●本ガイドラインに基づく法適合状況調査の結果を検査済証のない建築物の増改築や用途変更に伴う手続き等の基礎資料として活用する場合は、あらかじめ特定行政庁(建築主事を含む。)や指定確認検査機関と相談しておくことが望ましい。
依頼者は、検査済証のない建築物の増改築や用途変更等に伴う手続きや、法第12 条第5 項の規定に基づく報告等の基礎資料として、本ガイドラインに基づく法適合状況調査の報告書を用いる場合には、あらかじめ所管の特定行政庁(建築主事を含む。)や指定確認検査機関と相談の上、調査を進めることが望ましい。
なお、本ガイドラインは、既存建築物の建築時点(新築後に増改築、大規模の修繕・模様替、用途変更のいずれかがあれば、その時点)での建築基準法等への適合状況を調査するための方法を示したものであるため、例えば、増改築に当たり必要な図書等があるならば、依頼者は別に用意する必要がある。具体例としては、既存建築物の増築等について法第86 条の7の規定の適用を受ける場合にあっては、同条に規定する一
定の範囲内で増築等が行われていること等を確かめる必要があるため、既存不適格調書や、令第137 条の2から令第137 条の15 までの規定のうち、該当する規定の内容に適合することの確認に必要な図書を用意する必要がある。
【事前相談】
建築基準法適合状況調査には、代理者による調査結果に基づき建築基準法の取扱いについて事前に特定行政庁やガイドライン調査機関と充分な協議が必要だが、そもそも指定確認検査機関には、建築基準法に対する裁量権はなく、指定確認検査機関に持ち込んでも特定行政庁との二重打合せが必要になる場合も多くある。その為、打合せ、協議に要する時間は、代理者(設計者等)にとって過重負担となる傾向がある。
特定行政庁に相談した場合、建築専門職員(とりわけ構造担当者)がいないところもあり、検査済み証の無い建物については相談に応じてくれない。相談しても判断できない。あるいは敬遠される場合もあり、特定行政庁によって対応が異なる。
実際にガイドライン調査を行ってみると法的な審査能力と工学的な技術審査能力が必要な局面に遭遇する。
ガイドライン調査機関には、資格者は多くても技術者は少ない現状の為、専任者がいる機関は少なく総合的な判断ができない場合があるので、ガイドライン調査機関の力量を事前に見極めておく必要がある。