プライオリティー(priority) ・・・1

【遵法性調査における調査対象物の選定・・・1  検査済証があるか?】

既存建築物の遵法性調査において調査対象が多数ある場合、どういう優先順位(プライオリティー・priority)で調査対象を決めるべきか。

まずは、その建物(あるいは入居しているビル)が、建築確認申請の確認済証を取得しているか、工事完了検査済証を取得しているかという事を調査し仕分けする必要がある。

このことは、遵法性調査に限らず、増築・用途変更・大規模修繕などの場合は、大前提である。

工事完了検査済証があれば既存不適格建築物であり、なければ違反建築物である。

弊社の全国的調査では、既存建築物の半数以上の建物が工事完了検査済証を取得していない違反建築物である。

H12年法改正以降はかなり改善されてきている。

「ストック活用」と言っても、違反建築物を増築・用途変更・大規模修繕することはできない。

違反建築物に違反的内装工事を積み上げている重度な物件もある。

検査済証のない建物の法適合調査を行い適合していれば既存不適格建築物として扱うという事例も増えてきたが、それらを認めていない。あるいは事実上厳しく制限している特定行政庁もあり、またその調査方法論も弊社でも毎回試行錯誤の最中である。

昨今は、賃貸借契約にあたってテナント側から検査済証の有無確認や用途変更確認申請の必要をオーナーに問うところが増えており、コンプライアンス意識が社会的に向上してきている。

今日では、検査済証の無い建物は不動産としての価値(価格)は著しく低いものになる。