杉並区 約4300の飲食店にCO2モニター無償配布

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220217/k10013489271000.html

NHKの報道によると、

東京 杉並区は感染対策に役立ててもらおうと、区内の飲食店およそ4300店を対象に、二酸化炭素濃度の測定器を無償で配布する取り組みを始めた。行政も、その気になれば出来るんだね。

既にCO2モニターを設置している店舗も散見するが、CO2モニターは室内換気レベルの指標になるし、あれば数値が気になる。数値が高くなれば自ずと換気をするようになる。店も客も安心できる。

厚生労働省から良好な換気状態の基準(正常値)として二酸化炭素濃度(CO2濃度)1,000ppm以下が提示されている。飲食店のみならず全ての事業所、住宅に設置した方が良いと思う。

詳しくは下記サイト

CO2モニター普及協会 (theshop.jp)

最新の知見に基づいたコロナ感染症対策を求める科学者の緊急声明

空気感染対策を求める科学者の緊急声明。


http://web.tohoku.ac.jp/hondou/stat/

対策が尽きてしまったと言うほどのことはなされていない。エアロゾル滞留濃度を下げることで感染抑止は可能なはずであり、少なくとも以下に挙げる2つ方向において対策の余地は大きい。

1)ウイルス対応マスクによる、口腔から空間に放出されるエアロゾルの量と、他者からのエアロゾル吸入の抑制。若者を中心に広く使われているポリウレタン製のマスクや布製のマスクは、直接下気道に吸い込まれ肺炎のリスクを高める粒子径5μm以下のエアロゾルの吸入阻止に無力である。

2)滞留するエアロゾルの機械換気による排出、エアロゾル濃度抑制
屋内で感染者から放出されたエアロゾルは長時間空間に滞留しうる。窓開けやドア開けが有用な換気方法だが、1時間に2回程度の短時間の窓やドアの開閉では必ずしも十分な換気は確保されない。

A)ウイルス対応マスク装着についての市民への速やかな周知と必要な制度的措置


B)熱交換換気装置や空気清浄機等の正しい選択と有効な活用についての行政の理解と市民一般への周知


C)最新の知見から有効と予想できる対策は、中立的組織による効果の検証を平行しつつ、公平性や安全性に配慮して実施する。

エアロゾルが主経路

新型コロナウイルスは、空気中を漂うエアロゾル(1ナノメートル=100万分の1ミリメートルから1マイクロメートル=1000万分の1ミリメートル程度の非常に小さな微粒子)を介した感染が主要な経路だという研究結果が台湾・米国・イスラエルの国際研究グループが米科学誌「サイエンス」(8/27付け)に発表した。

https://science.sciencemag.org/content/373/6558/eabd9149

新型コロナウイルスの感染は、何らかの表面に付着したウイルスの接触や、感染者が排出した大きな飛沫を吸い込んだためではなく、空気中を漂うエアロゾルを介した感染が最も可能性が高い伝搬経路であると結論づけている。

エアロゾルは飛沫より空気中に長くとどまり、非常に小さいため細い気管支や肺の奥まで移動して沈着することができるとあり、ウイルスは大きさが5マイクロメートル未満のエアロゾルに多く存在する言われています。

研究は換気の重要性を強調している

建築基準法施行令第20条の2第2号では、20m³/h・人
(成人男子が静かに座っている時のCO2排出量に基づいた必要換気量

空調・衛生工学会規格 HASS 102 1972では、30m³/h・人
(室内炭酸ガス許容濃度0.1%になるよう居室の必要換気量を算出)

厚生労働省では、ビル管理法における空気環境の調整に関する基準に適合していれば、必要換気量(一人あたり毎時30m³)を満たすことになると言っている。(厚生労働省:「換気の悪い密閉空間」を 改善するための換気の方法)

今後は、換気量が十分か否かの判断基準として「一人あたり毎時30m³」が最低限の目安となるかも知れない。

自然換気システム

自然換気システムは、外部風や室内外の温度差によって、室内よりも冷涼な外気を取り入れて、室内で発生した熱を排除することにより、室温を調節するとともに冷房負荷を削減する伝統的な技術である。

自然換気システムの省エネ効果への期待は高い。

現行の非住宅建築物の省エネルギー基準では、自然換気システムは評価対象外だが、現在、評価・設計法の開発が進んでいるので、いずれ技術的に確立し省エネ評価対象となるだろう。

