「一の建築物(一棟性)」

建築基準法では「一の建築物(一棟性)」についての明確な規定がないが以下の判例がある。

「東京地方裁判所 判決 平成11年行ウ第156号」

「『一の建築物』とは、外観上分離されておらず、また、構造上も外壁、床、天井、屋根といった建築物の主な構造部分が一体として連結し、あるいは密接な関係を持って接続しているものを指すと解すべき」

「東京地方裁判所 判決 平成18年行ウ第482号」

「社会通念に照らし、構造上、外観上及び機能上の各面を総合的に判断して、一体性があると認められる建築物は『一の建築物』に当たると解するのが相当」

日本建築行政会議では、平成14年に全国の行政・指定確認検査機関にアンケート調査を実施して以来検討を重ねて、平成21年(2009年)の日本建築行政会議全国会議の「部会検討結果報告」に整理された。

「基準総則部会報告」の最初に、「一の建築物(一棟性)に係る検討」が記載されている。

その中の「取り扱い案」の一部を紹介すると

【一の建築物とする判断要件】

複数の建築物が用途、床面積の発生する部分で接続し、外観(形態)上、構造上、機能上接続している場合、一の建築物と判断する。

外観(形態)上、構造上、機能上については、以下の要件が考えられる。
1.外観(形態)上一体であるとは、どの方向(目視の可否にかかわらず)から見ても物理的に一体をなし、一棟と判断できる十分な接続をもつもの。
2.構造上(構造耐力に関わらず)一体であるとは、床又は壁を共有(EXP.Jの有無に関わらず)し、一棟と判断できる十分な接続をもつもの。(当要件にかかわらず、主要構造部を共有し構造計算上一体のものは一棟)
3.機能上一体であるとは、接続していなければいずれの建築物に必要な機能(避難上、運営上など)を満足しない部分が生じるもの。

とし、具体的な判断事例として四つのタイプをあげている。

外観上、機能上一体ではあるが別の棟として判断できる場合として、「部分として構造を異にする建築物の棟の解釈について」(昭和26年建設省住防発第14号)がある。

 

デザイン化された耐震補強

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写真は、紀尾井町パークビル・1976年に建てられた旧耐震基準の10階建てSRC、RCのオフィスビル。

テナントビルなので建物内部に一切補強工事をしない。内部は使いながら施工する為に、アウトフレームグリッド工法(鉄骨造外付耐震架構)を採用している。

単に耐震性能を満たすだけでなく耐震補強材によって建物の新しい顔を出現させている。

  • 設計監理:(株)プランテック総合計画事務所
  • 施工:(株)安藤・間
  • 工期:2013年5月14日~2014年8月29日

「外付け耐震補強」は、新しい補強方法ではない。テナントが入居したままの補強工事が可能なこと、意匠性に配慮したい建物などの場合に、これまでも事例がある。

例えば「宮田商店伏見ビル」(愛知県名古屋市)

  • 改修監理:(株)佐藤総合計画
  • 施工:五洋建設(株)
  • 工期:2006年竣工

ただしデザイン的完成度で言えば紀尾井町パークビル。

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上の写真は、四国銀行本店(高知市)の耐震改修後の写真で縦格子鋼板耐震壁が採用されている。

t=25のフラットバー格子とt=10のパネル材が市松に配置されている。開口率が50%なので採光も確保できている。

  • 改修監理:(株)現代建築計画事務所、大成建設一級建築士事務所
  • 施工:大成建設(株)四国支店
  • 改修施工:2007年

この縦格子鋼板耐震壁は、大成建設が特許を取得している。

私も欲しい ドローン・ファントム

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首相官邸を偵察したり襲うわけではありませんが、以前からアマゾンのほしいものリストに入れていたドローン・ファントム。

純粋に既存建物の調査=外壁の劣化調査に使えそうだなあと思い、調べてました。住宅だと屋根の現況調査なんかにも使えそうです。このファントムは17万円程度なので手の届きそうな金額かつ業務にも使えそうな機種です。勿論 もっと本格的な高性能のドローンもあります。

ラジコンヘリで遊んでいる知人にドローン・ファントムはどうよと聞いてみたら、操作のなれないうちは1台や2台は壊すので、3台分は予算を組む必要がある。

飛行時間が短いから予備バッテリーや予備羽根まで購入する必要がある。あと墜落して人や車に損害を与える事もあるから損害保険も加入した方が良い。と何だかんだと諸費用を合わせると個人事務所の設備投資としては結構な金額に。

投資対効果がわからず購入は躊躇してました。

でも、誰かどこかの会社では採用するのでしょうね建物調査にドローン。

ところで首相官邸のドローンの目的は何だと思うと聞いてみたら、「あんなの遊び」「その気だったら昔からラジコンに武器を装備して襲撃できる」とのこと。それもそうだ・・・

