私の建築設計の考え方は「コンテクスチュアリズムだね」と言われた。懐かしい言葉を聞いた。ポストモダニズムの影響を受け、その時代の中で設計活動をしていたから当然色濃く残っているのかもと思った。
コンテクスチュアリズムとは、敷地や周辺環境などの街区の形状や風景、歴史や文化などのコンテクストを重視する設計姿勢や設計思想のこと。
1950年に建築家ロバート・ヴェンチューリが「建築の構成におけるコンテクスト」と題する修士論文を執筆し、ゲシュタルト心理学におけるコンテクストの概念を建築に導入した。
1970年代後半、チャールズ・ジェンクスやロバート・スターンによりコンテクスチュアリズムはポストモダニズムのなかに位置づけられたが、文化的コンテクストに偏重した概念として理解され、また歴史主義などとともに受容されたために、ポストモダニズム建築への批判が強まるにつれてコンテクスチュアリズムも退潮していった。
でも21世紀になった現在の建築設計でもコンテクストの概念は多用されており、歴史保存やリノベーション、地域再生が重要なテーマとなっている現代においてその重要度は再評価するべきだと思う。
そういえばロバート・スターンは 今どうしているのかと思って調べた。たぶん若い人は知らないと思うし、日本ではあまり評価されていないから邦訳の著作も少ない。
Robert A. M. Stern Architectsという大きな組織事務所になっていた。
https://www.ramsa.com/
写真は、事務所のパートナーズによって設計された2023年のパラディオ賞を受賞したイェール大学のシュワルツマンセンター。
もう結構な御歳(80代前半)だと思ったら、1998年からイエールスクールオブアーキテクチャーの学部長を務めていると書いてある。まだ現役なのかな。
日本ではリノベーションはマイナーな仕事とされていて学会や業界の中での評価は低いけど、アメリカでは大規模なリノベション案件は多い上に、きちんと評価されてるように見える。