1階が鉄筋コンクリート造、2階・3階が木造の建築物は、平成19年5月18日に国交省告示第593号第4号(最終改正・令和元年6月25日告示第203号)により、RC部分も木造部分も許容応力度計算が必要となった。
【H19国交省告示第593号第4号の概要】
・地階を除く階数が2又は3であり、かつ、1階部分を鉄筋コンクリート造とし、2階以上の部分を木造としたもの
・高さが13メートル以下で、かつ、軒の高さが9メートル以下であるもの
・延べ面積が500平方メートル以内であるもの
【構造計算の概要】
・RC部分は壁量の確認が必要となり木造部分、RC(WRC)造部分ともにルート2-1相当の構造計算が必要となる
・木造部分の軸組計算
・木造部分の許容応力度計算(2階以上の剛性率6/10以上、2・3階の偏心率15/100以下の確認)
・RC部分の許容応力度計算(1階の偏心率15/100以下の確認)
以上をすべて満たさない場合は、構造適判対象となる。
まあ、新築ならばこの基準で構わない。これから建築するのだから。
H19年の告示以前は、このような混構造の建物はどう扱ってきたかというと、RC部分は許容応力度計算だが、2階・3階は、法6条第4号建物とし軸組計算による筋違を配置して来た。
こうした都心ではどこにもあるような建物が、増築をしたいと思った時、混構造は法第6条第3項建物となり、一体増築の場合は、上記のように全体を許容応力度計算を行い安全性を確認しなければならい。
RC部分が地階だからと安心する事なかれ、建築基準法施行令第1条ニ号の「地階」と構造上の地階は異なるのだ。構造上の地階・地上階の判定は、地盤面かの外周囲が地階全周囲の75%以上かどうかを計算し確認しなければならず、結構地上階扱いとなることが多い。
こうした混構造の建物を増築する場合、大概は内部スケルトンリフォームとなる場合が多い。耐力壁が不足していることが多いので筋違や構造用面材で耐力壁を増やす。2階床の剛性を高めるために床を張りかえる必要がある ということは壁も天井も壊さざるをえなくなり、結果として内部スケルトンリフォーム。場合によっては外壁もということになり既存部分に改修工事が波及するので 改修工事費が嵩んでくる。
もともと長い事 混構造の取扱いはRCと木造は別物としてきたのだし、構造性状は異なるのだから、せめて既存建築物は告示第593号の適用は再検討して欲しい。既存ストックの活用というのなら、こうした細部の規定も見直し緩和をして欲しいと思う。