建築関連法規の変遷・明治から昭和25年まで

「空間デザインと建築法令」1-(1)-c

  • 1873年(明治6年) 神奈川県「家作建方条目」公布
  • 1886年(明治19年) 大阪府「長屋建築規則」公布
  • 1886年(明治19年) 滋賀県「家屋建築規則」公布
  • 1886年(明治20年) 群馬県「長屋建築規則」公布
  • 1905年(明治38年) 佐野利器 : 台湾地震震害報告会講演
  • 1906年(明治39年) サンフランシスコ地震(推定M7.8)
  • 1906年(明治39年)   東京市長尾崎行雄が建築学会に東京市建築條令作成を依頼し起草委員会ができる
  • 1907年(明治40年)   東京市建築條令第一回草案、これ以降1913年(大正2年)終結まで5回起案

佐野利器:明治44年2月より大正3年4月までドイツ留学

  • 1909年(明治42年) 大阪府建築取締規則公布
  • 1912年(明治45年) 兵庫県建築取締規則公布
  • 1913年(大正2年) 東京市建築条令成案
  • 1915年(大正4年) 佐野利器「家屋耐震構造論」博士学位論文
  • 1918年(大正7年) 東京府建築取締規則案(警視庁)
  • 1919年(大正8年) 大連市建築規則
  • 1919年(大正8年) 市街地建築物法公布
  • 1919年(大正8年) 都市計画法(旧法)公布(用途地域3種)
  • 1920年(大正9年) 市街地建築物法施行令・施行規則改正
  • 1923年(大正12年) 関東大震災
  • 1924年(大正13年)  市街地建築物法施行規則改正(構造規則の改正、耐震計算義務化、震度法による水平震度k=0.1明記)
  • 1946年(昭和21年)  特別都市計画法公布
  • 1946年(昭和21年) 建築法草案(戦災復興院建築局)
  • 1947年(昭和22年)  消防法公布
  • 1949年(昭和24年)  建設業法公布
  • 1950年(昭和25年)  建築基準法公布

1950年(昭和25年)の建築基準法の公布まで、大地震の視察や経験、研究の成果を反映して明治以降様々な建築法や案が作られ、ひとつの法律として収斂されてきたことがわかる。

現行法の原形ともいえる構造規定が東京市建築條令(学会案)に生まれている。例えば柱の小径規定、煉瓦造の壁長制限、算出式、材料強度や荷重等の数値規定がすでに盛り込まれている。

人物として佐野利器さんの業績は偉大だと思った。

今年3月に築85年の文化住宅を調査したが、筋違・ボルトがあり大正期の近代法規(案)の影響があったことを知った。

また現行法令の根拠を考えていると、結局その源泉は、古い法律やその案に見出すことができる。近代以前は、近世・江戸時代の建築規制の影響を見過ごすわけにはいかない思う。

昨年、京町屋について学ぶ機会があったが、京町屋の定義として「昭和25年に建築基準法が制定される以前の京都の木造住宅」あるいは「京都の町屋だから京町屋」という考えには違和感を覚えた。

江戸時代の規制がなくなった後の影響、大正期の近代法規の影響もあるし、全国的にみても際立った特徴があるわけでもなく、ただただ空襲が少なく古い木造住宅が残っているだけではないかと思っている。

「住宅医スクール2015」の薦め

住宅医スクールは、「木造建築病理学」を基本にして、既存住宅の調査・診断から改修設計・施工に至るまでの実践的な手法を、実務者が学ぶためのスクールです。

私も「住宅医スクール2014」の全講座(24回)を終了しました。

私の場合は、木造住宅には業務としてほとんど関わっていないので  すぐ実務に役立たせるというつもりで講座を受講したわけではありませんが、既存木造について体系的に学ぶことができました。

木造住宅に限らず個々に多種多様な経年変化がある既存建物の改修に際しては、多様かつ柔軟な対応が求められます。調査・診断や改修設計・施工の技術は、まだ発展途上でもあります。

一般社団法人 住宅医協会になって二年目のスクールですが、講座の内容も収斂されてきています。関東では実践力を鍛える機会がなかったのが残念ですが、国総研の既存住宅調査のお手伝いの機会を得たことはとても有意義でした。

木造住宅に実務としてかかわっている人達は、1日講習を受けるぐらいでもらえるような資格よりも、住宅医スクールのようにじっくり1年間かけて体系的に学ぶ方が、基礎的な力が養われます。

リテラシー力といいましょうか、「何らかの表現されたものを適切に理解・解釈・分析・記述し、改めて表現する」こと。自分の頭で考えることが現場では必要です。

住宅医スクールについて、個人的な意見を加えるならば

  • 関東では住宅調査診断の機会・実践力を養う場をどうつくるか。
  • 研究者の話しよりアカデミックな視点を持つ実務者の話しの方が実践的で役立つ。つまり面白い。
  • 木造住宅・マンション専有部改修だけでは、実務の幅を狭めていないか。もったいない。

