することで、3DCAD上で建築図面を再現することができるそうだ。まあ高額なので中々一般には普及しないとは思うが。

 一方で図面復元をしたことを、ことさら「すごいでしょう」と吹聴したり、過大評価する第三者がいたりするから世の中面白い。図面復元をしたことがない人達からしたら大変な業務なのかもしれないが、古民家や木造住宅、社寺仏閣のリノベーションの世界では当たり前の作業。

 筆者も学生時代から伝統建築物の調査や図面復元に関わっているので、汗をかきかき灼熱の天井裏で調べたり、狭くてかび臭い床下にもぐり調査したり大変な作業であることは間違いない(尚、最近は体積が多くなり過ぎたのと加齢のため、小屋裏、床下の調査があっても若い人にお願いしている)が、だからといって全体を指揮して調査し図面を復元するのは苦にはならない。

 現場に行くこと、汗をかく仕事を避ける設計者もいるようだが、古来より「現場に神宿る」と言われている。歳をとっても、それだけは譲れない。

耐震診断のための現場確認

鉄筋コンクリート造の既存建物の耐震診断をするにあたって、構造事務所と一緒に現場確認をした。

外部・内部の劣化調査は既に済ませてあるが、これから耐震診断のための「図面照合調査」(既存図面と現況の主として壁種別の確認、壁開口の大きさ確認、実測)をする為の下見。

耐震診断業務も調査から計算まで一貫して依頼出来る会社もあるが、現在弊社で検討している耐震補強設計の技術的難易度が高そうなので、対応できる構造事務所と弊社で手配する調査チームの共同業務にした。

RC壁でも写真のように上部にダクトが貫通していると右側部分は耐震壁として評価できず、左側のみの評価となる。現地調査をして図面に壁種別と開口寸法を記載していく調査。

屋上には、何のための基礎だったか良くわからない基礎が残っていたりする。こういう設備基礎の類も実測しなければならない。これを「屋上重量物調査」という。

建築・設備を含めた竣工図が残っていない既存建物、長い期間の間で更新されて変わってきた設備類の記録が整理・保管されていない既存建物は、まことに手間がかかる。

既存建築物の活用では、こうしたアナログ調査が不可欠で、身体を使い汗をかく。こういうところが敬遠される所以なのかもしれないと思うこの頃。まあ爺さんは楽しみながらやっているが。

既存建物の「負のオーラ」

 人間の場合、「負のオーラ」とは一般的に、「ネガティブな印象や雰囲気」のことを言います。 周囲に暗い雰囲気やマイナスな印象を与えてしまうので、負のオーラを放つ人は周囲からは敬遠されがちです。 考え方がネガティブな人は、負のオーラが出てしまうと言われています。


 既存建物も「負のオーラ」を放っているものがあります。それを感受するかどうかは個人差があります。


 そして、それらの多くは事故物件でもあります。既存建物調査の際に「事故履歴」が添付されてくるものがありますが、ほとんどが「事故履歴無し」と記載されてきます。

 しかし弊社では一応「大島てるの事故物件サイト」で確認をすることにしています。すると書類上は「事故履歴なし」という建物でも「自死」「殴殺」「焼死」「孤独死」「飛び降り自殺」等などがあったりします。

 既存建物から「負のオーラ」を感じる人は感受性の強い人、霊感のある人で、私は鈍感な方ですが、妻は霊感が強いので最近は既存建物の室内には極力入らないようにしています。

 鈍感な私でも今までいやだなと思った既存建物は幾つかあります。

 長年放置された地下室の照明が全くない空間。とある工場の用地取得でオーナーに同行した時、うっそうとした樹木の中に古い蔵と墓場があった。敷地内に墓場あるところは西日本では結構見られるが、「近づくな」と言われているように思ったこと。

まあ思い起こせば結構あるかな。

「負のオーラ」を感じたら「正のオーラ」を受容して中和しなければならない。

神社に御参りして清浄な空間に包まれるようにしています。



マムシ

既存建物の調査で、周囲が田であったり、川べり、農業水路がまわりにある立地がある。敷地の外周部を歩いて写真を撮っていると雑木林に「マムシ注意」と書かれていたころもあった。

