0.75kW

建築基準法でよく拝見する「原動機の出力0.75kW」。法令関係の試験でも出てきますが、なにげなく使っている0.75kWを超えるか超えないかという規定。物理で習った1馬力ともちと違う。??と思っていた。

戦前の建物の構造強度の規定について調べていて、市街地建築物法関係を読んでいたら原動機の出力について触れている箇所がいくつもあった。

例えば

大正九年勅令第四百三十八號
市街地建築物法施行令【昭和十四年一月九日改正(勅令第十一號)】

第一條 建築物左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ住居地域内ニ之ヲ建築スルコトヲ得ズ 但シ第一號乃至第四號ニ該當スル建築物ニシテ行政官廳住居ノ安寧ヲ害スル虞ナシト認ムルモノ又ハ公益上已ムヲ得ズト認ムルモノハ此ノ限ニ在ラズ 
左の各号の一に該当する建築物は、住居地域内に建築することはできない。 ただし、第一号から第四号に該当する建築物で行政官庁が住居の安寧を害するおそれはないと認めたもの、または公益上やむをえないと認めたものはこの限りではない。 
一 常時使用スル原動機馬力數ノ合計三ヲ超過スル工場 
常時使用する原動機の馬力数の合計が3を超える工場。 

ということで「原動機の出力0.75kW」ではなく「原動機の馬力数」というような規定だったようだ。

 馬力(ばりき)とは仕事率、工率の単位である。元々は馬一頭の持つ力を1馬力と定めたもので、ヤード・ポンド法に基づく英馬力、メートル法に基づく仏馬力などがある。

1英馬力は約745.700ワット。イギリスの法令上の正確な換算値は、1英馬力 = (正確に)745.699 871 582 270 22 ワットである。

1仏馬力は 735.498 75 ワット。ただし、日本の計量法では、1仏馬力= (正確に)735.5 ワットである(計量単位令第11条第2項)。

日本の旧計量法では、1馬力は英馬力とも仏馬力とも違う750ワットとしていたのが、現在の建築基準法の「0.75kW」の源泉のようだ。