自然換気の方法としては「温度差換気」と「風力換気」の二つがあり、これらを併用することでより大きな効果を発揮する。

温度差換気は,暖められた空気が軽くなって上昇する原理を利用するもので,「煙突効果」とも呼ばれている。主に階段室やアトリウム,吹抜けなど上下の連続した空間を活用する。

風力換気は,室内の異なった面の二つの窓を開放して行う換気と考えれば分かりやすい。季節風など一定方向の風を期待できる場合は風向に応じた「風の道」を設定し積極的に外気を取り入れるような建築計画にする。

写真はオイレスECO(株) : 定風量型自然換気装置「エコレーターER-f」

一定量以下の時はフラップが開放状態を保ち、外気を取り込みます。一定量以上の風が流入した際には、フラップが閉鎖方向に回転し、室内に取り込む外気の量を調整する。

突風や強風が吹き込んだ時は、風の圧力でフラップが閉鎖側に動きます。強風や雨の吹き込みが少ないので、閉め忘れた際にも安心です。ナイトパージ(夜間冷房)にも適している。

完全閉鎖を必要とする場合は、モーターの駆動力により、フラップを強制閉鎖することができる。

先進的な建物は、自然換気システムが積極的に採用されている。

1時間に5回転以上の換気能力があれば空気感染は防げる

「くらしみらい研究所が配信する建築情報チャンネル「建築ギ論」。
今回は「飲食店をクラスターにしない方法」と題して、実際の飲食店の換気状況を、建築エコノミストの森山高至氏と空調換気設備設計のプロフェッショナルである山田浩幸氏が現場で診断します。

診断の舞台は東京都武蔵野市にあるレンタルキッチンスペース「MIDOLINO_」さん。
まずは換気の状態を診断するため、建物に設置してある換気扇の能力や台数を調べ、実際に空気を吸い込む力を風速計を使って測ります

その結果「MIDOLINO_」さんは1時間に7回以上店内の空気が入れ換わっていることが判明。空気感染の予防に必要な換気回数、1時間に5回以上を上回る換気性能を有していると分かりました。

次に、新鮮な空気を取り入れるための給気を調査。窓や入口のドアをどれくらい開ければ給気の役割を果たせるかを計算しました。
その結果、高さ1800ミリ程度の建具であれば10センチ前後の窓開けで十分な換気が可能になると判窓開けを4カ所程度に分散すればもっと狭い窓開けでも給気口の役割を果たせるはずだと山田氏は断言します。

このように、飲食店の換気は多くの場合、換気の能力は十分あり窓開けもさほど必要ないことが分かりました。新型コロナウイルスの空気感染を防ぐための公式な換気指針が一日も早く策定され、飲食店が堂々と営業できるように、今後も「建築ギ論」はこの問題に取り組んでいきます。」

◆換気診断の問い合わせ先
ヤマダマシナリーオフィス
https://www.ymo-gbac.com/
(サイトのフォームよりお問い合わせください)

新型コロナウイルスの真換気対策

「くらしみらい研究所が配信する建築情報チャンネル「建築ギ論」。
今回は「新型コロナウイルスの真換気対策」と題して、いま本当に必要な飲食店の換気対策について、建築エコノミストの森山高至氏と空調換気設備設計のプロフェッショナルである山田浩幸氏が議論します。

新型コロナウイルス感染症が依然猛威を振るうなか、現在日本中の飲食店・店舗が営業の自粛あるいは営業時間の短縮を余儀なくされています。

しかし空調換気設計が専門の山田氏は、換気量が十分な店舗であれば少なくとも空気感染のリスクは現状でもかなり低いはずで、飲食店の営業を一律に制限する政策には大いに疑問があると指摘します。

また、現在国が換気の指針として示す「一人あたり30㎥/h」の換気量は、本来感染予防対策とはまったく関係のない数値で、この基準を遵守しても新型コロナウイルスの空気感染は予防できないのでは?と疑問を呈します。

さらに、森山氏は結核感染の研究がコロナ対策にも生かせるはずだとして、コロナの感染予防に必要な本当の換気指針の早急な策定を提言します。」

換気・換気・換気

北里大学 感染制御研究センター長・花木秀明先生のところで知った情報。

飲食店でのエアコンによる気流の流れを分析したデーター。

真ん中の10人掛けのテーブルの奥の方が陽性者。下流にあたる4人掛けのテーブルの4人中3人が感染し、壁に当たった気流が逆流することで7人掛けのテーブルの7人中2人が感染しています。

