堀口捨巳が晩年移築に関わった茶室「如庵」から、織田有楽斎の人となりをしりたくなり読んだ本。
織田 長益(おだ ながます)は、 織田信秀の十一男で、織田信長の13歳離れた異母弟。
変転きわまりない戦国の世に生まれ、織田・豊臣・徳川と交代激しい権力下を生き抜けたのはどうしてか。処世術にたけていただけなのか。あるいは茶の湯を通じて多くの東西の武将、禁裏、寺僧、数寄者と親交を持ち穏やかではあるが意思は強く、ときの権力に従う事はあつても、おもねる事がなかった。
この本は、当然ながらフィクションだが、織田有楽斎を通して戦国時代を俯瞰することができる。
また俗に「利休七哲」とも言われるが、利休だけが師ではなく利休の流れに根差しながらも少し距離を置いて、利休よりも寛ぎのある茶席を求めていたように思われる。
「如庵」「自ずから、然るべく、生きるが如し」
「如庵」は、織田有楽斎の最晩年の茶室である。
「それ茶の湯は客をもてなす道理を本意とする也」(織田有楽斎「茶道織有伝」)