「建築基準法適合状況調査(ガイドライン調査)実務ガイド」-3

【「ガイドライン調査」策定に至るまでの経過】

1998年(平成10年)に建築基準法制定当時から続いた建築主事による確認・検査という執行体制が見直され、民間機関による建築確認・検査制度が導入されるまで、既存建築物の増築、用途変更等は、建築主事の裁量権のもとに行われていた。

増築等の際の既存建築物の取扱いは明確ではなかったために、既存建築物の調査等は行われずに増築等の確認申請が約50年間という長い期間行われてきた。

2006年(平成17年)6月1日付「建築物の安全性及び市街地の防災機能の確保等を図るため建築基準法等の一部を改正する法律」の施行に伴い、改正後の建築基準法第86条の7及び第86条の8の規定により既存建築物に関して制限の緩和が図られた。

既存建築物の増築、改築、大規模の修繕又は大規模の模様替(以下「増築等」という)を行う場合には「法適合性の確認」が必要になるが、その取扱い要領が明確ではなかつた。

 2007年(平成18年)5月31日に、大阪府内建築行政連絡協議会で「増築等確認取扱い要領」が制定され、検査済み証が無い既存建物の増築等を行う場合の取扱いの基準が示された。

 又2009年(平成21年)9月1日、既存不適格建築物の増築等について、幾つかの技術的助言及び告示の改正がなされた。

 それらを受けて一部指定確認検査機関でもセミナーを開催したり、試行錯誤ながら検査済み証の無い既存建物の増築、用途変更確認申請の受付を始めていた。

 2010年(平成22年)、東京都建築構造行政連絡会監修の「建築構造設計指針2010」(現在は「建築構造設計指針2019」)で増築等に関する構造審査の基本的基準が示されていた。

 そして2014年(平成26年)国土交通省より「検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関を活用した建築基準法適合状況調査のためのガイドライン」(通称「ガイドライン調査」)が発表された。