敷地内でも草刈りをしていないと夏場は結構草も伸びるので藪となる。

受水槽やポンプ室まわり、浄化槽、敷地外周部なんかの周りは、草むらになっている事も多い。

聞くところによるとマムシの子育ての時期である8~10月はマムシも攻撃的になっていて特に用心が必要とか。

基本的にはこちらが近づきすぎない限りは向こうからは襲って来ないとは聞いたが、調査箇所が草むらに覆われていると入っていくのも躊躇する。

ということで、膝まである長靴を用意したのだが、今のところ出番はない。

地方巡業の旅 -10

今回は、地方巡業の旅の番外編・スピンアウト的な事を書いておく。

それは「兵站」(へいたん)について。

兵站は軍事用語で英語でMilitary Logisticsというのだが、戦闘地帯から見て後方の軍の諸活動・機関・諸施設を総称したもので戦争において作戦を行う部隊の移動と支援を計画し、また、実施する活動を指す用語。兵站には物資の配給や整備、兵員の展開や衛生、施設の構築や維持などが含まれるとされる。

既存建物調査も単体ならば、さほど頭を使う事はないが、地域が分散し複数の施設を調査し報告書を作成していく場合は、その移動方法、宿泊先、日帰り入浴先、食事、持参する調査道具や着替えなど、結構頭を使う。

以前は車の利用度合いが多かったが、最近は歳ともに公共交通機関+車という移動手段に変更した。

弊社の場合は「兵站」を総括しているのは妻で、公共交通機関で調査地点近くまで移動して車をレンタルする時間から、宿泊先となるホテルの選定、調査箇所への道筋、食事をする場所(出来るだけホテル)と詳細な実施要領が事前に提出される。しかも金銭の精算も一元化している。おかげで私は調査の事前調査と報告書作成に専念できる。

この「兵站」は、あまり重視されないかも知れないが、弊社が現在行っているエンジニアリングレポートの一部を支援する既存建物の劣化調査と遵法性調査においては、地域が分散した多数の調査対象を計画的に実行していくには欠かせないものとなっている。

仕事には思いがけない副産物もある。

ひとつの県でも、行った事がなかったところが圧倒的に多いし、その地域の雰囲気を垣間見ることができた。宿浜施設や日帰り入浴施設にも詳しくなった。こうして記録を残しておくと後々役に立つ事もある。

調査現場での衛生管理

多数の人間が集中して調査を行う現場には、業務調査責任者とは別に衛生全体を指導する衛生管理者を配置している。コロナ感染リスクは長期間継続すると思われるので、こうした衛生管理の徹底を図っていきたい。

上の写真は、さる調査現場で説明した厚生省手洗いの手指の2回洗いの推奨。手洗い前と手洗い後の細菌数の調査では、1回洗いだと50%程度しか減じないが、2回洗いで90%程度まで減じる調査データがあるそうです。

手洗いには、ミューズ石鹸、消毒液、手拭き用ぺーパー、アルコール綿、専用ゴミ袋等を配置した。

トイレ使用時の説明、人-物感染防止の徹底。共用トイレでの人-物感染リスクが高いらしいが、あまり重視されていないとのこと。

弊社では、所有していた無水エタノールに精製水を加え消毒用エタノールを作っている。無水エタノールも現在では価格が高騰。平時の5倍ぐらいになっている。

ゴムラテックス手袋の装着を推奨、使用済みマスクや手袋などは専用のゴミ袋を用意。マスクは一日に何度か取り換えるように推奨している。マスクの価格は落ち着いてきており、市場に出回りつつある。

