都会の空き家・附置住宅制度

東京の都心部などのオフィス街をはじめ、定住人口の減少に頭を悩ませるエリアにおける人口の定住確保と良質な住宅環境の整備のため、新たに建設されるビルなどを対象に、集合住宅などの付置を義務付ける取り決めが1990年代初頭頃から都内都心部の特別区で要綱として定められた。

「要綱」は法令による根拠はなく、地方自治体の基本的な又は重要な内部事務の取扱いについて定めたものであり法的な拘束力はない。しかし「住宅附置制度」等は、建築確認申請の事前協議対象としていることから実質的に建築基準法の関係規定として機能している。

それら要綱が定められてから四半世紀近い年月が経過した。

現在 都内都心部は、人口減少から一転して増加傾向にある。中央区等は人口が予想以上に増えすぎてインフラ整備が間に合わなくなっている。

この附置住宅制度、立地に関係なく敷地面積500㎡以上、延べ床面積3000㎡以上の新築建物に附置を指導したものだからホテルの上階に附置住宅があったり、事務所の上階に附置住宅があったりする。

最近幾つかの附置住宅がある建物の実情を聞いたところ「空き室」が多いことを知った。

附置住宅制度による住宅は、今はやりの民泊に転用することもできない。

空き家対策といっても附置住宅制度の実態調査など行われていないだろう。実際には、空き室もさることながら「飛ばし」も多いと聞く。附置住宅制度自体が時代遅れになってきているのではないか。

法律は、時代の後から明文化される。金科玉条のごとく「遵法性」を錦の御旗に振り上げているぐらいなら制度の見直しが必要ではないか常に考えていた方が良い。