私は住宅医スクールを通じて学んだことで、これまでの遵法性調査・法適合性調査・デューデリ等の他に、省エネや大規模木造建築物に業務範囲が広がりました。

既存木造住宅の調査・診断・改修設計に関心がある方は、下記のリンクから住宅医協会を知り、住宅医スクールに参加してください。

http://sapj.or.jp/

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メトロ東西線・神楽坂駅(矢来町側)を出た、交差点に「la kagu」はある。昨年の秋にオープンした商業施設

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建物は、昭和40年代に建てられた新潮社の倉庫で波型スレートの外壁はそのまま。ずっと前から神楽坂のにぎわいにはそぐわない一画だったけど、隈さんが言う波型スレートの外観が神楽坂の街に根付いた景観要素だとは思えない。

隈研吾さんは神楽坂に住んでいるから、そう思ってしまうのだろうか。

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古いということと、汚いというのは異なる。

人も建物も、老いたるものの身だしなみには 気を使いたいものだ。

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駐車場側からの写真だが、1階店舗への入り口もある

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エレベーターホール

波型スレートの内側は、木毛セメント版が下張りされていた。

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2階店舗・品揃えは少ない、良さそうなものはおいてあるが値段は高い。

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この建物を特徴づけているウッドデッキと2階にあがる大階段

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キュレーターショップというのだが、商業的に成り立っているのかなぁ~

戦時統制下の住宅 : 旧前川圀男邸

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東京小金井の江戸東京たてもの園にある、建築家・故前川圀男氏の「自邸」。 旧所在地は、東京都品川区上大崎(現在のJR目黒駅に近い閑静な住宅地)、敷地面積は149.82坪で北側が4mの道路、南側は崖であったと記録されている。 この「自邸」の竣工は、1942年(昭和17年)で、すでに太平洋戦争中であり、昭和14年には「木造建物建築統制規則」が施行されていた。

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現在、私達が江戸東京たてもの園で見ることができるのは、竣工時の昭和17年のものではなく、昭和30年頃のものと「前川圀男邸復元工事報告書」に記載されている。1973年(昭和48年)に解体され部材の状態で保存され、復元工事を経て1997年(平成8年)に公開された。

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復元工事による現在の建物概要は 木造二階建て、切妻造、桟瓦葺き、外壁竪羽目板張り、 建築面積 : 94.21㎡ 、1階床面積 : 94.21㎡ 、2階床面積 : 14.46㎡、 延床面積 : 108.67㎡

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【北側】

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【居間】

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【2階をのぞむ】

昭和14年の「木造建物建築統制規則」では、第一条に

木造建物(以下建物と称す)にして次の各号の一に該当するものを新築せんとするものは地方長官(東京府にありては警視総監以下同じ)の許可を受くべし

一、農業(養蚕業を含む)、林業、畜産業、又は漁業を営む者の業務及居住の用に併せ供する建物にして総床面積160㎡(48.4坪)を超ゆるもの。

二、前号に掲ぐる用に供せざる建物にして総床面積100㎡(30.25坪)を超ゆもの

とあり、規則上は100㎡以上は警視総監の許可が必要だったとあるがその書類は残っていないようだ 。

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【寝室(2)】

復元図に基づいて単体規定(採光・換気等の計算)について演習を行い実際に見学し、数値と感覚を確認する。

【この記事は「空間デザインと建築法令」講義のダイジェスト版です】

「空間デザインと建築法令」-2

【目次】

1、 総論

(1) 建築関係法の遍歴
・近世から現代へ建築法制の遍歴を江戸東京たてもの園、博物館明治村等に移築復元され実際観に行くことができるものを中心に論究する。
(a)江戸の防火規制、屋根、蔵は耐火建築物について
(b)「普請申請」(現在の建築確認申請)、「作事検分」あるいは単に「検分」(現在の竣工検査・工事完了検査)について
(c)市街地建築物法・東京市建築条令案(学会)、東京市建築条例案(妻木案)等
*実例案*
(d)明治: デ・ラランデ邸(江戸東京たてもの園)
(e)大正: 田園調布の家(大川邸/江戸東京たてもの園)
(f)昭和: 旧高田邸(国立市・2015年解体)
(g)戦時統制下: 前川圀男邸(江戸東京たてもの園)

(2) 法令の構成・建築基準法の目的と内容
(3) 基礎知識(用語の定義、面積、高さ等の算定方法を学ぶ)~法を正しく理解するために

2、 建築基準法

(1) 制度規定~建築計画の段階から着工、完了、維持管理に至るまでの各種の手続き及び制度の運用に関する規定を学ぶ

(a)建築確認
(b)建築確認を要する建築物
(c)行政不服審査法・建築審査会
(d)違反建築物に対する措置・罰則

(2) 集団規定~戸建て住宅と特殊建築物

(a)建築物と道路
(b)用途制限に関する規定
(c)規模制限(建蔽率・容積率)
(d)形態制限(道路斜線・隣地斜線・北側斜線・高度斜線・天空率)
(e)防火、準防火地域内の規定(条令:新防火地区)

