ミシガン州立大学が作った「透明ソーラーパネル」赤外線や紫外線といった、人間の目には見えない波長の光のみを吸収するので、透過する光の明るさは変わらないらしい。ビルや建物に使われている全てのガラスで発電できるようになったら、エネルギー問題は改善し、自立循環型社会に大きく舵を変える事ができそうだ。
カテゴリー: 自立循環型住宅
環境家計簿
住宅医スクール2014で岐阜県立森林文化アカデミーの辻先生から出されていた宿題「自宅の環境家計簿」の為に、過去の電気、上下水道、都市ガスのそれぞれの使用量と代金を調べていた。
領収書から概略把握できたのだが、東京電力と東京都水道局は、過去二年分の使用量と使用代金を知ることができるというので申込みをしていた。
今日、東京電力の「でんき家計簿」の登録が完了したということで早速過去二年分の使用量と代金を見てみたら、やはり8月と12月、1月、2月は群を抜いて高かった。
1階と2階半分が事務所、2階半分と3階を住まいとして使っているので統計上の標準家庭とは比較にはならないが、エネルギー消費は多い。
辻先生の宿題を提出するとそれぞれのエネルギーを用途分解するソフトを無料でいただけるとのこと。
そのソフトは、電気代なら照明と冷暖房、都市ガスなら給湯と調理というように分解して算出するものだそうだ。
住宅だけでなく改修設計をする場合「環境家計簿」を作成しておくと その建物のエネルギー上の問題点を把握できそうだ。
「環境家計簿」は、血液検査のようなものかな。
ヒートショックは、交通事故の3倍の危険度
住宅医スクール2014・第5回講義での岐阜県立森林文化アカデミーの辻準教授が話された「ヒートショックは、交通事故の3倍の危険度」には、ちと驚いた。
「建物性能と死亡者数」を比べた時
- 交通事故(H24) 4,411人
- 阪神大震災(耐震性能) 6,434人
- 熱中症(温熱性能) 727人
- 家庭内転倒(バリアフリー) 5,000人程度
- 火災(H24・防耐火性能) 1,015人程度
- ヒートショック(温熱性能) 17,000人程度
それぞれの原因が単体ではなく複合的な要因という事もあるかもしれないが、室内温度差によるヒートショックの死亡者が多いという事実には驚いた。
ヒートショック対策としては、生活空間全体を暖かくするための断熱性能の向上、トイレ・洗面・浴室に暖房設備を設置する等の対策が必要で、辻先生は「現代は、住まいは冬を旨とすべし!!」と強調されていた。
新築であれ、リノベであれ、建物の温熱環境・省エネについて説明責任が必要となっている時代。
見てくれだけでなく、性能をきちんと評価する眼を消費者は持ってほしいものだ。
「温熱環境の基礎~断熱と日射熱取得~」自立循環型住宅関東ゼミ2014
自立循環型住宅研究会・関東ゼミ2014の「温熱環境の基礎~断熱と日射熱取得~」に参加してきた。
講師は、岐阜県立森林文化アカデミーの辻充孝準教授。
H25年改正省エネ基準の断熱性能と日射熱取得の計算について具体的な計算方法を学び、結果分析から実務に活かす力を身に着けるのが目的というので、3時間勉強してきた。
講習会や本ではよくわからなかった事が、辻先生の実務者サイドに立った話を聞くことで整理することができ、一層理解が深まった。
とりわけ、H25年省エネ改正の躯体性能基準である外皮平均熱還流率の詳細計算法と簡略計算法による結果の比較は、とても参考になった。
エクセルやプログラムを導入すると早急に結果は導き出されるが、理解を深めるには手計算をしてみるのが一番早い。
申請は簡略計算法(従前の仕様規定にかわるもの)で行っても、設計実務は詳細計算法(性能規定)を行い検討した方が良い。簡略計算法では1割程度安全側になる。
審査側と設計実務者と両方の立場を経験してみると、それぞれの法に対する理解の深さが異なることがよくわかる。
与条件と結果だけでプロセスはブラックボックスとなっている天空率、日影、避難検証法等と同様に省エネ法も性能規定に振れてきた。審査機関側の審査体制づくりも中々大変だろう。
モデルの外壁断熱材を変更したときの外皮平均熱還流率(UA値)、熱損失係数(Q値)、外皮平均日射熱取得率(ηA値)、夏季日射取得係数(μ値)を計算して提出(MAIL)すると、辻先生の作成したサポートツールがもらえるという、異例の宿題があるゼミなのだが、そこがかえって良いことだと思った。
「自立循環型住宅への設計ガイドライン・入門編」講習会に参加してきた
4/24 「自立循環型住宅へのガイドライン・入門編」国土技術政策総合研究所・建築研究所監修の講習会に参加して来た。 「エネルギー消費50%削減を目指す住宅設計」として2005年(H17年)に発表されたガイドラインで、掲載されている情報は若干古かったが、講師の野地政宏さんの話は、実務者の側に寄り添った講義でとても有意義だった。
このガイドラインの技術的内容は、住宅金融支援機構のフラット35やエコポイント等で すでになじみのあるものが多かったが、住宅のパッシブデザインを検討する上では、とても参考になった。 建築の設計を進めていくうえで、エネルギーに関するシュミレーションツールを使いながらスタディするのは、あたりまえの時代になってきている。 野地さんは、スケッチアップを使った日照の内外部の3Dシュミ―レーションを見せてくれたが、日影図等の二次元的なものだけではなく、建築主にもわかりやすい3Dを使いこなすことが必要となるだろう。
住宅のパッシブデザインは、自然エネルギーを上手に利用していくということになる。 学生時代の民家の調査・研究から始まって、卒業時は「エネルギーと建築形態」というテーマを持っていたのだが、日常業務に追われ、いつかしか忘れていた。
3.11以降、「エネルギー」と「本当の豊かさ」について考えることが多い。
「死」を意識し始めた年齢になってきて、残された時間に何をテーマにしていくか模索中でもある。
もう、設計そのものの実務からは10年以上離れてしまったが、小さなパッシブデザインの住宅を設計し、できるだけ自分の手で施工してみたいという願いは捨てきれないでいる。
それにしても、たまの講習会に出席すると疲れる。
次回のゼミは「温熱環境の基礎~断熱と日射熱取得~」の計算方法を学ぶ。楽しみだ。