ゴミは分別

超音波厚さ計

中国の計測器メーカー品の「超音波厚さ計」

あまり薄いものは測れませんが、安価だったので買ってみました

取説が英語版のみ

息子に訳してもらい操作方法を教えてもらいました

たぶん測定器の価格よりアルバイト代の方が高くつきそう

錆止め塗装を落としカップリング材を塗っているところ

鉄骨埋込柱脚部からコラムの板厚を計測してみました

作業をしているのは、今年21歳になるインターンシップのI君

UT検査でもコラムの板厚は計測できていたので

板厚は、12mmというところでしょうか

現地詳細調査 -4

荒川区町屋の鉄骨3階建て外壁・屋根ALC版t=100の建物・築27年

外壁劣化・屋上防水に際立つた損傷がなかったので、内部結露であろう。3階天井裏すなわち陸屋根屋上の下の鉄骨部に発錆が見られた。鉄骨造の建物では、鉄骨部の発錆は比較的よくある事象である。

恐らく天井裏に敷き込んだグラスウールt=50に保水し結露したものと思われる。鉄骨部材・材質調査を担当していた調査員が 簡単な温湿度測定を実施してくれたが、外気温と3階室内、3階天井裏では温度はほとんど変化がなかったが、3階天井裏の湿度は外気に比べて15%程高かった。

言われたことだけ自分の担当部分だけ調査するのではなく、常に建物全体を総合的に目を配る調査員になってくれれば調査員としては一流だ。

1階の西側外壁面の内壁の石膏ボードにカビが発生していた。これも壁体内結露だろうと推測できる。

こうした詳細調査を通じて既存建物の問題点が浮かび上がる。既存建物の温熱計算をして、断熱改修を検討する必要がありそうだ。

鉄骨の部材や材質の調査の為に天井点検口を設置し天井裏を覗いたのだが、鉄部の発錆から、その場で総合的に考えるのが大事だと思っている。調査が外注だと温湿度計で測る事などしてくれないだろう。調査員達で事象から意見交換を行い方向性を見出すことができた。

現場調査準備工事・荒川区町屋

昨晩 新千歳夜9時発の飛行機で東京に戻り、自宅に着いたのは少しばかり日が変わっていた。ちょっと疲れた。

今朝は、荒川区町屋の鉄骨造3階建ての検査済みの無い建物に、エレベーター等を増築するのと二世帯住宅にするために全面的に改装する計画の詳細現場調査の準備の立会。

都市住宅は、一方向だけ道路に接している場合が多く、他は建物と敷地境界との離隔距離が無い為、地面下の調査には苦労する。

予想通りではあるが、排水管と建物との間にはガス管が敷設されており、下部には水道管等が敷設されていた。この隙間でコンクリートコアを抜くことができるだろうか。コアが抜けなければシュミットハンマーで調査するしかないかなと思案する。

コアを抜く予定の他の二カ所は、スラブ配筋でコンクリートが厚かったので斫るのに苦労した。配筋はD13@200縦横だった。

地盤が悪い為に耐圧版なのだがコンクリートガラを粉砕した再生砂で埋め戻しし、よく転圧してからコンクリートスラブを打設していた。地中梁の施工状態も良好で、最初に施工された基礎工事会社はいい仕事をされている。

明日の、現場詳細調査の準備はできた。

現地詳細調査 -3

鉄骨の材質調査の為にサムスチールチェッカーを使ってみた。

物事は全て準備が必要で検査部分の錆止め塗装と黒皮をサンダーで除去した。

調査部分に測定用プローブを押し当てる。

メーターの針が赤い表示部分(SS400)を示している。

梁・柱・ダイヤフラムを検査する。

この建物の建設時期はSS材とSM材しか使っていなかった頃だからサムスチールチェッカーでも事足りるだろう。

最後に調査チーム全員に、サムスチールチェッカーを体験してもらった。

鉄骨の材質調査をしてくれる会社はそう多くない。まだビジネスにならないからだろうか。今回も弊社で測定器具をレンタルし、天井裏の狭い個所でサンダー掛けをしてから測定を行った。

時々、一級建築士だか職人だか わからなくなってくることがある。

塗装を落とすのに、紙やすりではかったるいので、サンダーと替え用品を購入した。ついでに電源コードのドラムを買い。脚立も買い。安全保護メガネや高性能防塵マスクも買ってしまった。それに養生関係の諸品や掃除用具も用意しなければならなくなった。