(3) 単体規定

(a)採光、換気等の居住環境に係る一般構造
(b)排煙、内装制限等の特殊建築物に係る規定
(避難安全検証法・耐火性能検証法等)
「木材会館」「富広美術館」「坂の上の雲ミュージアム」
(c)構造設計と構造計算に係る規定
(d)構造種別毎の構造仕様に係る規定
(e)建築物の防火に係る規定
(f)建築物の避難等に係る規定
(g)建築設備に関する規定

3、 建築関係法規~実在の建築プロジェクトを通して関連法について学ぶ

(1)郊外型店舗(コンビニエンスストア、飲食店)
・都市計画法(開発行為)/農地法/道路法/屋外広告物/工作物
(2)伝統的建築物保存地区等
・景観法(条令:金沢市、今井町等、都区内の景観条例比較)

(3)バリアフリー法
(4)消防法(老人ホーム、保育園)
(5)建築士法
(6)環境建築・省エネ法(「ソニーシテイ大崎」「木材会館」)
(7)契約、訴訟、トラブル対処
(8)東京都総合設計許可制度(超高層ビル予定)
(9)一団地申請(集合住宅団地、「蔦屋代官山」等)

4、 建築再生~リノベーション・耐震診断・耐震補強等、既存建物の設計と法令について学ぶ
(1) 既存建物の事前調査の方法(登記簿謄本・台帳記載証明等)

(2)実地調査の方法

(3) 実例解説
・「千葉県大多喜町役場」
・「三菱一号館」
・「紀尾井町パークビル」(アウトフレーム耐震補強)
・その他
*実例解説で取り上げた建物は「案」であり、講義時期に合わせて話題の事例を取り上げていきたいと考えています。

「空間デザインと建築法令」-1

「空間デザインと建築法令」・「建築法規」カリキュラムの提案

【はじめに】

空間デザインに関連する建築法令は、都市や環境、建築の形態、性能に大きくかかわっています。

建築計画や設計を行う際に必要となる建築関係の法令について、建築基準法を中心に解説するほか、実在の建築プロジェクトにおいて都市計画法、バリアフリー法、景観法、消防法等の他の関係法令と、どのような関わりがあるのかについても解説します。

建築の実例等を紹介しながら建築関連法規を法文解説することで、建築法令のリアルな把握を促し、建築法令を止揚することでデザインの自由度や空間の新しい可能性を生み出すことができることを知ってもらいます。そういう実例を通して若い人達に建築法令の必要性を理解してもらう事を主眼としています。

建築実例は、現に存在し見ることが可能な建物を中心に、江戸東京博物館、江戸深川資料館等の資料、江戸東京たてもの園等に移築復元した近代の建物や市中にある著名な現代建築等を中心にすえて法令の解説をします。

建築基準法をはじめとする建築法令は、建築物を計画、設計する上で必須の法令です。また建築関係法令は、木造建築士、二級建築士、一級建築士等の資格試験の試験科目となっています。

このように建築法令は、実務上必須であり、年々複雑かつ多様な関係法令が出来ているにも関わらず、今も昔も多くの大学では、2単位というところが多く選択科目にすぎないところや、授業の内容が二級建築士受験対策講座のようなところもあります。

実務現場からは、学生時代にもっと多くの時間を割いて、建築基準法や建築関連法について学んでおくことが、切望されています。

主として都内の大学で4単位としてカリキュラムを編成する場合を想定して提案します。

鬼子母神

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一般的には鬼子母神(きしぼじん)と呼ばれているが、御堂の看板を見てもらうとわかるように、漢字の「鬼」の上に角がないのが正式で、「きしもじん」と読むのが本当との事。

鬼が改心して角が取れたというのが理由とか

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この辺りは、平日の日中は、人が少なくのんびりと散歩するのには、打ってつけ。池袋駅前から少しあるくと、昔からの静かな街が広がる。

都電荒川線・鬼子母神駅を挟んで鬼子母神とは反対側の地域が「雑司ヶ谷・南池袋地区」として4月に木密地域不燃化特区に指定された。東京にいると街が大きく変わっていく様を実感する。

昔は、よもや池袋に住むことになろうとは思ってみたこともなかったが、ただただ交通の利便性が良いと言う理由だけで住み続けているようにも思う。

豊島区は大型再開発に熱心なあまり、国からの「保険基盤安定繰入金」(予定額5億7300万円)を一般会計に入れて法定外繰入金を圧縮するために横流しするらしい。ということで国保税もまた値上がりしたし、介護保険料も値上げする等住民サービスはあまり良くない。

「賃上げの 花が舞い散る 物価高」かな・・

としまエコミューゼタウン・豊島区新庁舎 -1

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3月23日に落成式を終え、5月7日より利用開始される豊島区新庁舎(1階~10階)、建物全体では「としまエコミューゼタウン」と名付けられたらしい。

