改正・大気汚染防止法施行 間近

令和2年6⽉に⼤気汚染防⽌法の⼀部を改正する法律(改正法)が公布され、2021年(令和3年)4⽉1⽇(ただし、事前調査結果の報告については、令和4年4⽉1⽇)から施⾏されます。下記、環境省のホームページ参照。

http://www.env.go.jp/air/post_48.html

平成25年の改正から5年が経過し、施⾏状況の調査を⾏ったところ、これまでの規制対象ではなかった⽯綿含有建材について、不適切な除去を⾏えば⽯綿が⾶散することが明らかになりました。また、解体等⼯事前の建築物等への⽯綿含有建材の使⽤の有無の事前調査において⽯綿含有建材を⾒落とすことや、除去作業時に⽯綿含有建材の取り残しがあることにより、⼯事に伴い⽯綿が⾶散する事例があり、令和2年の一部改正に至ったようです。

改正法の概要は、次のとおりです。

  1. 規制対象を⽯綿含有成形板等を含む全ての⽯綿含有建材に拡⼤
  2. 事前調査の信頼性の確保(事前調査結果の報告義務)
  3. 隔離等をせずに吹付け⽯綿等の除去作業を⾏った者に対する直接罰の創設
  4. 不適切な作業の防⽌(作業結果の報告、記録の作成・保存の義務化)

石綿含有成形板等は、屋根・外壁・内壁・天井・床等に広く利用されている。
内装材(壁、天井): スレートボード、けい酸カルシウム板第1種、パルプセメント板、ロックウール吸音天井板
外装材(外壁、軒天): サイディング、スラグ石膏板、押出成形品(押出成形セメント板)、スレートボード、スレート波板
屋根材 : スレート波板、住宅屋根用化粧用スレート
床材 : ビニル床タイル、フロア材

床面積80㎡以上の解体工事が該当するので既存建物の改修等についても注意しなければならない。処分費が高くなるのは間違いないだろう。尚、事前調査は有資格者に依る。

土壌汚染対策法

先日、東池袋の造幣局跡地に出来た防災公園「IKE・ SUNPARK」と「としまキッズPARK」を見てきて思い出したのが「土壌汚染対策法」(土対法)

そう言えば この造幣局東京支局からは、「かつて貴金属地金を精製するために設置されていた製錬工場(昭和 44 年取り壊し)及び貨幣材料を溶解・鋳造・圧延するために設置されていた溶解工場(昭和 54 年取り壊し)の跡地周辺から、基準値を超えるセレンを含む土壌(最大で溶出量基準の 130 倍)及び地下水(最大で溶出量基準の 110 倍)が確認され、その他 2 箇所で水銀を含む土壌(最大で溶出量基準の 24 倍)、3 箇所で鉛を含む土壌(最大で含有量基準の最大 7.3 倍)が確認されました。」(平成 24 年 12 月 27 日・独立行政法人造幣局・「造幣局東京支局の土壌汚染自主調査の結果について」)

https://www.mint.go.jp/about/info/info_environment.html

この平成24年の自主調査のあと、平成28年12月から平成29年月に実施された土対法に基づく法定調査により基準値を超える有害物質が確認され平成29年5月22日に東京都から汚染が確認された範囲について「形質変更時要届出区域」に指定された。その後土壌汚染対策工事を行い2020年9月16日に指定解除されていた。

造幣局東京支局跡地の事を考えていたら、知人から新築する工場で設計事務所から「土対法の届出を工事着手30日前に建築工事施工者が提出してくださいと指示があったが、この届出は建築設計事務所がもっと以前に提出すべき代物ではないのか」という質問があった。

建築主が提出するものだが、プロジェクト全体のスケジュールに大きな影響を及ぼす重要な届出なので、誰が出すかは契約内容にもよるが、建築士なら知っておいて欲しい届出で、建物の設計事務所が単に知らなかったからではないかと意見を述べておいた。

そこで大規模な敷地、工場跡地に建築プロジェクトを計画する場合には、土壌汚染対策法に基づく「一定規模以上の土地の形質の変更届出書」の提出が必要。

・敷地面積3,000㎡以上の場合が対象

・建物を新築する場合でも「形質」の変更にあたり届出が必要。届出提出後に土壌調査命令の発出が判断される。

・新規に土地を購入する場合は、その敷地の過去の使用履歴をよく調べておく必要がある。特に工場跡地の場合や、既存工場内の場合、周辺が工業地帯の場合は、必ず地歴を確認する事

公害関係法令の概要

製造工場等の建設に伴う公害関係法令の概要

建築確認申請にリンクしてはいないが、着手前に届出を出しておかなければならない公害関係の書類は多々ある。環境系・化学的知識が必要な届出書類のため、一般的な行政書士等では対応ができないらしい。弊社では、担当した建築プロジェクトで該当する公害関係の届出書類をワン・ストップでサポートすることが多い。

上記は、クライアントに注意喚起の為に作成した公害関係法の概要である。個々の法律に関する詳細は、弊社に問い合わせいただきたい。


2020.01.06追記【土壌汚染対策対策法】

「一定規模以上の土地の形質の変更届出書」

・敷地面積3,000㎡以上の場合が対象

・建物を新築する場合でも「形質」の変更にあたり届出が必要。届出提出後に土壌調査命令の発出が判断される。

・新規に土地を購入する場合は、その敷地の過去の使用履歴をよく調べておく必要がある。特に工場跡地の場合や、既存工場内の場合、周辺が工業地帯の場合は、必ず地歴を確認する事。