調査に来ている姿かたちからは、ただの職人にしか絶対見えないだろうな。

現地詳細調査 -2

現地詳細調査も物件の規模等に応じて調査チームを編成しないとならない。今回の八王子の場合は、重量鉄骨造2階建て200㎡以下と規模は小さいので、以下のように調査チームを編成した。規模が大きくなるとそれぞれの調査パートに補助員を付け研修する事もあるが今回は内部も狭いので調査員だけとした。

  • 内部実測調査 1人
  • 外部実測調査 1人
  • 外部劣化調査+傾斜測定+床高低差調査 1人
  • 鉄骨部材及び材質調査 1人
  • 統括(私)

以上5人の調査チームである。その他に非破壊・微破壊検査の方々

外部の実測調査を担当した人は 某会社の社長夫人で一級建築士。普段は主に住宅関係のリフォームの図面を書いているとか。今回が調査参加4回目なので補助員から調査員に昇格。

実測調査4回目ともなれば、こちらが調べて欲しいことをきちんと見ている。

Q  電気の分電盤の写真撮った?

A     撮りました。12回路です

Q    契約アンペアは?

A    45Aです。

Q    電柱の番号調べた?

A    写真撮りました

ふむふむ 成長著しい !(^^)!

建築ストックの業務では、既存の「調査」はかなり重要な要素。

いざ仕事が決まったから学生を集めるとか、他社の所員を借りるとか、調査に不慣れな人を人海戦術で というのでは いい調査にはならない。また一級建築士を持つていれば正確な調査ができるというものでもない。

調査をする人を常日頃 自社で養成しておくことが必要。ただし社員を増やせという意味ではない。どうやって優れた調査員を養成していくのかは課題でもある。

そんなことは調査会社に頼めばよいのだと言う人もいるだろうが、そう気にいる手頃な価格の調査会社は中々見つかるものではない。

それにアウトソーシングしていると、どうしても自分達で考える力が低下してしまう。

しかも特殊建築物の調査が出来る人はそう多くない。規模が大きくなると法令の知識が必要不可欠になる。しかも建築基準法に限れば現行法、改正の履歴、そして戦前の市街地建築物法についての知識も必要になるが、この事については又書く機会があると思う。

現地詳細調査 -1

4/18に掘削して露出した地中梁の配筋探査。白いチョークで書かれた線が鉄筋の位置で数字はかぶり厚さを示している。

下の方の穴が圧縮強度試験にかけるコンクリートコアを採取した穴で、上の方の穴は鉄筋の交差部で鉄筋の径を調べるために開けた穴。主筋D-22であることが確認できた。

無収縮モルタルで穴を埋めた。

埋め戻しは、私が行った。久しぶりに汗をかいた。今日の身体を使った労働はこの埋め戻しだけ。砕石とコンクリートの復旧は、増築工事をするときに一緒にしてもらおう。

自分で埋め戻しをしたので多少外注費を減ずることができた。家族で焼肉ぐらい食べれるかな。

三連休は、現地調査とディスクワーク

三連休初日は、現地調査の立会だった

基礎のコンクリートコアを採取する為に土間コンクリートを斫る

ベースプレートを確認する為、柱脚部のコンクリートを斫り、鉄筋を切る

 以上が2/10(土)

2/11(日)は、別件の調査レポートを一本完成させメールで納品。これまた別件の省エネ届は、最終図面に基づき修正をほどこし完成させてメールで納品。

2/12(月)は、土曜日に掘削しておいたところの基礎のコアを3箇所採取。

それでもって鉄骨の継ぎ手部分を確認。耐火被覆がケイ酸カルシウムt=25だったので簡単に除去でき、鉄骨の状態も吹付ロックウールの場合と異なり、きれいな状態で確認できる。既存図面通りで安心安心。

調査箇所を埋め戻し、掃除して完了。久しぶりに立ちっぱなしだったので足が疲れた。それにしても現場に来るのは年寄りばかりだが、こちらも歳を取ったので仕事の事、子供の事、孫の事等話題は尽きない。