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「エコヴェール」と名付けられた低層部のファサードを覆う装置

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よくみると透明なガラス、太陽電池モジュール、植樹壁(手摺)、木製のような格子と色々と組み合わされている。

今のところなんだか仮設部材が取り付けてあるような、チープな感じも受けるけど、「樹木のような建物」と隈研吾さんが説明していたようになるのかどうか、しばらく見守りたい。

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有楽町線東池袋駅(池袋側)から地下道が直結される。この近くに副都心線の新駅(雑司ヶ谷と池袋の間)ができるという噂もある。

商売柄もっとも関係深い都市整備部は、6階南側テラスに面して執務スペースが配置されるようだ。

新庁舎は近所なので、そのうち散歩がてら行き 内部写真も紹介する予定。

タワー部分の東京建物の分譲マンションは、すでに完売。坪330万円(正確ではない)と聞くから、一般庶民には高嶺の花のマンション。

卯月(うづき)

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 四月 新年度になった

卯の花が 咲く月「卯の花月(うのはなづき)」

相変わらず近所しか出て歩かない生活が続いている

従前の省エネ法の基準の経過措置期間が終了し、

4月1日から、

住宅用途の平成25年省エネ法基準も完全施行された。

 共同住宅系における省エネ基準適合の評価は面倒にはなる。

計画段階からの環境設計部分でのプロジェクト関与が必要になってきている。3月末で整理してみたら、いつのまにか環境設計(省エネ・CASBEE・ビル管・避難安全検証等)の業務の割合が大きく増えていた。

既存建物も含めて多くの建物が環境配慮型の建物になっていってもらいたいものだ。

「花筏(はないかだ)」

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「花筏(はないかだ)」

桜の花が散り

花びらが水に

帯状に浮かんで流れるさまを

「筏」

に見立てていうことばである。

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江戸川橋がかかる神田川の今日の情景

陽ざしが強かったが、風もそれなりにあり

散歩日和だった

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建物は椿山荘

告示H12第1436号・一部改正(2015.03.18)

先頃、平成12年建設省告示第1436号の一部が改正された。

第四号中「ニ」が「ホ」に、「ハ」が「ニ」なった。

詳細は官報参照20150318h064940005

新規追加された「ロ」について記載する

ロ 避難階又は避難階の直上階で、次に掲げる基準に適合する部分
【当該基準に適合する当該階の部分(以下「適合部分」という。)以外の建築物の部分のすべてが令第126条の2第1項第1号から第3号までのいずれかに該当する場合 又は適合部分と適合部分以外の建築物の部分とが準耐火構造の床若しくは壁若しくは同条第2項に規定する防火設備で区画されている場合に限る。】

(1) 建築基準法別表第1(い)欄に掲げる用途以外の用途 又は児童福祉施設等(入所する者の使用するものを除く。)、 博物、 美術館 若しくは図書館の用途に供するものであること。

(2) (1)に規定する用途に供する部分における主たる用途に供する各居室に屋外への出口等(屋外への出口、バルコニー又は屋外への出口に近接した出口をいう。以下同じ。) (当該各居室の各部分から当該屋外への出口等まで及び当該屋外への出口等から道までの避難上支障がないものに限る。) その他の当該各居室に存する者が容易に道に避難することができる出口が設けられていること。

これは、「子ども・子育て支援法等施行に伴う幼保連携型認定こども園」の建築基準法の取扱いを定めたことによる関連改正。

公布即日から施行されたので、設計図書への記載方法が変わる。

従来 H12告示第1436号四-ハー■ → H12告示第1436号四 – ニ-■となる。

 

沖縄県×防衛省@行政不服審査法

報道によると、沖縄県の翁長雄志知事が名護市辺野古の米軍新基地作業を停止するよう求め、従わない場合は岩礁破砕許可を取り消すことがあるとした指示(3月23日付)に対して、防衛省沖縄防衛局は24日、林芳正農水相に行政不服審査法に基づく審査請求書と執行停止申立書を提出した。

これを聞いて、役所対役所で行政不服審査法に基づく審査請求や執行停止申立をするのか?

そもそも行政不服審査法の目的は、行政庁の違法、不当な処分など公権力の行使について「国民に対して広く行政庁に対する不服申立てのみちを開くこと」で「国民の権利利益の救済を図る」(第1条)とある。

行政間での話し合いができないのかと思った。

今の政府は、沖縄の民意を代表する翁長雄志知事と面談しなかつたりと、名護市辺野古基地問題での強権的な対応が目に余る。

通常、行政不服審査法に基づく審査請求は、国や地方自治体といった行政機関による処分に不服がある個人や組織が、処分取り消しを求めるために行うもので、行政間の審査請求などあるのかと驚いた。

さて、農水省の審査委員会は、どう対応するのだろうか。政府の圧力が加わるから裁決までのスピードも速いのだろうな。

建築審査請求では、昨年東京都内の特別区建築審査会で建築審査請求が棄却された案件に対して近隣住民が2014年11月に国土交通省に再審査請求と工事の執行停止をもとめているが、4カ月余りたっても何の進展もみられないと聞く。

