「建築基準法適合状況調査(ガイドライン調査)実務ガイド」-4

【特定行政庁(建築主事)・指定確認検査機関による検査済証交付件数・完了検査率の推移】

上記の図は、国交省が発表している1998年(平成10年)から2012年(平成24年)にかけての完了検査率の推移を示すグラフ。平成10年当時はは、完了検査率が約40%だったが現在は約90%になっている。

 築後20年から30年ぐらいの建築物の増改築したいという希望が比較的多く、それらの半数以上は検査済証が無い建物であり、検査済証の無い建築物を増改築等する事は増加すると思われるので、建築士の方は一部の専門家任せにせず本項の「ガイドライン調査」に習熟しておく必要があると思う。

 特定行政庁に検査済証のない建物の増改築等の建築確認申請を出す場合には、特定行政庁により定められ調査方法や書式により、法12条5項報告書として提出する場合や建築確申請の付帯図書としている場合等があるが、特定行政庁に検査済証のない建物の増築等確認申請を提出する場合については別稿として記載する。 

 筆者が2014年に、全国500数十件の特殊建築物の建築確認記載台帳証明を取得して整理したところ完了検査率=検査済み証がある建物は、大規模な建物は検査済取得率が高く、中小規模の建物になると取得率が低くなり、住宅になると極めて低くなるという傾向が見られる。

 最も確認検査数の多い旧建築基準法6条4号建築物(木造2階建て・一戸建て住宅等)については完了検査の義務はあっても使用制限がないことから事実上の無検査が横行していた。