三連休 現場来るのは 爺ばかり

12条5項報告の現地調査立ち合い

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豊島区に提出していた法12条5報告の豊島区建築課職員による現地調査の立ち合いをしました。

築26年の鉄骨造3階建ての建物です。1・2階がアパートで3階がオーナー住居ですが、3階住居専用のエレベーターを設置したいということでした。増築申請が必要ですが工事完了検査済証が無いということで、巡り巡って弊社に相談がありました。

確認申請の副本が保存されていた事、違反部分がなかった事、色々な書類が残っていたため豊島区と打合せさせていただいて構造関係の調査はせずに建築基準適合性状況調査を行い、法12条5項報告書を提出しました。

道路幅員の確認、隣地境界からの建物の離隔距離の確認、内外観の目視・計測等で現地確認をしてもらいました。私の目からみても問題のない建物でしたのでスムーズに現地調査は終了。弊社の提出した12条5項報告書は見本にしたいような体裁とお褒めの言葉をいただき、年甲斐もなくちょつとうれしかったです。

この案件は、調査だけでなく増築申請のための設計もお受けしましたので、珍しく図面も書いています。現地調査が終わり12条5項報告が決済になったら建築確認申請を豊島区に提出できるので、少しピッチをあげなくてはなりません。

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久しぶりに都内で調査

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雨の中、久しぶりに都内で既存建物の調査だった。

以前の所有者から新しい所有者に所有権が移行したばかりで、通電してないかと思っていたが、電気も水も開通済みだった。

鉄骨造3階建ての建物で、建築確認済証・検査済証のある事務所ビルを用途変更してフルリノベーションするプロジェクト。

デザイン事務所が設計・図面作成を行い、弊社が許認可・申請業務を全て行うという建築主も了解したコラボレーション。

既存不適格調書・現況調査書等を作成するために調査を行った。

3階に少し奥行きのあるバルコニーがあり、テーブルと椅子が置いてあった。執務の合間の息抜きやコミュニケーションの場として、こんな空間が少しでもあると仕事のクオリティーが高まるような気がする。

調査は、いつもながら階段を計測し、非常用照明を確認し、図面と現況との整合性を確認し、天井裏を各階覗いてきた。

都内だと車に調査道具一式が入ったハードキャリーと脚立を持って、気軽に二人で出かけられる。

硫酸ナトリウムの結晶成長によるコンクリート劣化現象

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とある鉄筋コンクリートのビルの地下室スラブで見付けた 硫酸ナトリウムの結晶とおもわれるもの。

硫酸ナトリウムは、火山国の日本列島の土壌に基本的に含まれているもので、その結晶成長は全国どこでもある現象なのだが、住宅医協会によると既存木造住宅の調査をした時に住宅の基礎でたまに見られると言う。

私が特殊建築物・鉄筋コンクリートの建物で硫酸ナトリウムの結晶成長を見たのは始めてだった。

硫酸ナトリウムは、一定の温湿度条件になると結晶化し、コンクリートをボロボロにするものだが、この建物ではスラブ表面が荒れている他に顕著な傷みは見られなかった。

どういう条件で硫酸塩が発生したのかということだが、私は、地下水位-1.8mでしかも海に近いという土壌・立地により室内の環境が整い発生したのではないかと考えている。

現地調査の為 建物に入ったとき とても湿度が高いと感じていたが、湿度も関係するのだろうか。

川口の古民家調査

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シルバーウィークの前、三日間の北九州出張から夜中に帰ってきて、翌日朝からの埼玉県川口市の古民家調査に参加した。

疲れていたが関東では古民家調査の機会が少ないので少し無理して調査に参加した。

(一社)住宅医協会の主催で、参加者14名の調査。

築約175年というから江戸時代後期・天保年代の建物と思われる。

上の写真は土間部分の豪壮な梁組。

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調査の担当は、矩形図の作成だったのだが、GLラインから天井までは自分で実測できるのだが、床下チームから基礎伏図、小屋裏チームから小屋伏図や高さ関係の野帳を見せてもらっての作図となる。

