「空間デザインと建築法令」1-(1)-c
- 1873年(明治6年) 神奈川県「家作建方条目」公布
- 1886年(明治19年) 大阪府「長屋建築規則」公布
- 1886年(明治19年) 滋賀県「家屋建築規則」公布
- 1886年(明治20年) 群馬県「長屋建築規則」公布
- 1905年(明治38年) 佐野利器 : 台湾地震震害報告会講演
- 1906年(明治39年) サンフランシスコ地震(推定M7.8)
- 1906年(明治39年) 東京市長尾崎行雄が建築学会に東京市建築條令作成を依頼し起草委員会ができる
- 1907年(明治40年) 東京市建築條令第一回草案、これ以降1913年(大正2年)終結まで5回起案
佐野利器:明治44年2月より大正3年4月までドイツ留学
- 1909年(明治42年) 大阪府建築取締規則公布
- 1912年(明治45年) 兵庫県建築取締規則公布
- 1913年(大正2年) 東京市建築条令成案
- 1915年(大正4年) 佐野利器「家屋耐震構造論」博士学位論文
- 1918年(大正7年) 東京府建築取締規則案(警視庁)
- 1919年(大正8年) 大連市建築規則
- 1919年(大正8年) 市街地建築物法公布
- 1919年(大正8年) 都市計画法(旧法)公布(用途地域3種)
- 1920年(大正9年) 市街地建築物法施行令・施行規則改正
- 1923年(大正12年) 関東大震災
- 1924年(大正13年) 市街地建築物法施行規則改正(構造規則の改正、耐震計算義務化、震度法による水平震度k=0.1明記)
- 1946年(昭和21年) 特別都市計画法公布
- 1946年(昭和21年) 建築法草案(戦災復興院建築局)
- 1947年(昭和22年) 消防法公布
- 1949年(昭和24年) 建設業法公布
- 1950年(昭和25年) 建築基準法公布
1950年(昭和25年)の建築基準法の公布まで、大地震の視察や経験、研究の成果を反映して明治以降様々な建築法や案が作られ、ひとつの法律として収斂されてきたことがわかる。
現行法の原形ともいえる構造規定が東京市建築條令(学会案)に生まれている。例えば柱の小径規定、煉瓦造の壁長制限、算出式、材料強度や荷重等の数値規定がすでに盛り込まれている。
人物として佐野利器さんの業績は偉大だと思った。
今年3月に築85年の文化住宅を調査したが、筋違・ボルトがあり大正期の近代法規(案)の影響があったことを知った。
また現行法令の根拠を考えていると、結局その源泉は、古い法律やその案に見出すことができる。近代以前は、近世・江戸時代の建築規制の影響を見過ごすわけにはいかない思う。
昨年、京町屋について学ぶ機会があったが、京町屋の定義として「昭和25年に建築基準法が制定される以前の京都の木造住宅」あるいは「京都の町屋だから京町屋」という考えには違和感を覚えた。
江戸時代の規制がなくなった後の影響、大正期の近代法規の影響もあるし、全国的にみても際立った特徴があるわけでもなく、ただただ空襲が少なく古い木造住宅が残っているだけではないかと思っている。