感染対策はすぐに落ちる飛沫と空気感染を考慮した換気・気流対策が重要だと言う事が理解できる。

元論文はこれ↓

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0360132321001955?via%3Dihub#appsec4

花木秀明・北里大学 感染制御研究センター長、感染創薬学教授、 感染症専門の基礎科学者

https://kitasato-infection-control.info/

飲食店に時短要請で補助金を出すよりも、強力な換気扇の設置費用を補助するコロナ感染リフォームの方が効果的。空気感染対策には換気が最も重要だと思う。

換気の「見える化」

新型コロナウイルスの感染経路として、空気中を浮遊する微粒子(エアロゾル)によるものがあり、そのリスク低減のためには換気をするのが基本です。その換気の状況を「見える化」し換気の目安を計算した産業技術総合研究所の首席研究員、原史郎さんの研究成果が興味深い。

内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室のサイトに、その研究成果が発表されている。オフイス、食堂・レストラン、ディービス、スポーツジム、カラオケ、住宅でCO2濃度を測定し換気の目安を計算している。

https://www.covid19-ai.jp/ja-jp/organization/aist/articles/article001

住宅については2003年以降に建てられたものは24時間換気システムが法的に義務付けられているので換気口の掃除と窓開け換気の併用が有効なようだ。

『住宅でのCO2測定
24時間換気対応換気口を備えた個人住宅では、寝室に2名で就寝すると、朝には1,000ppmを超えるようになる。ただし、その値が直に不健康を意味するわけではない。
換気口を掃除すると、CO2の排出効果が促進される。本例では、昨年度末の大掃除から11ケ月経過後に換気口の掃除を実施したところ、換気効率は、1割程度回復。
朝起床後などに適宜窓を開けると、5分でCO2濃度は半減する。
基本的に、各部屋は【空気の屋外排出】の向きにファンが取り付けられており、他の部屋とは空気の流れでは独立である。しかし、リビング、ダイニング、廊下は気流の上流側であり、感染者が出た場合感染者との動線が交差しないように注意が必要。』

原さんの研究のまとめは、

『CO2測定で、どのような人数でも、換気状況が明快にわかる。
典型的なそれぞれのシーンにおいて、本研究結果で示された換気対策を施すことで、CO2濃度を建築基準法で定める1,000ppmに抑える運営が可能。
ただし、個別事例で部屋の換気性能はまちまち。より安全に換気対策を施すには、CO2センサーを用いて、常時測定することで、数値に基づく換気の運営が可能になり、間欠換気などを適切に実施できる。
換気程度がわからない場合でも、冬はその分暖房を強めるなどして、少しでも多く窓を開けるなどして外気取り込みを多くすることが効果的。
CO2測定は、あくまで浮遊微粒子の換気状況を明らかにするもの。近接飛沫対策(マスク、衝立、ソーシャルディスタンス)と媒介対策(手洗い、消毒)は併せて必ず行わなければならない。』

悩むのは、どのぐらいの仕様のCO2測定器が必要かと言う事、アウトドアでは、テントや車中泊の場合CO2測定器を購入した方が良いと言われている。その場合は安価なCO2測定器で充分なのだが、建築室内の場合は、事務室とか会議室とか部屋別に設置して管理したほうが良いのか。そういえば工場等で従来から環境要因を見える化するシステムがあったはずと思い、検索したら見つけた。熱中症対策の温度湿度計測、二酸化炭素濃度の計測「CO2れんら君」。

https://nke.co.jp/ec/network/renra/n0028.html

もうひとつ悩むのは、そもそもの「外気の質」。昨年からマルチワークスペースに取り組んでいたので、都心部、都心郊外、東京から100kmぐらい離れた田園地帯とそれぞれの地域環境で外気の質がこんなにも違うものかと実感していた。具体的には山手線内側とさいたま市と千葉県の三里塚、三カ所比較しても全然外気の質が異なる。勿論温度、湿度も同時間でも異なるはずだ。ただ科学的に外気を計測したわけではないが、その置かれた地域環境で対応は異なるのではないだろうか。