しかし この建物の小屋裏は中々複雑で、小屋梁と小屋束では芯ずれがあり調査・伏図の作成が難航していた。すべての作業が同時並行では矩形図の作成も中々まとまらず、夕方までにフリーハンドの矩形図が出来たのは梁間方向一断面だけだった。

日本の建築法制史を振り返る中で、近世民家のフィールドワークに参加して見聞きするのは欠かせない。というか文献読んでいるだけではわからないことが多い。

江戸時代には「三間梁規制」といって上屋の梁間は三間(約19.5尺)に制限されていた。寛永20年(1643年)「武家住宅法令」が定められ、明暦3年(1657年)に大名屋敷だけでなく町民屋敷へと規制は拡大されている。

しかし古民家を調べていくと実に色々な架構形式があり、三間梁規制を守りながらもあの手この手の工夫で架構方法を変えてながら大きな梁間の家を実現しようとしているのが見られて面白い。

約一か月後ぐらいには調査結果をまとめた検討会が開催されるらしいから、成果小屋伏図、架構図を見せてもらうのが楽しみだ。

文化住宅と建築法令

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3月8日の旧高田邸の詳細調査に参加して、築85年(1930年頃)の木造住宅としては、中々構造体はしっかりしていたのではないだろうかという感想を持った。

外部立面の採寸と立面図の作図が主要な担当だったので、他の調査者を時々覗く程度だったし、早計なことは言えない。詳しくは全体の調査資料が調査参加者に後で配布されるようだから、その調査資料をみてから再度検討してみたい。

この構造体の部材寸法、施工方法などは、大工さんの個別の経験的な裏付けに基づく技量によるものだろうか。あるいは 何らかの現在の建築基準法・施行令に規定されるような社会的な規定(定義・構造規定)があったものだろうか。

よく知られている事だが、現在の建築基準法(昭和25年法律第201号)の前は、市街地建築物法(大正8年・1919年公布)があった。それは建築基準法が定められる前に存在した「市街地における建築を規定する法律」であった。当時、国立市は東京府下なので、直接的にはこの建築法令の適用外となる。

木造の法的な規定(案)は、市街地建築物法(大正8年・1919年公布)ができる以前の、明治27年(1894年)の東京市建築條例案(東京市区改正委員会・妻木案)や、大正2年(1913年)東京市建築條例案(建築學會)に見ることができる。

明治39年に東京市長・尾崎行雄が建築學會に建築條例の作成を依頼して、6年半の歳月をかけて大正2年(1913年)に238条からなる東京市建築條例案(建築學會)と途中案4編、諸外国条令資料16種を東京市に提出した。

それが先に書いた大正2年(1913年)東京市建築條例案(建築學會)である。

そこには大正・戦前昭和の文化住宅と建築法令(構造規定等)についてのみならず、現在の建築基準法につながる規定が網羅されている。

例えば木造の構造関係の規定は、下記のような事が記載されている。

  • 土台は柱と同寸以上の角材で
  • 上下横架材距離に対する柱の小径の割合は、階を下るごとに増加
  • 柱の欠き取りは1/3まで、やむ得ない場合は鐵具を附加
  • 筋違を壁体に配布する
  • 小屋裏、天井上、床下が木造の時は換気孔を設ける
  • 柱は上下に大きな枘を有してはならない。
  • 等々

これらの規定は、「木造耐震家屋構造要領」(明治28年)、「家屋耐震構造要便」(大正4年・佐野利器)と類似しているものが多いと言われているので、大正2年(1913年)東京市建築條例案(建築學會)に規定されている木造の構造規定は、ある程度、業界内に普及していたのではないだろうか。というのは私の推論。

旧高田邸詳細調査

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国立市にある築85年の文化住宅・旧高田邸の詳細調査に参加してきた。既報のように国立市民等のプロジェクトに住宅医協会で協力する形で調査を行った。今日の調査には25人の参加とのこと。

