小石川二丁目マンションが確認申請取消処分

昨日、友人から電話がかかってきて、東京都建築審査会が小石川二丁目マンション(ル・サンク小石川後楽園)の建築確認申請を取消したと新聞で報じていると知らされた。

【東京新聞 2015年11月14日朝刊】

『文京区で建設中のマンションが建築基準法に違反しているとして、近隣住民が都建築審査会に建築確認を取り消すよう求めた審査請求があり、審査会が取り消しの裁決を下していたことが分かった。法律で安全確保が定められた、道路に直接通じる出入り口がある「避難階」に問題があるとされた。裁決は2日付。
このマンションは文京区内の傾斜地に位置し、地上8階地下2階建て。約100戸は完売している。急坂に面した地下1・2階と、地上1・2階が避難階となる。
 審査会は、このうち、一階の駐車場から道路へ出るために約2.5メートルの高低差があるスロープを上らねばならない構造になっていることなどを問題視した。区内の9人の住民が行った審査請求の申立代理人を務める日置雅晴弁護士は「危険なマンションに人が住むことを未然に防ぐ画期的な裁決」と話した。
 建築確認は民間の検査機関が行い、都に報告した。検査機関を指導・監督する都は、審査会の裁決を受け、建築主に「違反状態」の是正を指導できる。』

もうかれこれ10年以上争われている係争案件だったし、2005年にも清水建設の設計施工で確認が出され、(株)東京建築検査機構(TBTC)にて建築確認が許可されたものが東京都建築審査会で確認取り消しになっている。その後清水建設は事業から撤退し、設計は日建ハウジングシステム、施工は安藤・間で事業が進められていた。事業者は最初からNIPPOと神鋼。

都市計画法の開発許可に対する審査請求、棄却などを経て、今回の建築確認申請は2012年に都市居住評価センターが建築確認処分。2012年9月28日に付近住民9名が東京都建築審査会に審査請求をしていた。審査請求から裁決までに3年かかっている。まあ都市居住評価センターは、国交省に再審査請求なりをするだろうから、まだまだ係争は続くことだろう。

本年9月に確認申請の執行停止が東京都建築審査会で決定されていたので、最終的には建築確認申請は取消されるだろうと個人的には予想していた。

実は、この2015年9月7日付の執行停止処分が出たこと自体が画期的な裁決で、事例も少ないのではないかと記憶している。

この案件については、もっと住環境に配慮した事業計画や設計がなされても良かったのではないかと思っていた。

友人から電話で聞かれたことはこうした係争案件で敗訴した指定確認検査機関の確認検査員(決裁者・担当者)は、これから起きるであろう事業者等からの損害賠償請求についていかなる保証義務を負うのかということだった。

たぶん担当した確認検査員は、針の筵の上に座らされている精神状態だろうから、ここで書くのは控えさせてもらう。

この案件についての事実経過は下記のサイトが詳しい

小石川二丁目マンションの無秩序な開発・建築を考える