「雪あかり日記/せせらぎ日記」谷口吉郎著

雪あかり日記せせらぎ日記
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東北大学教授の五十嵐太郎さんが日経アーキテクチュア誌で推薦していた「今こそ読みたい名著01」「雪あかり日記/せせらぎ日記」(谷口吉郎著)を読みました。

1938年、アドルフ・ヒトラーの指揮の下、第三帝国へと都市計画の進むベルリン。若き日の谷口吉郎さんは、日本大使館の改築監督のため赴任しました。ナチスによって大規模な反ユダヤ攻撃がドイツ各地で起きたいわゆる「水晶の夜」に「うすら寒く、鉛色の空」のベルリンに到着します。それからナチスのポーランド侵攻、独ソ不可侵条約締結の4日後に陸路ノルウェーへ出国、日本へ向かう船で英仏の対独宣戦布告の報を聞くまでの1年弱の激動する政治社会情勢のもとで欧州の建築、人々の暮らしが描かれています。

 このように歴史の転換点の目撃談としても貴重な記録です。谷口吉郎さんの本はあまり読んだことが無かったのですが、谷口吉郎さんの豊かな教養と建築知識に裏付けられた文章は読みやすかつたです。
建築については、19世紀のドイツの建築家・シンケル(カール・フリードリッヒ・シンケル)に関する記述が多く勉強になりました。シンケルの建築は、ギリシア建築を源泉とする新古典主義建築ですが、ベルリン旧博物館・アルテス・ムゼウム(Altes Museum)にも見られる幾何学的、厳格で端正なデザインはモダニズム建築の美学に通じる言われています。
ベルリンは訪れたことがないので、現存しているシンケルの建築に触れてみたいと思っています。