建築基準法第94条第2項には、「建築審査請求を受理した場合は、1月以内に裁決しなければならない」あるが、これは訓示規定だからと、まったく無視されている。

民間人が審査請求するとチンタラしているとしか思えない審査請求。さてどうなるのか興味津々。

「建築物省エネ法(案)」が閣議決定された

報道によると、本日3/24大規模な建築物に省エネルギー基準への適合を義務付けることなどを盛り込んだ「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)」案が閣議決定された。今国会での成立を目指すとのこと。

http://www.mlit.go.jp/report/press/house04_hh_000584.html

大規模な非住宅建築物(特定建築物=2000㎡以上)について、新築時等における省エネ基準への適合義務及び適合性判定義務を課し、これを建築確認で担保することとなる。今国会で成立すれば2017年施行となり、その後2020年までには段階的に対象建物を増やしていく計画との事。

数年前から噂されていたように、いよいよ省エネ(特定建築物のみ)も建築基準法の関係規定となるわけで、指定確認検査機関の多くが建築物エネルギー消費性能適合性判定機関として登録することになろう。書類上の審査は、数値の適合さえチェックしていくだけでよいのだから容易だが、性能基準で計算するのは中々大変。

長年の建築設計業務から指定確認検査機関に行き、又建築設計の立場に戻った身になった経験から審査と設計とは、まったく異なるもの。

性能基準での省エネ計算には、建築の知識、環境設計の知識、設備の知識が必要で、ちまたでは省エネ技術者が不足していると聞く。

H25年基準が施行された昨年度から省エネコンサルタントの業務がパンク気味で、納期がかかっているようだ。人材不足もあるけど、従来の仕様(例えばH11基準)で設計したものを設計図書が完成してから、あるいは工事契約が終わってから省エネ届を提出してくれといわれても外皮性能も一次消費エネルギーも適合しないことがほとんどだ。

検討→不適合→断熱仕様の見直し・予算の検討等→断熱仕様の仮決定→再検討→適合・省エネ届という繰り返しが時間を費やしている。これからは基本設計段階で省エネの検討を並行して進めなければならないという頭に切り替わっていない。

弊社も昨年来 これまでお付き合いのある会社の省エネ計算・届出の業務が増えていたが、年度末になってH11基準の駆け込みや、基本設計段階のH25基準での省エネ検討が重なり、頭がゴチャゴチャになっている。

H11年基準とH25年基準 外皮性能は従来の設計仕様では、ほとんど不適合だということを認識してもらいたい。

【覚書】避難安全検証法でできないこと

【避難安全検証法で適用除外できると勘違いされやすい項目】

■面積区画

面積区画は、施行令第112条第1項に規定され、1500m2以下(自動消火設備設置で3000m2以下)で区画しなければならない。

全館避難検証法では、高層区画、竪穴区画及び異種用途区画は除外できるが、面積区画は適用できないため1500m2または3000m2ごとの区画は確保しないといけない。

面積区画を拡大するには防火区画検証による。

■重複距離

重複距離は施行令第121条第3項に規定され、施行令第120条の歩行距離の数値の1/2を超えないことになっている。この規定は避難安全検証法では除外できない。

■特別避難階段の付室

階避難安全検証法では施行令第123条第3項第一号の規定が除外できる。

この規定は付室の排煙設備の設置に関するものなので、付室の設置については避難安全検証法では除外できない。

■非常用エレベータ乗降ロビーの排煙

非常用エレベータ乗降ロビーの排煙は施行令第129条の13の3第3項第二号に規定されているため避難安全検証法では除外できない。

したがって乗降ロビー兼用付室の場合の排煙設備は、仕様規定に準処しなければならない。

■避難階段の幅員

避難階段の幅員は施行令23条、施行令24条に規定されているため避難安全検証法では除外できない。

ただし、物販店舗の合計幅員については全館避難安全検証法で適用除外が可能となる。

■防煙区画面積

階避難安全検証法では、防煙区画面積は1500m2まで拡大できる。

■排煙口までの距離

30mを超えた位置にある排煙開口の排煙は有効開口部の排煙には加えない。

ルートCでは30mを超える事が可能な場合もある。

多世帯住宅のスタディ

地方都市の郊外に計画した二世帯住宅(下図)

敷地面積は100坪というのは地方都市の郊外では、一般庶民でもさほど非現実的な敷地面積ではない。

一敷地一建物の原則により、左側の老夫婦の住まいと右側の若夫婦の住まいは敷地分割し、駐車場と庭、アプローチをシェアする。

老夫婦の住まいは平屋で延べ面積が18坪、若夫婦の住まいは二階建て延べ面積が34坪。

これなら将来、老夫婦の住まいが不要となったとき、第三者に賃貸することも容易。

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一旦外に出て、行き来するよりは、やっぱり中でつながっている方が使いやすいという意見で修正したのが下の図面。