無報酬の調査・ただし昼弁当、味噌汁、飲み物付き

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玄関アプローチ

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午前中は小雨、午後は雨は上がったが曇に覆われていた

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私は、採寸グループで東側立面図の作図を担当した。大まかな実測、矩形図等の他の採寸者と情報を突合せ、フリーハンドで1/50立面図を作図した。

採寸してわかった事だが、2階軒高が現代の木造住宅より1m近く高い。2階の軒の出が3尺、1階屋根の軒の出が2尺5寸ほどだった。

全体としてライト風な水平線を強調するデザインになっている。

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詳細は、住宅医協会のサイトで紹介されている。

http://sapj.or.jp/syousaichousa2015-45/

既存木造住宅の調査 -4

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築50年近い平屋の木造住宅の現況調査に参加した

外壁板張り、内部は漆喰の築50年近い部分と築40年ほど経過した増築部分とからなり、増築した部分あたりからの雨漏りが起きている住宅で、解体して建て直すと聞いた。

古い建物は下地が良くわからないことが多く、現在では当たり前のようにクロス下地は石膏ボードだが、塗り壁やらが混在しているとわかりづらい。

電気のスイッチプレートを外して下地の石膏ボートを確認しているのが上の写真。

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土台には檜が使用されていて、現況調査の段階では土台、基礎は 意外にも健全なようだった。

この後内装材等を撤去した後の劣化調査をしてみないとわからないが、残念ながら劣化調査に参加できない

増築部分からと思われる雨漏りに悩まされなかったら、この建物は もう少し長生きさせてあげられたのではないかと、帰路の電車の中で思った。

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壁、天井、床と断熱材が入っておらず、これではさすがに東京でも冬は寒かったはずだ。

床下は土で 温度12度、湿度39%だった。

既存木造住宅の調査 -3

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築50年弱の木造2階建て住宅

外壁は、懐かしきラワン羽目板(t=12)にオイルペイント塗り

塗膜があちこちはがれかかっている

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内壁を壊して、断熱材を取り除いた状態

ラワン羽目板はシミだらけだが 意外にも腐朽はあまり見られなかった

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外壁のラワン羽目板の内側には、防水シートのようなものは貼っていなく、羽目板の下はグラスウールが貼られていたが、写真のようにシミで黒ずみ、黴臭かった。

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床下は土のままなのだが、土台・基礎廻りの状態は健全で、一部柱材が蟻害にあっていただけだった。

この建物は解体され あらたな住宅が建てられるのだが、もう少し以前に、詳細な調査をして外壁・断熱関係をリニューアルしたら長寿命化できたのではないかという感想をもった。

勿論 設備関係の機器も年期がきているようには思ったが・・

調査も国土交通省のガイドラインに沿った程度のインスペクション。すなわち現在通常行われている調査で、このような建物の状況を把握できたかというと疑問があり、住宅医協会で行っているような詳細調査をしなければ、全体の状況を把握できなかったのではないかと思う。

松竹梅でたとえるなら、通常のインスペクションが「梅」で、住宅医協会の調査は「松」

 

既存木造住宅の調査 -2

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築32年木造平屋建て住宅の床下

大引き、束は、見てのとおり 白蟻でボロボロ

この家は、床暖房をしているゾーンのみが白蟻被害にあっていた。

床暖房部分の床構成は、室内側からカーペット、電気床暖パネル、合板、根太、床下部分に断熱材としてグラスウールが施工されていた。

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床下には、捨コンが施されていて床下温度が19度、湿度54%だった。思っていたよりドライ。

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床暖をしていないゾーンの床下の状態

ざっくり見たところ腐朽箇所や白蟻被害は見当たらない。

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床下に捨コンは一応しているようなのだが、端部は土が露わになっている。

この床暖をしていない和室の床下温度は21度、湿度60%だった。

床暖をしていない状態で温度も低く、湿度も低い床暖をしているゾーンが白蟻被害にあっている。

また北側の台所の床下は、もっと湿度が高かったのに床下に腐朽は見られなかった。

床暖房をつけた時に床下の温度が上昇しても、湿度はあまり高くならない状態が予想される。それが白蟻達の世界では ハワイのようなものだったのではないかと想像してみる。