【初めに】
既存建築物を増築、用途変更、大規模の模様替え、大規模の修繕、昇降機を設置する申請を行う場合(以下「増築等」)で、工事完了検査済証が無い場合には、建築基準法適合状況調査を行い、法的事項を整理しなければならない。
現在では、建築確認申請と同じように「役所」(特定行政庁)か「民間」(ガイドライン調査機関)に建築基準法適合状況調査を提出する事になる。
ここでは「検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関を活用した建築基準法適合状況調査のためのガイドライン」(2014年(平成26年)7月国土交通省)(以下「ガイドライン調査」)について、要点を記載する。
建築:「検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関等を活用した建築基準法適合状況調査のためのガイドライン」について – 国土交通省 (mlit.go.jp)
【概要】
このガイドラインは、ガイドライン調査機関に向けて作成された文書なので、建築主等の依頼者から完了検査済証が無い既存建築物の増築等を依頼された代理者(設計者等)が、このガイドライン調査で留意すべき事項を中心に記載する。
又国交省に届出した指定確認検査機関(ガイドイラン調査機関)を始め国交省、特定行庁等にも可能な限りヒアリングを実施して記載している。
既存建築ストックを有効に活用する観点から、検査済証のない建築物の増改築や用途変更を円滑に進めることができるような方策を講じることが重要であり検査済証のない建築物について、その現況を調査し、法適合状況を調査するための方法を示したガイドラインが2014年(平成26年)策定された。
それから10年余りが経過しガイドライン調査の実施例も相当数集積されてきており、その中で幾つかの問題点も指摘されている。
「検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関等を活用した建築基準法適合状況調査のためのガイドライン」は、「調査者」として業務を実施する指定確認検査機関に関しては、希望に応じて国土交通省に届出をできるようにしている。届出を行った指定確認検査機関(「ガイドライン調査機関」と称する)【2022年(令和4年)8月22日時点】は、38社です。
ガイドライン調査機関を調査・ヒアリングし各社の特徴を整理記載した一覧表を資料として作成した。(非公開)
※注記 【ガイドライン】
ガイドラインについては、法令そのものではないものの、一般的にはガイドライン作成者が示す「内容」(基準や解釈や事例等)に準じた対応を行うことを相手方に「求める」ために策定される文書とされるケースが多いとされる。但しその実態については、策定者が示す「内容」や、相手方に求める「拘束性」など多様である。尚本項の「ガイドライン調査」は、建築基準法上根拠のない任意の制度である。
「ガイドライン」という用語は、法律上明確に位置付けられているものではない。ガイドラインの行政法上の位置付けや法的性格についても、これに触れている文献は少ない。また、辞書等における説明を見ても、ガイドラインの意義について、策定主体や文書の対象者は一義的ではないことがわかる。
「 辞書等による「ガイドライン」の説明」
大辞林 第三版
・政府や団体が指導方針として掲げる大まかな指針。
デジタル大辞泉
・政策・施策などの指針。指標。
朝日新聞キーワード(2009年7月4日)
・国や自治体など関係者らが取り組むことが望ましいとされる指針や、基準となる目安などを示したもの。法的な拘束力はない。国交省の安全輸送ガイドラインでは、荷主や運送会社などの事業者、運転手など関係者ごとに順守すべき項目を示す。
このようにガイドラインについては、法令そのものではないものの、一般的にはガイドライン作成者が示す「内容」(基準や解釈や事例等)に準じた対応を行うことを、相手方に「求める」ために策定される文書とされるケースが多いとされる。但しその実態については、策定者が示す「内容」や、相手方に求める「拘束性」など多様である。