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洗濯室と老夫婦の住まいの玄関でつながっている。これも玄関と洗濯室の間の戸をふさいでしまえば、左側の部分を賃貸することは容易だろうという意見により修正されたもの。

ところが、「平屋がいいわ」「家庭菜園をしたい」と言う老夫婦の意見に沿った計画も、若奥様の「子供の通学はどうするのよ」「小学校は、公立ではなく私立も選択肢に入れないと」いう事で、もっと駅近くの敷地面積の少ないところに計画地が変わった。

それは、木造三階建て多世帯住宅なのだが、それを紹介するのは後日。

多世帯住宅について考えた

このところ多世帯住宅について考える機会があった。

ひとつは知人からの質問で、都内に計画中の三階建ての建物で親夫婦、子供夫婦、子供奥様の親という血縁関係が住む住宅が共同住宅だと言われたとのこと。外部階段を共有していて、家族構成が変化すれば第三者に賃貸することも容易な形態。

私も以前 横浜市でそういう多世帯住宅の設計に携わった経験があり、その時は、共用の外部階段を内部階段にして多世帯住宅で申請した経験があり、そういうことを話しておいた。

ところで横浜市は昨年、平成26年9月に「横浜市建築基準法取扱基準法」を一部改正し「多世帯住宅の取扱い」を加えた。image-0002

 

日本建築行政会議編の「建築確認のための基準総則・集団規定の適用事例」(2013年版)を受けて、「世帯ごとに分離した台所、食堂等の部分が2までのものとし、3以上の住宅については、原則として共同住宅として扱う」というもの。

まあ「形態」で考える建築基準法の取扱いとしては妥当なんだろうなぁと思うけど、いまひとつ すっきりしない。

二世帯住宅を計画する場合、例えば親夫婦のいずれか、若しくは両方が無くなったり、片親の介護が必要になったときでスペースの転用を考える場合、子供が独立して生計を営むようになり、不要な部屋の転用を考えた場合とか、将来の家族構成の変化なども見込んで計画のバリエーションも考えておかないとならない。

三階建ての1階部分を他人に貸したら住宅から(特殊建築物)共同住宅で違反になるというのも建築ストックの活用上は、制限つけすぎかと思う。200㎡以下の住宅は「特定住宅」として緩和するとか必要。

「家族」といっても血縁関係でつながっているのが「家族」というわけでもなく、現代では多様化してきている。難しいね~。

告示建築線

築基準法の末尾にある「附則」に注意を払ったことがありますか。

(この法律施行前に指定された建築線)

5 市街地建築物法第七条但書の規定によつて指定された建築線で、その間の距離が四メートル以上のものは、その建築線の位置にこの法律第四十二条第一項第五号の規定による道路の位置の指定があつたものとみなす。

建築基準法は、昭和25年11月23日から施行されたが、それ以前には「旧市街地建築物法(大正8年4月法律第37号)」が施行されていた。というのは先日、文化住宅=旧高田邸の時に書きました。

それで市街地建築物法から建築基準法の附則を思い出した次第で、古い法律が現代でも生きているという事例。
告示建築線とは、「旧市街地建築物法第7条但書」に基き、行政官庁(東京府では警視総監)が告示により指定した指定建築線。

建築物を建築線より突出して建築することはできないとされていた。また全く道路のないところに指定されることも少なくなかったようです。

かつて警視総監の名前で告示されたその間の距離が4メートル以上の指定建築線は、現在は、建築基準法第42条第1項第五号の規定による道路(いわゆる位置指定道路)として扱われており、たとえ道路状に整備されていなくても、その上に建築物を建築することはできないと定められています。

東京では中野区等、大阪では船場建築線というのが有名です。

この告示建築線、法律的には中々面白いというか、味わい深いしろものです。

 

文化住宅と建築法令

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3月8日の旧高田邸の詳細調査に参加して、築85年(1930年頃)の木造住宅としては、中々構造体はしっかりしていたのではないだろうかという感想を持った。

外部立面の採寸と立面図の作図が主要な担当だったので、他の調査者を時々覗く程度だったし、早計なことは言えない。詳しくは全体の調査資料が調査参加者に後で配布されるようだから、その調査資料をみてから再度検討してみたい。

この構造体の部材寸法、施工方法などは、大工さんの個別の経験的な裏付けに基づく技量によるものだろうか。あるいは 何らかの現在の建築基準法・施行令に規定されるような社会的な規定(定義・構造規定)があったものだろうか。

よく知られている事だが、現在の建築基準法(昭和25年法律第201号)の前は、市街地建築物法(大正8年・1919年公布)があった。それは建築基準法が定められる前に存在した「市街地における建築を規定する法律」であった。当時、国立市は東京府下なので、直接的にはこの建築法令の適用外となる。

