あの黒川紀章が設計した集合住宅・中銀カプセルタワービルの前を通った。解体用に足場がかけられて準備が進んでいる。
1972年に完成した中銀カプセルタワービルを「雑誌・新建築」で見たのは、田舎の高校生の時だった。黒川紀章の建築が好きだつたわけではなかったが、この建物は衝撃的だった。
黒川紀章は情報化社会の主役になるのは「移動しながら仕事したり暮らしたりする人物像」と予言し、「ホモ・モーベンス(移動する人民)」と名付けた。
そして「ホモ・モーベンス」の家がカプセル建築だと宣言していた。コロナ禍でテレワークやワーケーションなど仕事がどこでもできて多拠点生活が現実になって、時代が黒川に追いついたと誰がが言っていた。
高速道路の反対側の歩道橋から眺めていたら、何だか哀しくなってきた。