木造の法的な規定(案)は、市街地建築物法(大正8年・1919年公布)ができる以前の、明治27年(1894年)の東京市建築條例案(東京市区改正委員会・妻木案)や、大正2年(1913年)東京市建築條例案(建築學會)に見ることができる。

明治39年に東京市長・尾崎行雄が建築學會に建築條例の作成を依頼して、6年半の歳月をかけて大正2年(1913年)に238条からなる東京市建築條例案(建築學會)と途中案4編、諸外国条令資料16種を東京市に提出した。

それが先に書いた大正2年(1913年)東京市建築條例案(建築學會)である。

そこには大正・戦前昭和の文化住宅と建築法令(構造規定等)についてのみならず、現在の建築基準法につながる規定が網羅されている。

例えば木造の構造関係の規定は、下記のような事が記載されている。

  • 土台は柱と同寸以上の角材で
  • 上下横架材距離に対する柱の小径の割合は、階を下るごとに増加
  • 柱の欠き取りは1/3まで、やむ得ない場合は鐵具を附加
  • 筋違を壁体に配布する
  • 小屋裏、天井上、床下が木造の時は換気孔を設ける
  • 柱は上下に大きな枘を有してはならない。
  • 等々

これらの規定は、「木造耐震家屋構造要領」(明治28年)、「家屋耐震構造要便」(大正4年・佐野利器)と類似しているものが多いと言われているので、大正2年(1913年)東京市建築條例案(建築學會)に規定されている木造の構造規定は、ある程度、業界内に普及していたのではないだろうか。というのは私の推論。

旧高田邸詳細調査

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国立市にある築85年の文化住宅・旧高田邸の詳細調査に参加してきた。既報のように国立市民等のプロジェクトに住宅医協会で協力する形で調査を行った。今日の調査には25人の参加とのこと。

無報酬の調査・ただし昼弁当、味噌汁、飲み物付き

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玄関アプローチ

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午前中は小雨、午後は雨は上がったが曇に覆われていた

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私は、採寸グループで東側立面図の作図を担当した。大まかな実測、矩形図等の他の採寸者と情報を突合せ、フリーハンドで1/50立面図を作図した。

採寸してわかった事だが、2階軒高が現代の木造住宅より1m近く高い。2階の軒の出が3尺、1階屋根の軒の出が2尺5寸ほどだった。

全体としてライト風な水平線を強調するデザインになっている。

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詳細は、住宅医協会のサイトで紹介されている。

http://sapj.or.jp/syousaichousa2015-45/

弥生・・・

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昨年来の仕事がひと段落ついて、久しぶりに本屋に行った。

商売道具の法令集を買いに行ったのだが、これだけは毎年買い替えている。そして何十年井上書院の法令集=青本を使い続けていることだろう。

池袋淳久堂の建築関係の書棚をながめて歩いたが、何だか触手が伸びる本が無かった。アンテナが弱くなったのだろうか。

「本屋に行ったけど結局法令集しか買わなかった。面白そうな本がなくて」と話したら「面白い建築を造れる人が少ないんだから面白い本なんか書けないよ」と言われた。名言だ。いたく感心。

先日、名古屋の知人から電話が来て「今、どこにいるの」と聞かれた。最近 古い海外の建物写真しかアップしていなかったが、私がヨーロッパに行っていると思っていたらしい。

仕事で缶詰め状態だったのさ。1月2月と電車に乗って外出したのは5回もない。完全なる引きこもり状態だった。

最近 ボケてきたと言われることが多い。一週間に一度程度外出するような事を探しているのだが・・・

建築の本は法令集しか買わなかったが、こんな本を買ってみた。

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ちきりんさんは、著名な社会派ブロガーだけど中々面白い視点の持ち主で勉強にさせていただいている。

ベッドで寝ながら読めるところが良い。

とても面白くて二晩で読んでしまった。

「建築物」の定義

民家園に移築する茅葺民家(文化財保護法による建築物、保存建築物ではない)を内部空間を利用せず、修景物として利用する場合、この茅葺民家は「建築物」に該当するか否かという質問があった。

法第2条第1項第一号の「建築物」は、

「土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これら類する構造のものを含む)」と規定されている。

この括弧内の「これに類する構造のものを含む」は、平成4年改正で加えられた部分。

これによると用途が発生するか否かではなく、物理的な「定着」「屋根」「柱」「壁」で判断しているものと思う。用途は変化する相対的なものだけど、形態は変わりずらい。

だから、質問の茅葺古民家は、「建築物」として扱うのが原則的であると私は判断すると答えた。

修景物として工作物・施行令第138条第1項第三号「高さが4mを超える広告塔、広告版、装飾塔、 記念塔その他これらに類するもの」として 言い張ることも可能かもしれない。

映画のセットのような外観だけならば工作物でもよいと思う。

この茅葺古民家は、とりあえず修景物だとしても内部空間があり、色々な転用、用途発生も将来可能であるならば「建築物」として定義し確認申請が必要かと思う。